パキスタン・インド・アフガニスタン地震:OCHA現状レポートNo.6

パキスタン
10月11日、約2億7200万ドルの即時要請が初期6ヶ月間の人命救助と早期復興のプロジェクトに投入された。 
現状:
1.パキスタン政府の情報によると、最新の死傷者の総計は約33,000人に上る。避難所が緊急に必要な人々は12万人おり、最悪400万人がホームレスになる恐れがある。
2.被災者のニーズに応えるための主要課題のひとつが、地滑りによって遮断された交通手段である。現在、道路上の障害物の除去が行われており開通した道路もあるが、ほとんどの被災地はヘリコプターでしかアクセスできない。現在イスラマバードから被災地へは陸路で6~7時間かかる。したがって、数日中の最優先課題は交通手段の確保と被災者の緊急要請に対する支援物資の輸送である。
即時要請 :
3.10月11日、約2億7200万米ドルの即時要請が初期6ヶ月間の人命救助と早期復興のプロジェクトに投入された。主導機関は各集団間の協調関係を保つことを任命された。即時要請を含むプロジェクトは、調査が行われより正確な情報が利用可能になるように展開・調整されるだろう。
4.即時要請は、この先6ヶ月で被災者が優先的に必要としている以下のようなものを賄う。
避難所物資:防寒用テント、ビニールシート、厚手の毛布、マットレス、暖房器具
食糧品:調理済み・缶詰のハラール食品、高カロリービスケット、救命食糧
野戦病院と医薬品:抗生剤、腸チフスの薬、救急箱と手術器具
水の供給設備と浄水剤
輸送手段:重装備ヘリコプター
ムザファラバードでの緊急調査:
5.ムザファラバードにいるUNDACのチームによると、倒壊を免れたほとんど全ての建物の壁に大きなヒビが入っている。都市の約70%が破壊され、残された人々は生活していくことができない。人々は厳しい寒空の下、屋外で眠っている。全ての商店が被害を受けて閉まっており、ほとんどの供給ラインが破壊されたため、人々は食糧を手に入れるすべがない。道路・鉄道が通行不可能なため負傷者は病院に行くことができず、多くの人が救助を待っている。病院は被災者に十分対応できていない。日に日に伝染病の危険性が高まっており、遺体の捜索と墓地の準備が進められている。
6.初期の統計に基づくと、9万人(90%)の人々がムザファラバード市内で直接被害を受けた。農村部では、緊急援助を必要としている人が70万人いるなど、深刻な被害を受けた人々は70%に上る見込みである。
7.ムザファラバードはマンセーラ(Mansehra)からイスラマバード近郊のムリー(Muree)を経由する経路で到達できる。アボッタバード(Abbottabad)からマンセーラ(Mansehra)までの道は開通している。物資を運ぶNGOの比較的小さなトラックが陸路で被災地に入ったと報告されている。
8.10月10日、激しい大雨による二時間の休止の後、ヘリコプターは被災地への救援物資の運送を再開した。捜索と救助も進行中であるが、明日には縮小されると予想されている。
9.空からの調査により、Chivar Khasの町の少なくとも60%以上が被害を受けていることが明らかになった。道路が地すべりにより大きな被害を受けたため、唯一残った交通手段はヘリコプターである。バグ(Bagh)の町は機能の70%が被害を受けていることがわかった。Rawala Kotの町は少なくとも機能の50%が被害を受けており、車では到達できない。
ムザファラバードの緊急課題:
10.最も重要なものは、公衆衛生、医薬品の供給、水と衛生管理、避難所、食糧と日用品である。ロシアとICRC(赤十字国際委員会)によって250床の病院が建てられたが、さらにもう1箇所が必要である。
11.都市部に15,000張、農村部に116,000張のテントが必要である。山岳地帯での降雪と寒さを考慮して、テントは防寒仕様の必要がある。イスラム救援(Islamic Relief)が提供した500張を含め、NGOが現在テントを供給している。
12.都市部で15,000家族分、農村部で116,000家族分の食糧が緊急に必要である。食料は家族の栄養所要量を満たす必要がある。伝統的食糧は特に小麦粉、米、牛乳、砂糖、pulses(豆)、調理用油などである。現在、被災地には電気が来ていないため、調理も重要な課題である。したがって、半月間の調理済み食糧も必要である。
13.全ての水道システムが破壊されたため、水の供給は重要な問題になっている。車で移動可能なタンクと都市での一時貯蔵設備が必要になっている。タンク10基と10,000ガロンの貯水設備が100箇所、1家族あたり2つの19リットル缶が必要である。
14.都市部では15,000家族、農村部では116,000家族に、1家族あたり6枚の毛布が必要である。
15.少数の医療チームが到着しているが、物資の供給が不足している。病院と緊急医療設備の甚大な被害を考慮した上で、十分な医薬品とともに多くの医師とサポートスタッフが必要である。これらの数字は次のレポートに盛り込まれるべきである。
国際的対応:
16.ほとんどの捜索救助チームが10月10日に到着し、ムザファラバード市内の学校、銀行、商業施設、住宅など、現地の人が助けを呼ぶ声を検知した場所に派遣された。10月11日の夜現在で、11人が瓦礫の中から救出された。捜索・救助活動は明日から縮小されることになっている。
17.ムザファラバードにいる全ての捜索救助チームの活動と運動のコーディネート・センターとしての役割を担うために、UNDAC(国連災害評価調整)は現地活動調整センター(On-site Operations Coordination Centre・略称OSOCC)というセンターを設立した。到着した捜索救助チームの調整を行う受付センターはHeripad地区に置かれた。周囲の村は10月12日に調査を行う。
その他の進展:
18.状況報告書No.5に加え、捜索救助チームに関する進展がある
– 中国のチームがムザファラバードで活動している。
– スペインのチームがバグで活動している。
– スイスの緊急対応チームがアボッタバードに向かっている。
– フォーカス人道救助チーム(FOCUS Humanitarian search and rescue)がRawalakotとムザファラバードで活動中である。
– ドイツのチーム(陸軍、ドイツ連邦技術支援隊(THW)とASAR)がムザファラバードで展開している。
20.現在、国連世界食糧計画(WFP)は食糧支援のために航空機を調達している。世界保健機構(WHO)は外科医療チームを11チームと公衆衛生チーム1チームを被災地で展開している。OCHAとWHOの連合は、防寒テント60張とブランケット3,600枚、19リットル缶1600個、貯水コンテナ5基、発電機2基、調理キット216家族分、浄水ユニット1基を発送した。これらはすべてイタリアから寄付されたものである。さらにWHOの備蓄していた緊急医療キットAを5セット、緊急医療キットBを5セットと新しい緊急医療キットを5セット発送した。荷物は本日イスラマバードに着く予定である。OCHAはノルウェーが寄付した、キルト毛布6,760枚、テント150張、ビニールシート6ロール、フィルター付き緊急飲料水キット5,240セットを発送した。荷物は本日遅くに届く予定である。
インド-ジャンム・カシミール地方
現状:
21.公式報告書は死者946人と負傷者4,386人を確認している。被害調査レポートは32,335の建物が崩壊したと報告している。通信網やインフラ機能などの必要不可欠なサービスが崩壊している。
政府の対応:
22.インド政府はまだ国際支援を要請していない。
23.捜索救助隊を指揮している陸軍、空軍、現地の有志らが被災地区の行政を支援している。食糧の供給、避難所、医薬品と医療が緊急の課題である。健康局(The Directorate of Health)は医療救助を調整し、21の医療対応チームを展開している。
24.首相は10億インド・ルピー(約23,140,000米ドル)を緊急支援活動と援助に投入した。
25.計画の最新情報と即時要請、緊急救援全般、資金援助は金融追跡調査会へ。
(http://ocha.unog.ch/fts/reports/reportlist.asp?section=CE&record_ID=688)
地震の協力要請と資金援助に関する更なる情報はReliefWebで。
(http://www.reliefweb.int/rw/dbc.nsf/doc105?OpenForm&rc=3&emid=EQ-2005-000174-PAK)
26.OCHAはさらに情報が手に入れば、随時更新を行う。現在進行中の事態に関するさらに詳しい情報とともに、この状況報告書はOCHAのウェブサイトでも閲覧可能である。
MAP: South Asia (Pakistan, India): Earthquake – Situation map (PDF format, 602 KB)
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原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源: 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)
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