漁業、パルプ、果実といったチリの主要産業への地震による打撃
情報源:Reutersより抜粋・要約
日付:2010/03/05
果実、パルプ、魚といったチリの主要な輸出品は地震によって打撃を受けた。ひどい地震は電源供給ラインを崩壊させ道路をずたずたにし、リンゴの大規模農園や松林の点在している沿岸部のすべての町を押し流した。
マグニチュード8.8の地震は何百人もの死者を出し、暴力的な略奪に拍車をかけたが、国の要となる銅産業には大きくは危害を加えなかった。しかしインフラの被害はラテンアメリカの中でもっとも安定した経済に長引く危険となっているようだ。
チリで最大の果実輸出業グループであるFedefrutaは、電源のダウンと道路の崩壊が世界第三位のリンゴ輸出に脅威をもたらしたと言った。農場で果物を新鮮に保つための冷却設備が地震によって被害を受けたため、リンゴの輸出はこのグループの当初2010年度に745,000トン見込んでいたところから5%減少するだろう。これは農場のインフラの被害からみた初期の見積もりで、これ以上の被害を避けることが重要だ。
世界でもトップの生産量のあるブドウの大規模農園では不安定な電源供給による灌漑システムの中断という問題が起きており、それはアボカドの収穫においても同様である。
(Fedefruta社長 Rodrigo Echeverria談)
世界第二位、年間約20億ドルの収益を上げているサーモンの養魚場のほとんどは地震被害を受けた地域より
南に位置していたが、他の魚や漁業製品の産地の半分は大きな被害を受けたコンセプシオンの周辺にある。漁船団の被害はなかったが、処理工場、港、倉庫が被災した。
(国内トップの漁業団体であるSonapescaジェネラルマネージャー Hector Bacigalupo談)
サーモンはウィルス被害もあって2010年の輸出はおそらく40%減って245,000トンになるだろう。
(業界トップの団体SalmonChile談)
チリではサーモン以外に400万~450万トンの漁獲高があるが、損失の見込みはまだ算出されていない。
紙の価格は地震以後上昇している。ビオビオ州のパルプ工場は世界一位のセルロ-ス産地だが供給が混乱状態にある。チリの林業複合企業体CMPCは地震のため3つ以外の工場をほとんど閉鎖している。競合会社Copecの林業部門はほとんどの設備が被害を受けて3月中はパルプの生産ができないとしている。
この南アメリカの国のパルプは世界の紙に使われるパルプの約9%をしめており、地震による損失は紙の価格を引き上げている。(世界的なパルプ業者談)
チリの代表的なワイン産業は、地震の揺れでステンレスや樫の樽、ワインボトルなどがひっくり返って、1.25億、リットル額にして2.5億ドルの損失になった。(アメリカの輸入業者談)
原文URL:reliefweb.int