ハイチ地震でHIV/AIDS対策の前進が帳消しに

ハイチ地震でHIV/AIDS対策の前進が帳消しに
情報源:Reuters
日付:2010/03/31
ハイチを壊滅状態にした1月の地震で、カリブ海諸国でのAIDSの拡大との戦いでの前進が、危機に陥っていると国連保健当局の高官は言う。
地震がハイチの保健システムを混沌に陥れ、診療所を破壊し、HIV患者から必要な医療を奪うまでは、ハイチの若者のHIV感染率は低下しはじめていた。
ハイチはカリブ海地域の中で最悪のHIV感染率を持ち、HIVウイルスの拡大が止まったことは、地域のコミュニティと密接に連携し、健康意識と処置の向上に取り組んできた援助グループの小さな勝利として歓迎された。
「進歩を見せている数少ない指標が、HIVに関する指標だった。」「ハイチはHIVへの対処の、ほぼモデルのようなものだった」と国連AIDS事務局長のMichel Sidibeはロイターに語った。  
地震で家を失った100万人以上のハイチ人が仮設テントで苦しい生活を送るにつれ、感染リスクは高まっている。
「仮設テントに住んでいる女性や少女は、レイプや性的暴力が始まる夕暮れ時に対する恐怖の中暮らしている。」とSidibeは言った。「我々が彼女たちを暴力から守ることが不可欠だ。さもなければ、新たな感染増加を見ることになる。」
HIVに感染しているハイチ人の2/3以上が地震で影響を受けた。また5000人以上の妊娠したハイチ人女性がHIV陽性だと彼は言う。
「彼女達はもっと予防をしなければならない、さもなければHIV陽性で生まれる赤ちゃんの数が増えるだろう。」とSidibeは言った。
彼はまた、地震のHIV患者に与える影響を評価するのは早すぎるだろうといった。なぜならば、投薬治療を奪われた者が病気になり、死ぬまでには短くとも6カ月はかかるからだ。
治療を止めた人たちは、薬に耐性ができてしまうというリスクがある。
「避難している住民に対し、コンドームの配布を含めた予防的措置を取る必要がある。そして情報がよく対象に届くようにしなければならない。」Sidibeは言う。
ハイチの雨季が不気味に迫っており、援助専門家の中には、何十万人にも上る地震の被害者に避難所が早く見つけられなければ、もう一つの人道的災害が起こるだろうという人もいる。
「世界は動き始めたが、ハイチの状況は良くなっていない。」Sidibeは言う。「それどころか、悪くなってきている。」
原文URL:reliefweb.int