スリランカの人道支援情勢報告2005.9.30-10.7

■ 状況の全容
ノルウェー政府は国際労働機関(ILO)の支援180百万ルピー(180万USドル)の援助金と共に、津波の早急な復興支援の為スリランカに供与した。ノルウェーは国際労働機関(ILO)と共同して、津波によって被害を受けた地域社会の経済の回復と貧困の軽減に貢献している。所得回復支援活動(IRTAP)は国家再建タスクフォース(TAFREN)によって創設された生活復興支援活動を強化することを予定している。生活復興支援活動の最終目的は、復興支援一時金の使途計画や労働者への賃金、経済活動の回復と向上のための援助の調整と監視を強化することであり、国連開発計画(UNDP)と世界銀行もこれに支援している。
津波評価連合(TEC)のメンバーは国内に滞在しており、彼らはコロンボや当該地域において、様々な関係者と打合せを行っている。
■ 最大の課題と責任
所々ではモンスーンの季節がやってきている。バチカロア(Batticaloa)にもまもなくモンスーンが訪れ(10日以内には来ると予測されており、2~3ヶ月は続く見込)年明けまでは建設工事が難しくなるであろう。平面図の作成や土地の測量は土壌状態がよくなり、公私の土地が分配されるまでは不可能である。国連難民高等弁務官(UNHCR)は、土地はその受給者の所有権と共に分配されるべきであり、そして公平に配分されるべきであり、権利者によって明確に申告されるべきであると主張している。回復のためのもうひとつの課題は さらに人々を失望させるであろう、LTTE(タミル・イーラム解放の虎)とアンパラ県知事(GA)によって設定されたこれらの目標である。(例えば、タミル新年の1月4日までに全ての住宅の建設をすることなど)雨によって舗装されてない道路が通行できなくなると、キャンプまでの通路確保が最大の課題となるであろう。国際的組織と国連人道問題調整事務所(OCHA)協力による会議ではこれらの課題への暫定的な取り組み計画が今後話し合われる予定である。
■ 調整と公共サービス
津波後1年間の活動報告におけるワークショップが10月5日、関係者全員参加のもとで開催された。活動チームは現在のところ10月中旬~最終期限=12月中旬となっている計画の第一段階で活動中である。
災害危機管理と情報管理の一環として、ゴール市に於いて人道支援協会(HIC)は災害危機管理とゴール市の避難活動用地図を、地質調査関係者や採鉱関係者やスリランカ政府の気象庁などとも連携をとりながら、作成している。今週、国連人道問題調整事務所(OCHA)/人道支援機関(HIC)オフィスにおいて、地図作成の進捗情報および避難活動における有益な必須情報を共有、比較するための会合がゴール市に於いて行われた。
■ 食料の安全/確保
国際連合世界食糧計画(WFP)は緊急要請に基づき18万3千人の被災者に10967トンの食糧援助を行うことになっている。また月末には食料援助委員会と下部組織からのプログラム援助が実施されるだろう。
■ 健康に関すること
トリンコマリー(Trincomalee)地区の国際移住機関(IOM)健康調査委員はカラディー(Kallady)居住区で31人の水疱瘡感染を確認した。健康調査委員は政府保健省管轄(DPDHS)の副官と連絡をし、地域の疫学者ともっとも効果的な対策について話し合いを行った。感染が確認されるとすぐに、IOMは医療委員と200のワクチンを準備し、病気と伝染を防ぐための人材も割り当てた。
母子の栄養プログラムにおいては、国際連合世界食糧計画(WFP)は1332トンのCSB(大豆混合品)の食料援助を行う予定である。また、キリノチチ(Kilinochchi)に於いては、農業省員はエイズに関する農業関係者への教育の取り組みや話し合いの活動実施に力を注いでいる。
■ 水と衛生管理について
南部ペラリヤの津波による線路の被害はペラリヤ(Peraliya)、ヒッカドゥア(Hikkaduwa)の主な排水設備にも影響を与えている。津波によって破壊された列車車両の撤去についての計画は数ヶ月間進行中である。
ゴール県では、線路の両脇は地盤沈下により深刻な洪水の恐れがある。したがって、長期計画で支援している大手活動団体はゴール近郊の線路の排水設備の被害支援に取りかかる必要がある。コミュニケーションと公共の情報が排水設備被害を防ぐ重要な要素であり、廃棄処理に関する知識と管理が未だ必要とされている。
イタリアのNGOアリセイ(Alisei)は、タラピティア村(Talapitiya)(ゴールフォーグラベッツGalle Four Gravets)で20人の地元住民と排水の建設と再建のために活動しており、また水道局とも協力し150世帯に水道を引くための活動も行っている。
■居住とその他に関すること
ゴール県では208の家屋が寄付援助によって建設されている。周辺地域では、生活設備が不十分なため、引渡しが行われたのは80戸だけである。地域での準備が整い次第、早急に家屋の引渡しが行われる予定である。津波家屋復興活動(THRU: Tsunami Housing Reconstruction Unit)の9月26日のゴール県についての調査によると、5226戸の被害を受けた家屋のうち、緩衝地帯の中で5038戸に修理の必要があると報告された。被害調査チーム(DAT: Damage Assessment Team)は約6800世帯が10万ルピーもしくは20万ルピーいずれかの政府補償を受けることに値すると認めた。国家再建タスクフォース(TAFREN)の南西家屋再建機構は被害調査チーム(DAT)が査定した全ての家屋についてのデータベースを作成している。
■ 教育について
学校給食の支援活動も進行しており10万2千人の小学生が毎日昼食を食べることができている。国際連合世界食糧計画(WFP )の教育食支援プログラムでは841トンの食糧配給を予定している。
■ その他生活に関すること
今週、国際食料農業協会(FAO)は農業省とイタリアの市民保護局と協力し、米・野菜の種子・肥料・果樹を津波の被害に遭った、ハンバントタ(Hambantota)、マタラ(Matara)、ゴール(Galle)周辺の2000件の農場経営者への援助を実施した。今回2回目となる、南部地方でのこの援助活動は、マハ(Maha)地域での作付けの時期と合致している。
日本、ベルギーの援助と国際食料農業協会(FAO)の協力で2600個を超える漁業網、90機のボートエンジンが津波被害を受けたバチカロア(Batticaloa)地域の248の漁師へ援助された。もう一つの、イタリアの市民保護局による国際食料農業協会(FAO)は、津波の被害を受けたスリランカのトリンコマリー、マタラ、ハンバントタ地域の漁業の復帰のための緊急援助であった。この活動の焦点は、沿岸の人々の生活を通常の状態へと復興することである。活動では約3650の漁業資材、60機のエンジン、また約400艘の修理が完了している小漁船の改良などを行っている。約2100人が各々の米・野菜園・果樹園や放牧を津波の被害から復興・再開させるための農業資産を受益している。
イタリアのNGOアリセイ(Alisei)は水道局と協力して、津波の被害を受けた150世帯の水道復旧をする傍ら、ゴールフォーグラベッツのタラピティヤ(Talapitiya)で排水設備の修理や20棟のスリランカの建物復旧に協力している。タラピティヤ、ゴールフォーグラベッツ、コスゴダ(Kosgoda)、バラピティヤ(Balapitiya)地区において、イタリアのNGOであるCOOPIとCOSVは“彼らに希望を”と声を上げ活動を行っている。社会の復興と構築の焦点は、若者たちへ、ホテル業やコンピュータースキル、英語、などの収入を生み出せる技術を教えこむことで、特に女性やなど立場の弱い人々へ力を入れて実施されている。
ゴール県での国家再建タスクフォース(TAFREN)/ 国際労働機関(ILO)の所得復興活動はベントタ(Bentota)とアンバランゴダ(Anbalangoda)の2地区での活動を完了した。この村落計画で、道路や灌漑設備修復などの生活基盤の改良と復興、森林の回復、小さなビジネスや山荘業などの復興のためのキャッシュ・フォー・ワーク活動(労働に対して対価を支払う支援)が必要であることが明らかになった。さらに、漁業や農業、旅行業や衣料関係などの個人経営部分においても同様に労働力を必要としていた。
キリノチチでカリタス(Caritas)は187隻のボートと75機のモーターをヴァダマラクチ(Vadamarachci)東部の津波被害を受けた漁師へ援助した。津波で被害を受けたとされる数以上のボートが援助されていると各社は伝えている。
原文URL:
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情報源: UNOCHA
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