地震後のパキスタン山岳北部の子ども達

■ムザファラバード2006.7.24
幼いラブバちゃんが栄養失調でテントの診療所に運ばれてきたときの体重は8だった。
彼女の体重は生後10ヶ月の赤ん坊ほどだったが、彼女の実際の年齢は10歳である。
ラブバちゃんの事例は南アジア地震の4ヶ月後の2月にユニセフの支援によってムザ
ファラバードに設立された診療所の人々に衝撃を与えた。“彼女はこれまで見た中で最も
ひどい例です。彼女は深刻な慢性栄養失調だけでなく、肺結核も患っています” と診療
所にカシミールの小児科から勤務するリアズ医師は話した。この診療所はこの地区では
初めての栄養失調の子ども達専用の施設である。ユニセフは診療所のスタッフへの賃
金を支払い、栄養価の高いビスケットやミルクなどの食料も提供している。リアズ医師達
の治療の結果、ラブバちゃんの状態は快方へ向かっている。彼女は他の5人の兄弟に
比べて幸運であった。彼らは同様の状況下で10歳になる前に死亡しているのだ。
■健康への初の取り組み
7万3千人の死者と3百万人の人々の家を奪ったマグニチュード7.6の大地震前の、パキ
スタンが統治するカシミール地区における慢性的な栄養失調者の割合は38%であった。
急性の栄養失調者の割合は5~10%であった。 “伝染病の蔓延、(健康に対する)知識
の欠如、食料の不足、これらが(栄養失調を)引き起こす原因である。この状況は地震
により人々の移動によって悪化しているのである。”とリアズ医師は話す。この地震は
パキスタンに長く存在している遠隔地や北東の山岳地方の健康問題について新しい扉
を開いた。長期的なユニセフの復興計画の一部として、基本的な薬や衛生面について村
人達に教えることで、彼らは村から離れた場所でも家族の健康状態が医者に見せる必
要があるかどうかを確認することができるようになっているのである。数百人のユニセフ
協力員の医療班のメンバーは既に現地入りし、該当家族の健康をチェックし、また彼らに
衛生面や病気、また特に深刻な栄養失調について改善できるよう教育している。
■急がれる子ども達への治療
子ども達の栄養失調が慢性化する前に手を打つべく、ユニセフは母乳を促進する盛大
なキャンペーンを行っており、また地方に50の補遺食料センターの建設を計画している。
“これらの作戦は手付かずだった部分にメスを入れた計画です。私たちはなんとかして、
子ども達の栄養失調が軽度なものから重度なものになるのを止めたいのです。”とユニ
セフの栄養プロジェクトの幹部ジョーン・エグブタ医師は言った。リアズ医師も同感であ
った。“必要なのは援助が必要な子ども達を見つけることである。でなければ事態は悪
化するであろう。”と。
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情報源: United Nations Children’s Fund (UNICEF)
原文URL: reliefweb.int