インドネシア:ツナミ・ソング ―歌うことは子どもたちを癒す―

津波の被害に打ちのめされたインドネシアのアチェ(Aceh)にある村、そこの仮校舎の中で子供たちは座ってアルファベットを読み上げている。そのなかに“津波の歌”を歌いたいと先生に言うため立ち上がった12歳の少年がいた。彼は優しく穏やかな声で歌い始めた。その歌は彼の村を押し流した波のこと、子供たちと離れ離れになった母親たちのこと、そして“何もかも洗いざらい持っていかれた”ことを歌っているものだ。
しかしその言葉は破壊や破滅ということだけを表すのではない。その歌は亡くなったすべての人の冥福を祈るということ、今こそ苦しんでいるすべての人がお互いに助け合うときだということを語った。
部屋の中で子供たちは泣き出し、先生たちも泣き始めた。しかしその部屋の雰囲気はゆっくりと変わっていった。一人の少女がある愉快な歌を歌いだすと、みんな泣き止んで笑い出したからだ。「この様な子供たちにとって、非常に大切でした」とアミー・ワクテル(Amy Wachtel)は言った。彼女はインドネシア、アチェのIRC(国際救済委員会)で児童保護のコーディネーターをしている。「このことは子供たちが笑ったり泣いたり、サポートを受けたりできる安全で、快適な場所を作ることの大切さをあらわしています」
12月の壊滅的な地震と津波を受けて、IRCはアチェ地方で被害を受けた沿岸の村の子どもたちを癒していく過程を支援する「場」を設けている。その目的は子どもたちが正常な状態を取り戻す活動に携わることができる、きちんとした環境を作ることである。
しかし、これは簡単な課題ではない。「危機的な状況によって心に傷を負った子どもたちは、多くの場合ふさぎ込んでしまいます」とワクテルは言う。彼女によると、彼らを引き出すためには、教育者がリクリエーションや独創的な表現力を学習活動に取り入れていかなければならないという。アチェでIRCはこの過程を導く年長の若者を巻き込んでいる。
IRCのチームはカラン(Calang)の被災した海側の町で、チャイルドフレンドリーセーフスペースをすでに展開させている。そしてそれと同時に身元の確認と、家族とはぐれてしまった子どもたちの登録を行っている。チームは彼らが行方不明の身内との再会できること、しばらくの間子どもたちが最良のケアを受けることができるよう、保障することを働きかけようとしている。
小さな男の子が自分の歌を歌ったというナガン・ラヤ地区で、IRCは先生達の手助けも同様にしている。「先生達と生徒達の苦しみに対応できるように、私達は先生達を支援しています」ワクテルは言った。「両方の傷つきやすくなっている子供たちが発する悲しみや苦しみのサインを認識し対応することが、よりよい癒しの環境を作るということにつながるでしょう。」
原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源: 国際救済委員会(IRC)
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