いわゆる「時間との闘い」には敗北した。震災後の長い冬を迎える、パキスタンの山岳部での対応に焦点を当てていく必要がある。 金曜、ワールド・ビジョン中央アジアの副地域ディレクターDineen Tupa氏はこう語った。
「まだ最悪の段階ではない。この惨事は、今後何ヶ月も続くだろう」 「世界はこの状況を理解していない。被害規模の点から見ると、ここはバム(イラン)の30倍以上の被災者がいる。よって、寒さと被災地へのアクセスが大きな障害という点では、(スマトラ沖地震の)津波以上に恐ろしい災害なのである。」
雪への対策が最重要視され、2週間以内には遠隔地の山村にテント、毛布、食糧が届けられることになっている。
「それは、決して容易なことではないだろう」「援助団体は、数ヶ月もの間、キャンプいる人々に食糧を配り、山頂にいる、より多くの人々に食糧や避難用具を届けることになる。これは、単に2~3週間のみのことではなく、長期戦となるだろう」
「どれだけの人数が山岳地に留まるのか、またいつ彼らに限界が来るのか、そして彼らが山に留まるかキャンプに降りるかの決断がどれほど複雑であるかでさえ、全くわからない。」「しかし肝心なのは、我々は救助をするためにここにいるということであり、山であれキャンプであれ、彼らが望む場所で、我々は救援をするのみである。」と、Tupa氏は語った。
地域副知事(regional vice president)Dave Robinson氏は、被災地へ向かう際、イスラマバードにて次のように語った。「冬はひどい結果をもたらすであろう。寒波による第二の死の波が懸念される。」「世界中が働きかけなければならない。皆、疲れてきている。しかし、震災で生き残った人に対しては、援助疲れを弁明しようとする。我々は、もっと協力すべきなのだ。」
国連は水曜、ジュネーブにて、援助の要請を3億1300万ドルから5億5000万ドルに増やしたことを発表し、被害の大きさを強調した。結果は、6700万ドルの寄付と2800万ドルの追加援助公約があったのみだった、とロンドンのファイナンシャルタイムズは報じた。
ワールド・ビジョン・パキスタンのナショナルディレクターSigurdHanson氏は、世界はこれを南アジア地震と呼んでいるが、圧倒的に被害を受けたのは、少なくとも5万4000人が死亡したパキスタンである、と語った。また、ユニセフの推定では、国内の死傷者の半数は子供である、とニューヨークのエージェントスポークスマン Gordon Weiss氏は語った。
この地震により、少なくとも330万人以上が被災し、被害は2万5000平方キロメートルにも及んだ。下記はBBCによる報告である。
パキスタンのカシミール地方での最終的な死者の数は4万人を超える可能性がある。現在の負傷者数はおよそ7万人に上る。主都ムザファラバード(Muzaffarabad)の60万人の住民の多くは、屋外で眠ることを余儀なくされている。
パキスタンの北西辺境州では、少なくとも1万3000人の死者がでたという。人口3万人の都市バラコット(Balakot)は市全体が崩壊し、校舎の倒壊により、400人の子供が命を 落とした。人口9万1000人の都市Bhugarmong Valleyでは、住宅の80~90%が倒壊しているか、住めない状態であるという。
インドのカシミール地方では、死者はおよそ1400人、負傷者は5000人、また14万人が家を失った。およそ4万棟の住宅が倒壊したといわれている。
ワールド・ビジョンは、被災地に国際救援チームを置き、テント、毛布、調理セットの配布を行う一方で、パキスタン初の「チャイルド・フレンドリー・スペース」の設立を進め、避難所の素早い解決に取り組んでいる。
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情報源: World Vision
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津波後-弱者の人権
■ エグゼクティブ・サマリー
2004年12月26日にインド洋沿岸を襲った津波で、数千ものコミュニティが被害に合い、 24万人以上の命が奪われた。数万人にのぼる行方不明者は死亡したとみられ、100万人以上が避難民となった。この津波により最も被害を受けたのは、漁師、沿岸の小売店や観光業の労働者、移民、沿岸近くで農業を営む者などの貧しい人々で、犠牲者の大半は、女性と子供であった。
津波が起こった直後、国際援助団体は、女性、子供、移民労働者など最も弱い立場である人々が、人身売買により強制労働させられることを懸念していたが、独断的な逮捕、子供の戦闘部隊への勧誘、支援分配における差別、移住の強制、性的また性別的な暴力、文書の紛失と損害賠償問題、特定の津波被災地で直後に浮上する不動産の保有権などの他多くの人権問題がある中、幸い人身売買事件については、ほとんど報告がなかった。
合衆国南部沿岸地域を襲ったハリケーン・カトリーナ直後の状況からもわかるように、自然災害による大規模な緊急事態に対応するための国家や地方自治体、救援機関の緊急救援や管理体制が十分に整っていないため、大惨事の犠牲者を人権侵害の危機にさらすことになるのである。
自然災害の被災者は、多くの人権条約・協定により保護される。国連の国内避難民に関する指針と、スフィア・プロジェクト(Sphere Project)の人道憲章(Humanitarian Charter)及び災害対応における最低基準( Minimum Standards in Disaster Response)は、自然災害の被災者を保護し、避難民が食料・避難所・医療などの適切で必要不可欠な救援を確実に得られるように救援活動の方針を示している。これらの指針は、国内避難民(IDP) が要求する権利を持ち、管轄の当局より保護と支援を受けられるよう述べている。
ただでさえ不安定な弱者の状況は、自然災害によりさらに悪化する。通常、災害時に主に犠牲となるのは、標準以下の家屋、不安定な地盤やはんらん原に住む貧困層であり、民族性、宗教、階級、性別による従来の差別のため物理的に脆い環境におかれている上に、内戦や人権侵害の歴史が救援や復興の妨げとなり、複雑化しているのである。
無能な官僚らによる多くの汚職がはびこっている国々では、特定の個人やグループが他人を犠牲にして、政治的な繋がりを利用し援助の受給や分配を受けていることがある。また、民族性、宗教、性別、年齢、社会的地位が原因で、いまだ少しの援助さえも受けていないグループもありうる。これら悪習のせいで、個人や家族が造りの悪い、危険でさえある国内避難民用キャンプや避難所に長期間過ごすことを余儀なくされ、危険にさらされるのである。
国内避難民は、キャンプで隔離され、遠隔の都市が策定・実施する再定住化と復興計画として、ときには、特定の利益のため、政府当局より二の次にされている。国際機関や援助組織の活動を見落としているような弱体な政府では、まとまりのない救援活動が諸問題をより悪化させる恐れがある。政策決定を全て政府が行うか、非政府団体に必要に応じた任務の実施を任せるかの間で緊迫状態が続き、妥協点がなかなか見えないため、生存者がどこに支援を求め、頼ればよいかわからないという状況に陥る。
津波が襲ったおよそ2ヵ月後の2005年3月から4月にかけて、カリフォルニア大学バークレーの校の人権センター(Human Rights Center) はEast-West Centerと共同で、数百人もの生存者と重要な情報提供者へのインタビューのため、被災地であるインド、インドネシア、モルジブ、スリランカ、タイの5カ国に研究者のチームを派遣した。
調査の具体的な目的は下記の通りである。
1. 既存の人権問題の程度とその本質、津波時の弱者への影響の調査
2. 津波後の時期の人権侵害の調査
3. 人権侵害の報告に対する政府や援助団体の対応に関する調査
4. 復興の段階で発展、または持続していたと思われる人権問題の特定
研究者達は、半構造的なアンケートを使い、対象5カ国の津波生存者や重要な情報提供者にインタビューを行い、また全ての参加者から口頭にてインフォームド・コンセントを得た。 インドでは、Cuddalore、Nagapattinam、Kanyakumari、Kancheepuram地方と最も被害の大きかったタルミナドゥ州沿岸に沿って調査を行った。スリランカでは、北東部(Batticaloa and Ampara)、南部 (Galle and Matara)、 西部 (Colomb)の3つの地方で、モルジブではMale、 Hulhumale、Guraidhooの3つの都市で、そして、タイでは、アンダマン海、タイ湾沿岸の18のコミュニティで調査を行った。最終的にインドネシアでは、Banda Aceh、Aceh Besar、 Sigli、 Bireuen、 Pidie、 Lloksuemawe、 Aceh Utara (all in Aceh)、 Medan 、Deli Serdang (North Sumatra).の9つの避難エリアで実地調査を行った。
各国共通の調査データにより、6つのテーマが浮上した。
1. 既存の人権侵害の悪化
既存の人種差別や人権侵害を受けているグループは、津波の影響でさらなる危害をこうむった。例として、政府が取り扱う軍事目的を確保するための人道支援の根拠、不正で脅迫的な財産権、移住者保護の不足、性的暴力を挙げている。
2. 援助分配の不平等
多くの弱者、特に女性や特定の民族や宗教のグループは、平等な支援を受けていなかった。特定の民族や宗教への人権侵害、カースト制度などの周縁化されたグループへの人種差別、政治的影響力による不平等、官僚の能力不足、特定グループの政府被害者定義からの除外などの支援の不均衡配分の競合が、調査により明らかとなった。
3. 罰と責任の不足
行政機関や支援提供団体が、不正行為、援助分配の恣意性、自然災害の生存者の人権を守るための国際規格違反などを報告する責任はほとんどない。津波犠牲者の対応における州の行動不足、自主的な救援メカニズムの欠如、調査の不正利用に対する政治的意思の欠如、人道支援組織による人権侵害の報告の不足などが要因として挙げられた。
4. 救援・支援の協調不全
津波被災地では、急遽多くの支援提供団体による活動が始まったため、州は、効率よく救援活動の調整を計ることができなかった。多種多様な機関や組織による支援活動は、人道主義と援助団体の間の協同不足や政府間のレベルの違い、課題の競合、NGOの責任不足などにより、うまく調和しなかった。
5. 沿岸部再開発に対する国民の信頼の低迷
一部のコミュニティでは、沿岸部再建についての条件が不明確である。貧困層を無視し、権利を奪うような政策提言で環境損壊に対応しているケースさえある。
6. 住民の参加不足
政府や支援当局は、生存者やコミュニティと援助分配、再定住、復興支援などに関する話し合いを持てないこと多く、地域コミュニティの意見を軽視する当局もあった。支援者や援助団体は住民が参加・議論ができる審議プロセスの中で得た適時要望を優先した。
これらの問題に対処するため、以下の対策の実施を推奨する。
1. 国連関係機関、NGOは、特定の国の支援復興政策及びプログラムにおいて、先に述べた人権事情を考慮すること。非国家主体は、武力紛争、法的身分、カースト差別、政治的・市民的権利の制限などの既存の人権背景を考慮にいれた上で救援や復興活動を行うこと。人権フレームを取り入れることで、人道グループが弱者を特定でき、さらなる被害を受けないように支援を提供できる。
2. 国家は、援助分配の過程を調査するため、津波被災地に独自調査を命じること。援助分配が適切に、公平に、効果的に行われたか、また見落としがないかの判断がこの調査の目的であり、支払われるべきものを受けていない生存者のための改善措置となる。
3. 国家は官民の支援提供団体の活動の透明性と責任能力を高めること。 調査を行った5カ国の国内人権委員会は、政府が国際人権基準を順守しているかを監視、報告すること。また、国家は復興段階の間、津波被災者の個々の苦情に対応するためのオンブズマンオフィスを設置すること。オンブズマンは、人権侵害における個々の問題の調査や、必要な場合は国内法に基づいた告発などを委ねることもできる。
4. 津波による惨事の復興段階の間、国家関連機関は、国連やNGOとの連携を強化すること。ここ数ヶ月間で、国家は援助物資の種類や品質の知識や管理能力を高め、領域内で活動しているNGOの数を把握しつつあるが、さらなる協調が必要である。救援や復興に従事する国内、国際援助機関が正当であることを保証するため、全ての機関をcentral registryが記録しておくこと。国連は指導的役割を担い、NGOの復興活動や官民の再建活動の同期化の促進などに協力するべきである。
5. 国家、国際機関、地域の援助組織は、地域住民に、復興の計画と実現への参加を促進すること。国の復興機関は、正当で透明な地域ベースの協議メカニズムを作ること。国連関係機関やNGOもその協議に参加し、全ての供給者と地域住民が団結すること。
6. 人権フレームにより沿岸部の再開発と土地の権利の復旧の情報を提供すること。 NGOと生存者が正統に協議できる機会を持ち、再開発計画を明白にすること。土地の権利が不確かな多くの地域では、紛争がおき、時に暴力行為を引き起こすケースもある。所有権、占有権を定めるための迅速承認制度を導入するべきである。上述のオンブズマンオフィスはこの役割を担えるだろう。
7. 現在、国家間紛争の影響をうけている地域には、特に注意をすること。
明らかな政治的暴力による戦争であるため、紛生存者の援助より、争当事者が優先されることがある。このような状況の中、国連や国際仲介団体は、人道支援提供団体が必要とする援助能力を最大限に発揮できるよう、争いの一時休戦と和平合意のためにリーダーシップを発揮するべきである。
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情報源: East-West Center (EWC)
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SEEDSによるカシミール地震への対応
・SEEDSはカシミール地震の情報収集や最新情報を発信するため、インフォメーションデスクを10月8日の10時に設置した。
・人員動員した査定チームはジャンム・カシミール(Jammu and Kashmir)へ向かった。Rajesh, MitalそしてChanderがチームに入り、ホメオパシー療法の医師であるSanjayも同行している。Rajeshはデリー事務所のトレーニングコーディネーターで、Mitalはソーシャルワークの専門家でグジャラート地震の際にコミュニティー防災プログラムのコーディネートをした経験がある。Chanderはヒマチャル・プラデーシュ(Himachal Pradesh)の地震安全プログラムを運営するエンジニアである。RajeshとMitalは緊急時に津波被災地に行った経験がある。
・チームの主な目的は緊急のニーズを査定することである。彼らはBramula, KupwaraそしてPoonchにも行く選択肢も考慮に入れており、今後チームを2つに分ける可能性もある。このチームは査定手順を用意して、いち早く情報を提供することを目的としている。この情報を元にインフォメーションデスクは引き続き、最新情報を提供し、ホームページに掲載していく。(www.seedsindia.org)
・チームは一日目をジャンムで過ごした。彼らは2つのチームに分かれ、ひとつは政府の事務所を訪れ、もうひとつは近隣タルカ(県の下位にあたる地方自治体の単位。郡)の村々へフィールド訪問することになった。このレベルの政府はまだ救援活動におけるNGOの巻き込みに関して明確な政策を持っていない。ジャンム近郊では建物の被害はあるものの、大規模な損害や死者は出ていない。
・チームはPoonchに向けて今朝6時にジャンムを出発した。正午までには到着したはずである。チームはPoonchでフィールド調査をし、救援活動において地元当局を助けるために地域収税官(District Collectorate)と交流する目的である。
・チームは現在コミュニケーション手段を欠いており、我々は彼らが状況を伝えてくれるのを待っているところである。
・一方我々は昨日、デリーから委託された100のテントと500枚の毛布を送った。問題なければ明日までにPoonchに届くはずである。
・我々は総務省の災害対策室(Disaster Control Room at the Ministry of Home Affairs)に現地での任務を伝え、緊急活動に対する支援を申し出た。それに対する反応を待っているところである。
・いったん我々のチームが地元政府からサポートを受ければ、救援物資はPoonchへ届き、翌日くらいにはPoonchにおける救援活動を実施することが可能になる。我々は現地のニーズに応じて次の計画を立てることになっている。
・ADRRN(Asian Disaster Reduction and Response Network-www.adrrn.org)のパートナーNGOと連絡を取っており、パキスタンの地震の被災地支援のための計画を策定している。この計画は数日で決定される予定である。パキスタンでは被災地のNGOパートナーを通して、活動する予定である。
・SEEDSのカブール事務所ではアフガニスタンの被災状況も探っている。もし状況が悪いなら、カブール事務所をとおしてアフガニスタンでの救援活動を開始する。
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情報源: SEEDS
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パキスタン・インド・アフガニスタン地震:OCHA現状レポートNo.6
パキスタン
10月11日、約2億7200万ドルの即時要請が初期6ヶ月間の人命救助と早期復興のプロジェクトに投入された。
現状:
1.パキスタン政府の情報によると、最新の死傷者の総計は約33,000人に上る。避難所が緊急に必要な人々は12万人おり、最悪400万人がホームレスになる恐れがある。
2.被災者のニーズに応えるための主要課題のひとつが、地滑りによって遮断された交通手段である。現在、道路上の障害物の除去が行われており開通した道路もあるが、ほとんどの被災地はヘリコプターでしかアクセスできない。現在イスラマバードから被災地へは陸路で6~7時間かかる。したがって、数日中の最優先課題は交通手段の確保と被災者の緊急要請に対する支援物資の輸送である。
即時要請 :
3.10月11日、約2億7200万米ドルの即時要請が初期6ヶ月間の人命救助と早期復興のプロジェクトに投入された。主導機関は各集団間の協調関係を保つことを任命された。即時要請を含むプロジェクトは、調査が行われより正確な情報が利用可能になるように展開・調整されるだろう。
4.即時要請は、この先6ヶ月で被災者が優先的に必要としている以下のようなものを賄う。
避難所物資:防寒用テント、ビニールシート、厚手の毛布、マットレス、暖房器具
食糧品:調理済み・缶詰のハラール食品、高カロリービスケット、救命食糧
野戦病院と医薬品:抗生剤、腸チフスの薬、救急箱と手術器具
水の供給設備と浄水剤
輸送手段:重装備ヘリコプター
ムザファラバードでの緊急調査:
5.ムザファラバードにいるUNDACのチームによると、倒壊を免れたほとんど全ての建物の壁に大きなヒビが入っている。都市の約70%が破壊され、残された人々は生活していくことができない。人々は厳しい寒空の下、屋外で眠っている。全ての商店が被害を受けて閉まっており、ほとんどの供給ラインが破壊されたため、人々は食糧を手に入れるすべがない。道路・鉄道が通行不可能なため負傷者は病院に行くことができず、多くの人が救助を待っている。病院は被災者に十分対応できていない。日に日に伝染病の危険性が高まっており、遺体の捜索と墓地の準備が進められている。
6.初期の統計に基づくと、9万人(90%)の人々がムザファラバード市内で直接被害を受けた。農村部では、緊急援助を必要としている人が70万人いるなど、深刻な被害を受けた人々は70%に上る見込みである。
7.ムザファラバードはマンセーラ(Mansehra)からイスラマバード近郊のムリー(Muree)を経由する経路で到達できる。アボッタバード(Abbottabad)からマンセーラ(Mansehra)までの道は開通している。物資を運ぶNGOの比較的小さなトラックが陸路で被災地に入ったと報告されている。
8.10月10日、激しい大雨による二時間の休止の後、ヘリコプターは被災地への救援物資の運送を再開した。捜索と救助も進行中であるが、明日には縮小されると予想されている。
9.空からの調査により、Chivar Khasの町の少なくとも60%以上が被害を受けていることが明らかになった。道路が地すべりにより大きな被害を受けたため、唯一残った交通手段はヘリコプターである。バグ(Bagh)の町は機能の70%が被害を受けていることがわかった。Rawala Kotの町は少なくとも機能の50%が被害を受けており、車では到達できない。
ムザファラバードの緊急課題:
10.最も重要なものは、公衆衛生、医薬品の供給、水と衛生管理、避難所、食糧と日用品である。ロシアとICRC(赤十字国際委員会)によって250床の病院が建てられたが、さらにもう1箇所が必要である。
11.都市部に15,000張、農村部に116,000張のテントが必要である。山岳地帯での降雪と寒さを考慮して、テントは防寒仕様の必要がある。イスラム救援(Islamic Relief)が提供した500張を含め、NGOが現在テントを供給している。
12.都市部で15,000家族分、農村部で116,000家族分の食糧が緊急に必要である。食料は家族の栄養所要量を満たす必要がある。伝統的食糧は特に小麦粉、米、牛乳、砂糖、pulses(豆)、調理用油などである。現在、被災地には電気が来ていないため、調理も重要な課題である。したがって、半月間の調理済み食糧も必要である。
13.全ての水道システムが破壊されたため、水の供給は重要な問題になっている。車で移動可能なタンクと都市での一時貯蔵設備が必要になっている。タンク10基と10,000ガロンの貯水設備が100箇所、1家族あたり2つの19リットル缶が必要である。
14.都市部では15,000家族、農村部では116,000家族に、1家族あたり6枚の毛布が必要である。
15.少数の医療チームが到着しているが、物資の供給が不足している。病院と緊急医療設備の甚大な被害を考慮した上で、十分な医薬品とともに多くの医師とサポートスタッフが必要である。これらの数字は次のレポートに盛り込まれるべきである。
国際的対応:
16.ほとんどの捜索救助チームが10月10日に到着し、ムザファラバード市内の学校、銀行、商業施設、住宅など、現地の人が助けを呼ぶ声を検知した場所に派遣された。10月11日の夜現在で、11人が瓦礫の中から救出された。捜索・救助活動は明日から縮小されることになっている。
17.ムザファラバードにいる全ての捜索救助チームの活動と運動のコーディネート・センターとしての役割を担うために、UNDAC(国連災害評価調整)は現地活動調整センター(On-site Operations Coordination Centre・略称OSOCC)というセンターを設立した。到着した捜索救助チームの調整を行う受付センターはHeripad地区に置かれた。周囲の村は10月12日に調査を行う。
その他の進展:
18.状況報告書No.5に加え、捜索救助チームに関する進展がある
– 中国のチームがムザファラバードで活動している。
– スペインのチームがバグで活動している。
– スイスの緊急対応チームがアボッタバードに向かっている。
– フォーカス人道救助チーム(FOCUS Humanitarian search and rescue)がRawalakotとムザファラバードで活動中である。
– ドイツのチーム(陸軍、ドイツ連邦技術支援隊(THW)とASAR)がムザファラバードで展開している。
20.現在、国連世界食糧計画(WFP)は食糧支援のために航空機を調達している。世界保健機構(WHO)は外科医療チームを11チームと公衆衛生チーム1チームを被災地で展開している。OCHAとWHOの連合は、防寒テント60張とブランケット3,600枚、19リットル缶1600個、貯水コンテナ5基、発電機2基、調理キット216家族分、浄水ユニット1基を発送した。これらはすべてイタリアから寄付されたものである。さらにWHOの備蓄していた緊急医療キットAを5セット、緊急医療キットBを5セットと新しい緊急医療キットを5セット発送した。荷物は本日イスラマバードに着く予定である。OCHAはノルウェーが寄付した、キルト毛布6,760枚、テント150張、ビニールシート6ロール、フィルター付き緊急飲料水キット5,240セットを発送した。荷物は本日遅くに届く予定である。
インド-ジャンム・カシミール地方
現状:
21.公式報告書は死者946人と負傷者4,386人を確認している。被害調査レポートは32,335の建物が崩壊したと報告している。通信網やインフラ機能などの必要不可欠なサービスが崩壊している。
政府の対応:
22.インド政府はまだ国際支援を要請していない。
23.捜索救助隊を指揮している陸軍、空軍、現地の有志らが被災地区の行政を支援している。食糧の供給、避難所、医薬品と医療が緊急の課題である。健康局(The Directorate of Health)は医療救助を調整し、21の医療対応チームを展開している。
24.首相は10億インド・ルピー(約23,140,000米ドル)を緊急支援活動と援助に投入した。
25.計画の最新情報と即時要請、緊急救援全般、資金援助は金融追跡調査会へ。
(http://ocha.unog.ch/fts/reports/reportlist.asp?section=CE&record_ID=688)
地震の協力要請と資金援助に関する更なる情報はReliefWebで。
(http://www.reliefweb.int/rw/dbc.nsf/doc105?OpenForm&rc=3&emid=EQ-2005-000174-PAK)
26.OCHAはさらに情報が手に入れば、随時更新を行う。現在進行中の事態に関するさらに詳しい情報とともに、この状況報告書はOCHAのウェブサイトでも閲覧可能である。
MAP: South Asia (Pakistan, India): Earthquake – Situation map (PDF format, 602 KB)
Tel.: +41-22-917 12 34
Fax: +41-22-917 00 23
E-mail: ochagva@un.org
緊急連絡用: Tel. +41-22-917 20 10
担当:
Ms. Merete Johansson, 直通 +41-22-917 1694
Ms. Masayo Kondo, 直通 +41-22-917 1997
Mr. Masaaki Nakagawa, 直通 +41-22-917 4034
広報関係:
(GVA) Ms. Elizabeth Byrs, 直通 +41-22-917 2653
(N.Y.) Ms. Stephanie Bunker, 直通 + 1-917 367 5126
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情報源: 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)
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パキスタン・インド・アフガニスタン地震:OCHA現状レポートNo.5
パキスタン
現状:
1.パキスタン政府は大地震による死者が23,000人に達すると推定した。400万人が被災し、そのうち100万人は深刻な被害を被った。また、42,397人がけがを負ったと確認されている。
2.140以上の余震が記録され、そのうち21はマグニチュード5.0以上であった。被災地が山岳地帯でるため、また寒さや倒壊したインフラのせいで支援物資の配布は滞っている。遺体の回収や埋葬が進められている。
3.国連災害評価調整(UNDAC)チームは、捜索・レスキュー隊によって25の建物が捜索されたMuzaffarabadにおいて、8人が救出されたと報告した。
緊急ニーズ:
4.パキスタン政府は国際社会に向けて優先的なニーズを発表した。
·住居(避難場所を必要としている推定400万人に対して冬用テント・ビニールシート・厚い毛布や布団・マットレス・暖房器具)
·食糧(缶詰・イスラームの戒律に従ったハラール食品・高カロリービスケット・配給食料)
·医薬関連(病院・抗生物質・チフス治療薬・骨折関連のキット・救急救命器具・外科手術用具・浄水キット・錠剤)
·道路のがれきを取り除くための貨物ヘリコプターや重機
·金銭的援助
国家対応:
5.あらゆる国家資源が動員され、パキスタン国民は不屈の精神でこの国家的悲劇に勇敢に立ち向かっており、いかなる段階においても救出と救済に貢献している。
6.緊急事態に対する活動を調整するため、災害対策本部(Disaster Management Cell)が首相官邸に、危機対策本部(Crisis Management Cell)が内務省に設置された。また外務省には、国際支援を適した省庁につなぐ緊急事態調整センター(Emergency Coordination Center)が設置された。
国際的対応:
7.速報のアピール( Flash Appeal)が10月11日に始まる。OCHAは10月13日にジェノヴァで(the Permanent Missions)とともに第二回情報会議を開くことになっている。
8.各国の捜索隊・救助隊は以下の地域に配置されている。
·日本:Batagram
·オランダチーム:Bagh
·フランス:BalakotとMuzaffarabad
·トルコ:Muzaffarabad
·アラブ首長国連邦:Muzaffarabad
·英国:Muzaffarabad
·Aga Khan基金:MuzaffarabadとBalakot
9.現在4つの国連機関査定チーム(UN inter agency assessment teams)がMuzaffarabad、北西辺境州(NWF)、Mansehraにある。
10.国連開発計画(UNDP)は地域減災アドバイザー(Regional Disaster Reduction Adviser)をパキスタンに配置した。
11.国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)には利用可能な1,400組のテントや10,000枚のビニールシート、また大量の石けんなどの非食糧物資がある。
12.国連児童基金(UNICEF)は水コンテナと浄水用の錠剤の備蓄が倉庫から被災地へ運ばれているところであると伝えた。
13.世界食糧計画(WFP)には保管能力があり、支援団体らはそこに救援物資を貯蔵することができるだろう。WFPでは10,000トンの小麦粉と4,000トンの植物油、配給用の120トンの高カロリービスケットが利用可能である。WFPは現地経験のある物流専門家を配置しており、輸送をリードするだろう。
14.1,000軒の病院が完全に倒壊し、医療物資が不足し厳しい状況にある。世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF)は厚生省(Ministry of Health)を支援し、外科チームが最も被害の大きい地域に派遣された。WHOはすでに14人の国際専門家とともに評価チームを派遣しており、緊急の健康及びトラウマキットを配ることになっている。外国からの対応を調整するためにWHOは保健団(health cluster)のミーティングを召集する。国連人口基金(UNFPA)は妊婦をケアするための医療器具の調達を行っている。
15.国際移民機関(IOM)は輸送の支援を貨物だけでなく住むところを失った人々にも提供している。
インド――ジャンム・カシミール(Jammu and Kashmir)
現状:
16.10月10日現在、地震による死者は少なくとも880人に上り、そのうち794人は市民で86人はインド側カシミールの兵士である。
国家対応:
17.Srinagar、Baramullah、Uriに市民の管理と警察による合同管理室(The Joint Control Rooms)が設置された。
18.軍はジャンムー・カシミールの被災者のために「Operation Imdad」と呼ばれる大規模救援・救急作戦を開始した。軍はUri, Rampur, Baramullah, Naogaon, Tanghdhar, Poonch とその他の地域で救援を行っている。市民はUriやPoonch、その他の地域のキャンプで医療支援を受けている。
19.支援の送り手と受け手の機関は、ニーズへの対応の全体像を把握するため、すべての人道的支援金と物資の支援を人道的な Financial Tracking Service (fts@reliefweb.int, www.reliefweb.int/fts) に報告するよう求められている。報告は翌日の更新に反映されることになる。現在の貢献は以下のウェブサイトで見ることができる。http://ocha.unog.ch/fts/reports/daily/ocha_R10_E14961___05100921.pdf.
20.国連人道問題調整事務所(OCHA)は入手しだい情報を追加する。このシチュエーション・レポートは、進行中の緊急事態のさらなる情報とともに、OCHAのウェブサイト http://www.reliefweb.intで利用可能である。
MAP: South Asia (Pakistan, India): Earthquake – Situation map (PDF format, 602 KB)
Tel.: +41-22-917 12 34
Fax: +41-22-917 00 23
E-mail: ochagva@un.org
緊急の場合のみ: Tel. +41-22-917 20 10
Desk Officers:
Ms. Merete Johansson, 直通. +41-22-917 1694
Ms. Masayo Kondo, 直通. +41-22-917 1997
Mr. Masaaki Nakagawa, 直通. +41-22-917 4034
Press contact:
(GVA) Ms. Elizabeth Byrs, 直通. +41-22-917 2653
(N.Y.) Ms. Stephanie Bunker, 直通. + 1-917 367 5126
原文URL: http://www.reliefweb.int
情報源: 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)
*著作権は情報源に帰属します。
パキスタン・インド・アフガニスタン地震:OCHA現状レポートNo.2
この現状レポートはイスラマバード、デリー、カブール国連駐在調整員事務所とバンコクアジア太平洋OCHA事務所による情報を元にしたものである。
パキスタン
現状:
1.2005年10月8日パキスタン北部にてマグニチュード7.4を記録する強い揺れが感じられ、首都イスラマバード、ムザファラバッド、ラワルフィンディ、ラホール、ペシャワールでも建物の揺れがあった。
その後もマグニチュード5.2~6.3の余震が10回以上に渡って発生している。
軍隊と国家管理局は救助と援助活動に着手している
影響:
2.北西辺境州の北部6つの地区と、ムザファラバッドを含めたジャムカシミール州のアザッドの5つの地区壊滅的な被害を受けた。高層住宅と泥土による家の多くが崩壊し、多くの死者と負傷者をだした。イスラマバードでは11階建ての住居アパートが崩壊し、救助作業が今続けられているところである。
国家対応:
3.内閣によって緊急援助室が設置され、援助物資トラック12台分(6台ずつ北西辺境州とへジャムカシミールへ)が現地へと運び込まれている。これらの援助物資は影響を受けた地区の行政による調査に基づいて行われた。
Church World ServiceはMuree Hillに600張のテントを輸送した。FOCUS Humanitarian Assistance、Aga KhanNGOはイギリス支部より救助レスキューチームが送られており、深刻な被害を受けた地域へ整った機材と共に10月9日に到着すると発表した。
政府は国連へ政府連邦局と連携の上、これらの調整を求めた。
4.イスラマバードでは、パキスタン赤心月社の10台の救急車がアパートが倒壊したあたりで活動を展開した。赤新月社の救急スタッフが医療支援を被災地で行っている間にもボランティアが救助や捜索活動の支援のために活動を行っている。
赤新月社北西辺境州支部ではManshera、Swat、Batgramなどの地域を含む広い範囲をカバーする調査チームを2チーム送り込んだ。調査チームはパキスタン側カシミールへ国家本部より送り込まれている。
5.赤十字、赤新月社連盟は災害救援緊急基金(DREF)から30,000スイスフラン(約23.600ドル)を支援すると決定した。これは時間が経つとともに増額されることが見込まれる。
人道援助:
6.OCHAは政府の要請に応え、UNDACチーム8名を調査と調整のために現場へと送った。チームは10月9日午前にはイスラマバードへ到着する予定。
7.国連災害マネージメントチーム(UNDMT)は、10月8日国連機関と人道援助を行う国際、国内NGOが出席をし会合を行った。UNDMTは3機関による国連間迅速調査チームによって構成され、その3機関の1つ国連児童基金(UNICEF)は北西辺境州へ、国連人口基金(UNFPA)はジャムカシミールへ、そして国際NGO評議会は北部地域へと送られる。チームは10月9日出発する。
10月9日には政府高官と数機関代表とUNRCによって今後のニーズ議論と緊急援助の連携手順が議論される予定である。UNDMTミーティングはまた10月9日にも予定されている。
8.国連とドナーコミュニティによる支援と連携によって政府は今後のニーズを緊急援助対応、捜索・救助活動、ニーズ調査を最も重要な部分とした。
インド
影響:
9.インドジャムカシミールでは213人が死亡、16人の軍人を含む。385人がParaypora, Poonch, Baramulla, Srinagar and Anantnag地区で負傷した。これまでの調査では963の建物が被害を受けた。
10.インド国連駐在調整事務所によれば(www.undp.org.in/dmweb)最もひどい被害を受けたジャムカシミールの地区はPoonch, Baramulla , Jammu, Udhampur, Ramban Kathus, Srinagar, Budgam, Anantnag, Pulwama and Kupwara.
国家対応:
11.被害を受けた地区行政は軍と空軍の支援を受け、救助捜索と援助活動をUri,Tanghar,Baramulla,Kupwaraで活動を行っている。電気、水や通信システムなどの必要物資は回復をしている。負傷者はUriの屋外病院へと運び込まれた。また一時的な病院が設置され医者もUriへと負傷者の手当てのために送られた。
12.インド首相は現状を深く観察を行い、1,000,000インドルピー(約23,000ドル)を被災者に対して支援を行うと発表、また中央による州に対しての支援も可能な限り行うとした。内務大臣はジャムカシミールの書記長と共に現状把握を行った。そのほかの地域の超に対しても緊急援助支援の要請が行われた。
13.インド赤十字社は現状の情報収集に当たっている。デリの本部は北東部と北西部支部と連絡を取り合っている。インド赤十字社の対応はとり行われた国との協議によって決定される。
アフガニスタン:
影響
14.地震の揺れはアフガニスタンでも感じられた。ナンガハール、ジャララバッド州でも泥土の家作りが小規模だが崩壊した。アフガニスタン国連支援ミッション(UNAMA)ジャララバッドは少なくとも1人が死亡と報告した。UNAMAは国連機関と地元政府と連携しながら被害を調査し、今後の対応を検討する。
国家/国際対応
15.アフガニスタン赤十字、赤新月社連盟はバグラン州(パキスタン北西部との境界)へと代表者を可能性のある支援の調査として派遣した。アフガニスタン赤新月連盟はアフガニスタン赤十字、赤新月社連盟代表は現状を観察し、支援地域への支援チームを派遣した。
今後の情報は随時発表可能となった時点でリリーフウェブへと反映される。
原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源: 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)
*著作権は情報源に帰属します。
スリランカの人道支援情勢報告2005.9.30-10.7
■ 状況の全容
ノルウェー政府は国際労働機関(ILO)の支援180百万ルピー(180万USドル)の援助金と共に、津波の早急な復興支援の為スリランカに供与した。ノルウェーは国際労働機関(ILO)と共同して、津波によって被害を受けた地域社会の経済の回復と貧困の軽減に貢献している。所得回復支援活動(IRTAP)は国家再建タスクフォース(TAFREN)によって創設された生活復興支援活動を強化することを予定している。生活復興支援活動の最終目的は、復興支援一時金の使途計画や労働者への賃金、経済活動の回復と向上のための援助の調整と監視を強化することであり、国連開発計画(UNDP)と世界銀行もこれに支援している。
津波評価連合(TEC)のメンバーは国内に滞在しており、彼らはコロンボや当該地域において、様々な関係者と打合せを行っている。
■ 最大の課題と責任
所々ではモンスーンの季節がやってきている。バチカロア(Batticaloa)にもまもなくモンスーンが訪れ(10日以内には来ると予測されており、2~3ヶ月は続く見込)年明けまでは建設工事が難しくなるであろう。平面図の作成や土地の測量は土壌状態がよくなり、公私の土地が分配されるまでは不可能である。国連難民高等弁務官(UNHCR)は、土地はその受給者の所有権と共に分配されるべきであり、そして公平に配分されるべきであり、権利者によって明確に申告されるべきであると主張している。回復のためのもうひとつの課題は さらに人々を失望させるであろう、LTTE(タミル・イーラム解放の虎)とアンパラ県知事(GA)によって設定されたこれらの目標である。(例えば、タミル新年の1月4日までに全ての住宅の建設をすることなど)雨によって舗装されてない道路が通行できなくなると、キャンプまでの通路確保が最大の課題となるであろう。国際的組織と国連人道問題調整事務所(OCHA)協力による会議ではこれらの課題への暫定的な取り組み計画が今後話し合われる予定である。
■ 調整と公共サービス
津波後1年間の活動報告におけるワークショップが10月5日、関係者全員参加のもとで開催された。活動チームは現在のところ10月中旬~最終期限=12月中旬となっている計画の第一段階で活動中である。
災害危機管理と情報管理の一環として、ゴール市に於いて人道支援協会(HIC)は災害危機管理とゴール市の避難活動用地図を、地質調査関係者や採鉱関係者やスリランカ政府の気象庁などとも連携をとりながら、作成している。今週、国連人道問題調整事務所(OCHA)/人道支援機関(HIC)オフィスにおいて、地図作成の進捗情報および避難活動における有益な必須情報を共有、比較するための会合がゴール市に於いて行われた。
■ 食料の安全/確保
国際連合世界食糧計画(WFP)は緊急要請に基づき18万3千人の被災者に10967トンの食糧援助を行うことになっている。また月末には食料援助委員会と下部組織からのプログラム援助が実施されるだろう。
■ 健康に関すること
トリンコマリー(Trincomalee)地区の国際移住機関(IOM)健康調査委員はカラディー(Kallady)居住区で31人の水疱瘡感染を確認した。健康調査委員は政府保健省管轄(DPDHS)の副官と連絡をし、地域の疫学者ともっとも効果的な対策について話し合いを行った。感染が確認されるとすぐに、IOMは医療委員と200のワクチンを準備し、病気と伝染を防ぐための人材も割り当てた。
母子の栄養プログラムにおいては、国際連合世界食糧計画(WFP)は1332トンのCSB(大豆混合品)の食料援助を行う予定である。また、キリノチチ(Kilinochchi)に於いては、農業省員はエイズに関する農業関係者への教育の取り組みや話し合いの活動実施に力を注いでいる。
■ 水と衛生管理について
南部ペラリヤの津波による線路の被害はペラリヤ(Peraliya)、ヒッカドゥア(Hikkaduwa)の主な排水設備にも影響を与えている。津波によって破壊された列車車両の撤去についての計画は数ヶ月間進行中である。
ゴール県では、線路の両脇は地盤沈下により深刻な洪水の恐れがある。したがって、長期計画で支援している大手活動団体はゴール近郊の線路の排水設備の被害支援に取りかかる必要がある。コミュニケーションと公共の情報が排水設備被害を防ぐ重要な要素であり、廃棄処理に関する知識と管理が未だ必要とされている。
イタリアのNGOアリセイ(Alisei)は、タラピティア村(Talapitiya)(ゴールフォーグラベッツGalle Four Gravets)で20人の地元住民と排水の建設と再建のために活動しており、また水道局とも協力し150世帯に水道を引くための活動も行っている。
■居住とその他に関すること
ゴール県では208の家屋が寄付援助によって建設されている。周辺地域では、生活設備が不十分なため、引渡しが行われたのは80戸だけである。地域での準備が整い次第、早急に家屋の引渡しが行われる予定である。津波家屋復興活動(THRU: Tsunami Housing Reconstruction Unit)の9月26日のゴール県についての調査によると、5226戸の被害を受けた家屋のうち、緩衝地帯の中で5038戸に修理の必要があると報告された。被害調査チーム(DAT: Damage Assessment Team)は約6800世帯が10万ルピーもしくは20万ルピーいずれかの政府補償を受けることに値すると認めた。国家再建タスクフォース(TAFREN)の南西家屋再建機構は被害調査チーム(DAT)が査定した全ての家屋についてのデータベースを作成している。
■ 教育について
学校給食の支援活動も進行しており10万2千人の小学生が毎日昼食を食べることができている。国際連合世界食糧計画(WFP )の教育食支援プログラムでは841トンの食糧配給を予定している。
■ その他生活に関すること
今週、国際食料農業協会(FAO)は農業省とイタリアの市民保護局と協力し、米・野菜の種子・肥料・果樹を津波の被害に遭った、ハンバントタ(Hambantota)、マタラ(Matara)、ゴール(Galle)周辺の2000件の農場経営者への援助を実施した。今回2回目となる、南部地方でのこの援助活動は、マハ(Maha)地域での作付けの時期と合致している。
日本、ベルギーの援助と国際食料農業協会(FAO)の協力で2600個を超える漁業網、90機のボートエンジンが津波被害を受けたバチカロア(Batticaloa)地域の248の漁師へ援助された。もう一つの、イタリアの市民保護局による国際食料農業協会(FAO)は、津波の被害を受けたスリランカのトリンコマリー、マタラ、ハンバントタ地域の漁業の復帰のための緊急援助であった。この活動の焦点は、沿岸の人々の生活を通常の状態へと復興することである。活動では約3650の漁業資材、60機のエンジン、また約400艘の修理が完了している小漁船の改良などを行っている。約2100人が各々の米・野菜園・果樹園や放牧を津波の被害から復興・再開させるための農業資産を受益している。
イタリアのNGOアリセイ(Alisei)は水道局と協力して、津波の被害を受けた150世帯の水道復旧をする傍ら、ゴールフォーグラベッツのタラピティヤ(Talapitiya)で排水設備の修理や20棟のスリランカの建物復旧に協力している。タラピティヤ、ゴールフォーグラベッツ、コスゴダ(Kosgoda)、バラピティヤ(Balapitiya)地区において、イタリアのNGOであるCOOPIとCOSVは“彼らに希望を”と声を上げ活動を行っている。社会の復興と構築の焦点は、若者たちへ、ホテル業やコンピュータースキル、英語、などの収入を生み出せる技術を教えこむことで、特に女性やなど立場の弱い人々へ力を入れて実施されている。
ゴール県での国家再建タスクフォース(TAFREN)/ 国際労働機関(ILO)の所得復興活動はベントタ(Bentota)とアンバランゴダ(Anbalangoda)の2地区での活動を完了した。この村落計画で、道路や灌漑設備修復などの生活基盤の改良と復興、森林の回復、小さなビジネスや山荘業などの復興のためのキャッシュ・フォー・ワーク活動(労働に対して対価を支払う支援)が必要であることが明らかになった。さらに、漁業や農業、旅行業や衣料関係などの個人経営部分においても同様に労働力を必要としていた。
キリノチチでカリタス(Caritas)は187隻のボートと75機のモーターをヴァダマラクチ(Vadamarachci)東部の津波被害を受けた漁師へ援助した。津波で被害を受けたとされる数以上のボートが援助されていると各社は伝えている。
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情報源: UNOCHA
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津波で家を失った人々の二重苦
Action Aidはスリランカ政策研究所と世界銀行による、今日の報告書(Listening to those Who Lost)を読んで呆然とした。その報告書は、1月の津波によるホームレスの問題とスリランカの海岸沿い地域を追われた人々の移転の問題に焦点を当てている。
この報告書は、住宅、ホームレス、再建などの問題に関する、非常に広範囲にわたる調査報告書の1つである。その中で、スリランカ政府によって住む場所を追われた人々が直面している、三つの主要な問題が強調されている。
- 10人のうち8人が、スリランカ政府が提供した場所への家の再建を拒否した。70%近くの人は、彼らの先祖代々の土地である海の近くに住み続けたいと訴えている。
- スリランカ政府は彼らの意見を聴いたり調査を行ったりせず、一方的に移住先を指定している。
- この調査に回答した人の多くは、しっかりした地域の絆の維持や生計の保証といった要求が満たされなければ、移住することを望まないと思っている。
スリランカのアクションエイドの政策代表者であるSaroj Dashは次のように述べている。
“わたしたちはスリランカの東海岸と南海岸沿いの地域で起こっている事態を意識している。いまだに将来の計画をたてられないでいる人々がいるという現実。この報告書によって、政府が地域社会のニーズを聞かなければ、このような人々が二度も津波の被害者になることがはっきりしました。一度目は津波によって家を失い、二度目は政府による実行不可能な政策の押し付けによってです。”
アクションエイドは77,000人以上の人々と一緒に被害を受けた海岸沿いの地域で活動をしており、来年中に1,600戸以上の恒久住宅を再建することを地域の人々と協議している。
更に詳しい情報は:Niall Sookoo, Tsunami Press Media Relations on 07711 156 881
原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源: アクションエイド(Action Aid)
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ハーバード大によるハリケーンカトリーナの調査(仮約)
アメリカ: ヒューストンで行われたカトリーナによる被災者の調査から、彼らの半数が自宅で三日以上救助を待ち続けるという窮状にあったことがわかった。多くの人は健康に慢性的な問題を抱えているうえに、健康保険に加入していなかった。避難できなかった人々の38%は身体的に逃げることが不可能で、かつ一級身体障害者として介護を受けていた。
マサチューセッツ州・ボストン
ハリケーン・カトリーナとその後発生した洪水によって生活を破壊された人々が意見を訴える機会を作るために、ワシントンポスト紙とカイザー・ファミリー財団(Kaiser Family Foundation)、ハーバード大学公衆衛生学部は独自にヒューストン地区の避難所にいる被災者たちの調査を行った。3分の1(34%)の被災者は自宅に取り残されて救助が必要だった。取り残された人々の半数(50%)は救助されるまで3日以上待ち続けた。
ハリケーン・カトリーナの被災者の10分の1(14%)は、台風やその後の洪水によって家族や隣人・友人を失った。半数以上の人(55%)が家を破壊され、さらに、5分の2(40%)の人々が一日のほとんどを路上や陸橋などの屋外で過ごした。13%の人々は近くにいる家族がいまだに行方不明である。この調査から、ヒューストンの避難所にいる被災者が、復旧作業や救援を困難にする深刻な健康問題に直面していることが明らかになった。
健康に関する主要な調査結果は以下のとおりである。
– 52%の人々は、ハリケーンによる被害をカバーする健康保険に入っていなかった。保険の34%はメディケイド(低所得者医療扶助)であり、16%はメディケア(高齢者・障害者医療保険)であった。ヒューストンの避難所にいる人々の66%は、ハリケーンが来る前は総合病院と診療所を主な治療先として利用していた。それらの人々の大多数(54%)はニューオリンズの慈善病院を利用しており、実質二番目に多いニューオリンズの大学病院はたった8%であった。
– 33%の人はハリケーンによって負傷しているか健康に問題を抱えており、そのうちの78%は現在、栄養病気に対して治療を受けている。
– 41%は心臓病や高血圧、糖尿病、ぜんそくといった慢性的な健康問題を抱えている。
– 43%の人は処方薬を摂取する必要があるが、そのうちの29%の人は必要な薬を手に入れることが難しい。
– 61%の人が、ハリケーンが来る前に避難を行わなかった。そのうちの38%の人は身体的に避難ができないか、避難できない人を介護しなければならなかった。
– 39%の人々は、洪水や避難生活の間、政府系機関やボランティア団体から何の援助も受けていない。
この調査計画はハーバード大学公衆衛生学部の、保健政策と政策分析が専門のRobert J. Blendon教授が共同監督を行った。彼は以下のように述べている。“人々が政府機関やボランティア機団体などから何の助けもなく、何日間薬や食料・水なしで過ごしていたのかという事実は衝撃的だ。避難していない人々の多くは劣悪な健康状態にあり、ひどい状況だ。そもそも、多くの人は身体的に避難ができなかったと言っている。”
この調査によると、98%の人がニューオリンズ地域から避難してきていた。ヒューストンの避難所にいる、この悲劇を生き抜いた被災者の圧倒的多数(92%)が、宗教がこの2週間を切り抜けるための重要な助けになっていたと答えた。
ハリケーン・カトリーナによる被災者に対する調査は、680人のデータに基づいている。彼らはヒューストン総合公園(Houston Reliant Park Complex)、George R. Brown コンベンションセンター、ヒューストンとその近郊にある5つの小さな赤十字の避難所にいる18歳以上の人々の中から、無作為に抽出された。インタビューは2005年の9月10日から12日にかけて、直接対面式で行われた。全体の誤差の範囲は±4%であった。調査はワシントンポストとカイザー・ファミリー財団、ハーバード大学公衆衛生学部によって行われ、共同で分析された。インタビュアーはヒューストン在住でカイザー財団とICR/International Communications Researchのスタッフの監督下にある28名の専門家によって行われた。その際、ヒューストンのワシントンポストのスタッフからの情報も使われた。赤十字はインタビューチームに多くの施設でのインタビュー許可を与えたが、共同調査を行ったわけではなく、ここで発表されている調査結果に対する責任も負わない。
調査全体とその方法とワシントンポストの記事へのリンクがオンライン上で利用可能である。
より詳しい情報は以下まで。
Harvard School of Public Health
Robin Herman
rherman@hsph.harvard.edu
(617) 432-4752
Kaiser Family Foundation
Contact: Craig Palosky
CPalosky@kff.org
(202) 347-5270
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情報源: ハーバード大学
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シムルエ島(Simeulue)の地震
カレン・デイビス(Karen Davies)報告―バンダ・アチェ情報通信担当役員
リヒターの地震計目盛りでマグニチュード6.7の地震が木曜日、現地時間午前8時55分インドネシアのシムルエ島を揺さぶった。30秒以上揺れ、震源地はニアス島のシトリ(Sitol)山の北西111km(70マイル)の海中で震源の深さは30kmである、とジャカルタのインドネシア気象地球物理学協会が発表した。死傷者や被害の直後の報告はなかった。
今回の地震は3月にニアス(Nias)島を襲い1000人の死者をだし、シムルエ島の主要な町、シンガバング(Singabang)を広範囲にわたり壊滅した破壊的地震以来、この地方最大のものである。
コンサーン・ワールドワイド(Concern Worldwide)は2月以来シムルエ島で活動しており、12月の津波で破壊された道路や橋を修復している。また多くの家屋は倒壊し住居不可能であった為、住居問題にも焦点をあて、4部屋あるサンプルハウスを建てた。家は地元の建築家が設計し木材とヤシの葉を使い、雨季の間水浸しになるのを防ぐため脚柱のうえに建造されており、換気のために2側面が開いているもので、伝統的建築手法と自然材料を使用することでその地方でいつおこるかも知れない地震に耐えうるようになっている。
今朝の大きな地震はサンプルハウスの強度と弾力性を試したこととなった。その家屋は現在11人の救援作業員チームの事務所として使用されており、地震が襲った時はポーチでミーティングの最中であった。
コンサーンのプログラムコーディネーター、アンディー・フォックス(Andy Fox)は,「今朝9時頃大きな地震が島を襲った。すべてのものが左右に揺れ、その揺れは30秒以上続いた。我々はポーチにいたが家は横揺れを始めた。私が感じたなかで一番長く強い地震だった。全員外へ向かったが、建物はヤシの葉で葺いた屋根の木造家屋だったのでそれほど怖くはなかった。もし倒壊したとしても軽症ですむが、コンクリート家屋の中であれば重い怪我を負うだろう。」と述べた。
コンサーンは24ヶ月にわたって島に800棟の住宅を建築する計画であり地元住民が家の必要性について協会と話し合う場所として参加型農村アセスメント(Participatory Rural Assessment(PRA))の建築に着手している。コンサーンの家の設計に対して肯定的な反響があり,今日の地震はそれが持ちこたえるということを証明してみせた。アンディー・フォックスは、「感動的だ。損傷は全くなかった。マグニチュード6.7以上の地震にも耐えるという自信がある」と述べた。
原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源: コンサーン(Concern)
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