新しい憲法は、戦闘及び干ばつによって荒廃している国の遊牧民を助ける規定を含んでいる。
Wahidullah Amani、カブール(ARR No.103、2004.1.29)
クチ(遊牧民)のChaman Gulは、彼や彼の先祖が何世代もの間従ってきた遊牧生活をやめる時期が来たと思っている。
「我々の先祖は、他によい方法を知らなかった。彼らは砂漠を放浪し、いずれは死んでしまう動物に全財産を費やした。」と、他の40家族らと同様に現在カブールの西部の泥小屋の集落に住んでいる60歳の彼が言った。
「我々はこれ以上動物を買いたくない。我々は定住したい。」と彼は言った。
アフガニスタンの遊牧民の伝統的な牧羊者の生活は、近年ほぼ壊滅状態にあり、Chaman Gulのような人々の多くが、彼らがより定住した生活を送れるよう支援する新しい憲法の規定を歓迎している。
ハミド カルザイ大統領によって最近署名された憲法には、クチと呼ばれるパシュトゥン系の遊牧民の、住宅に関する規定を含む生活の改善を目的とした特別な条項が含まれている。
クチは、国連アフガニスタン支援団UNAMAによって、その国で最も危機に瀕している人口グループと選定された。
戦争だけがアフガニスタンやパキスタンのむさくるしいキャンプに多くの人を送り込んだのではなく、長年続いた干ばつは、彼らの残っていた家畜に多大な打撃を与えた。
冬はジャララバード、夏はカブールの間を移動するというChaman の以前の遊牧生活はほとんど不可能になり、40頭の羊を売らざるを得なかった。
この2年間、彼は首都で日雇いとして、かろうじて生計を営んでいた。
新憲法の第14条では、遊牧民の「経済的、社会的、生存的状況を改善する」ために必要なプログラムを実施し、「援助に値する市民に対し、住民の確保や公共の土地の分配のための必要な手段」を適用するよう国家に義務づけている。
クチに関する事案を担当している国境・部族間担当省の事務次官であるMohammad Omar abrakzaiは、これらの義務があまりにも曖昧に表現されていることを懸念している。
「それは’財源に従って’という言葉を使わずに書かれるべきであった。」と、Babrakzaiは言った。「政府に財源がないわけがない。全ての土地は政府が所有しているのだから。」
しかしクチの国内指導者で、ロヤ・ジルカの11人のクチ特別代表者の一人であるHashmat Ghani Ahmadzaiは、約束されたものはすべてそのうちに実行されるだろう、と主張した。
「大統領選挙(6月に予定)の後、政府の予算が割り当てられ、クチの人口(新しい国勢調査に基づいて)数えられると、政府は必要なステップを取るだろう。」と、彼は確信を持って言った。
アフガニスタンにおけるクチの人口数を確定すること自体だけでも大変な取り組みとなる・その数はアフガニスタン総人口2,000~2,500万人のうちの、6百万人にものぼる可能性がある、とAhmadzaiは言った。
Chaman Gulと同じ集落に住むクチのMohammad Omar、30歳もまた、永久に定住するチャンスをつかもうとしている。
「もし政府が私たちに家用の土地を与え、小麦を援助してくれるなら、私たちは政府が望むあらゆる労務を行う。」と、OmarはIWPRに言った。
しかし他のものは、伝統的なクチの生活をやめることをあまり望んでいない。
Wals Mirは、政府定住のための手当を提供してくれるよりは、売らざるをえなかったか、死んでしまったか、失ってしまった家畜を、代償してくれることを望む。
そしてガズニ州のコミュニティーの指導者であるNasrullah Khanは、伝統的な遊牧生活を失うことは、全体として逆に国に悪影響をおよぼすだろう、と主張している。
「もしクチが遊牧生活をやめたら、私はアフガニスタンの経済に悪影響を与えると思う。なぜなら、肉、ミルク、バター、カラクル(羊の皮)を作っているのはクチだからです。」と彼は言った。
これらの要望にも関わらず、クチには生活スタイルをやめることを余儀なくされている。Mirでさえ、権力者たちが伝統的な牧羊者の土地を接収しているので、クチはもはや自由に放浪することができない、と認めている。
「私たちの場所は、夏はパンジシール、冬はラグマンだった。今はどちらの場所も軍司令官たちが支配している。」と彼は言った。
他の者たちはどちらの生活スタイルも維持したいと考えている。
「私たちは政府から家の建設のための土地が欲しい。」と、バグラン州のクチの代表として行動しているBabrak Khanが言った。「しかし遊牧民の生活スタイルも維持したい。もし家と家畜の両方があれば、私たちの生活はもっとよくなるだろう。」
憲法は、アフガニスタンの基準でさえ非識字率の高いことを鑑みて、教育を促進するなどクチのための特別な規定を定めている。
教育省の事務次官であるSeyed Hossein Ishraq Hosseiniは、クチの移住のパターンに合うような特別の夏と冬のクラスを計画している、とIWPRに確認した。
年長の生徒のための寮が用意されるかもしれないし又、政府はクチの教師の数を増やすことを優先するだろう、と彼は言った。
憲法は、2つの議院のうちの1つであるHouse of Elders、Meshrano Jirgaに参加するクチの特別代表2人を選ぶよう大統領に義務づけている。
しかし誰もがこの代表者の数が十分だとは思っているわけではない。ロヤ・ジルカで国の北東部のクチを代表したHasti Khanは、もし人数が2倍にならなければ、今度の選挙でのボイコットするとしている。
「私たちは国民議会におけるクチの代表者を2人にするとはロヤ・ジルカで同意しなったし、クチは少なくとも4人の代表者をもつべきだとSibghatullah Mujaddidi議長と行政官庁のFarooq Wardakに要求した。」と述べた。
原文URL::http://www.reliefweb.int
情報源:Institute for War and Peace Reporting
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