パキスタン:「時間との闘い」での敗北―長い冬への備え

いわゆる「時間との闘い」には敗北した。震災後の長い冬を迎える、パキスタンの山岳部での対応に焦点を当てていく必要がある。 金曜、ワールド・ビジョン中央アジアの副地域ディレクターDineen Tupa氏はこう語った。
「まだ最悪の段階ではない。この惨事は、今後何ヶ月も続くだろう」 「世界はこの状況を理解していない。被害規模の点から見ると、ここはバム(イラン)の30倍以上の被災者がいる。よって、寒さと被災地へのアクセスが大きな障害という点では、(スマトラ沖地震の)津波以上に恐ろしい災害なのである。」
雪への対策が最重要視され、2週間以内には遠隔地の山村にテント、毛布、食糧が届けられることになっている。
「それは、決して容易なことではないだろう」「援助団体は、数ヶ月もの間、キャンプいる人々に食糧を配り、山頂にいる、より多くの人々に食糧や避難用具を届けることになる。これは、単に2~3週間のみのことではなく、長期戦となるだろう」
「どれだけの人数が山岳地に留まるのか、またいつ彼らに限界が来るのか、そして彼らが山に留まるかキャンプに降りるかの決断がどれほど複雑であるかでさえ、全くわからない。」「しかし肝心なのは、我々は救助をするためにここにいるということであり、山であれキャンプであれ、彼らが望む場所で、我々は救援をするのみである。」と、Tupa氏は語った。
地域副知事(regional vice president)Dave Robinson氏は、被災地へ向かう際、イスラマバードにて次のように語った。「冬はひどい結果をもたらすであろう。寒波による第二の死の波が懸念される。」「世界中が働きかけなければならない。皆、疲れてきている。しかし、震災で生き残った人に対しては、援助疲れを弁明しようとする。我々は、もっと協力すべきなのだ。」
国連は水曜、ジュネーブにて、援助の要請を3億1300万ドルから5億5000万ドルに増やしたことを発表し、被害の大きさを強調した。結果は、6700万ドルの寄付と2800万ドルの追加援助公約があったのみだった、とロンドンのファイナンシャルタイムズは報じた。
ワールド・ビジョン・パキスタンのナショナルディレクターSigurdHanson氏は、世界はこれを南アジア地震と呼んでいるが、圧倒的に被害を受けたのは、少なくとも5万4000人が死亡したパキスタンである、と語った。また、ユニセフの推定では、国内の死傷者の半数は子供である、とニューヨークのエージェントスポークスマン Gordon Weiss氏は語った。
この地震により、少なくとも330万人以上が被災し、被害は2万5000平方キロメートルにも及んだ。下記はBBCによる報告である。
パキスタンのカシミール地方での最終的な死者の数は4万人を超える可能性がある。現在の負傷者数はおよそ7万人に上る。主都ムザファラバード(Muzaffarabad)の60万人の住民の多くは、屋外で眠ることを余儀なくされている。
パキスタンの北西辺境州では、少なくとも1万3000人の死者がでたという。人口3万人の都市バラコット(Balakot)は市全体が崩壊し、校舎の倒壊により、400人の子供が命を 落とした。人口9万1000人の都市Bhugarmong Valleyでは、住宅の80~90%が倒壊しているか、住めない状態であるという。
インドのカシミール地方では、死者はおよそ1400人、負傷者は5000人、また14万人が家を失った。およそ4万棟の住宅が倒壊したといわれている。
ワールド・ビジョンは、被災地に国際救援チームを置き、テント、毛布、調理セットの配布を行う一方で、パキスタン初の「チャイルド・フレンドリー・スペース」の設立を進め、避難所の素早い解決に取り組んでいる。
原文URL:
http://www.reliefweb.int
情報源: World Vision
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