干ばつに襲われた国境地域は生命維持に必要な水の供給源を探し奔走。
アフガニスタン南西部のザランジという国境の街は深刻な干ばつに見舞われており、そこにとどまっている人々はイランからの高価な水に依存するまでになっている。もしその水を買う金がないなら、地元の塩水で洗い物をし、それを飲料水としなければならない。地方当局は清潔な水を供給するためにこれ以上のことはできないと言っている。
ニームルーズ州の首都であるザランジはニームルーズを流れるヘルマンド川の水位が下がって井戸が干上がったために数年間にわたる干ばつに苦しんできた。今年はじめにアフガニスタンの他の地方の干ばつを終息させた雨や雪の恩恵をこの砂漠地帯はほとんど受けなかったようである。水の供給システムが90年代半ばから末期にかけてのタリバン支配下の放置によって崩壊したことによりこの問題は悪化した。
世界保健機構(WHO)の統計によると、ザランジの人口は1997年の10万人から昨年の6万人に急激に減少した。ザランジから車で約三時間のゴールゴーリの町はその人口の半分がこの一年半の間に少しづつ減っていき、ほとんど廃墟で、 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のカブール事務所では昨年ニームルーズ州から他の州へ移動した5000人の避難民を登録した。UNHCRによると国内難民の大半の割合は干ばつに襲われた南部からの人々である。
ザランジに残っている住民はイランからタンク車で運ばれた水を買わなければならない。もし買う金があればである。その水の価格は20リットルが100イラン・トーマーン、約12USセントで、人々は洗濯や料理そして飲料用に使う。タンクで輸送されるため、水は不潔になり人々は度々病気になると地元の役人はIWPRに語った。
「私達のように教育を受けたものは、水を沸騰させなければならないと分かっている。」と地方自治体の女性問題部署で働いているGul Makaiは言った。「しかしそうした知識がなかったり字を読めない人は、皮膚病、伝染病、下痢そして私達が想像すらできないような他の病気も含めてあらゆる病気に苦しんでいる。」
あまりに貧しくて輸入された水を買うことのできない人々は地元の井戸を使わなければいけない。しかしザランジは海抜以下のところにあり、井戸水は新しい井戸からであっても塩分を含んでいる。「人々は飲まなければ仕方ないのでこれを飲むのだ。」とザランジ病院の救急課のAbdu Sakoor医師は述べた。
彼の患者の60パーセントは地元の水を飲んで病気になった人だと言った。
この水は大変塩分が高いので洗浄には向かない。「町の水では衣類を洗うことすらできない。」とザランジの主婦のHabibaは言った。「この水で体を洗ったとしても皮膚はきれいにならないし、乾燥するので、ローションを使う。」彼女の幼い娘の肌は日に焼けた地面のように乾いていた。
Abdu Shakoor医師は国連やアフガン政府に救援を求める嘆願は結果をもたらしていないと述べた。
WHOは1997年に新しい水処理施設、配水システムやヘルマンド川からザランジへ水を引くポンプ場を完成させたが、しかし川が干上がってしまったためこれらの施設は有効でなくなってしまった。
つい最近、地方当局はイランからの25キロメートルのパイプラインの資金援助をした。それは約1カ月のうちに使用を開始し、飲料水を運びいれることになる。しかしこれでは町の必要量の40~50パーセントしかカバーできないだろうと市の行政官であるHaji Mohammed Yaqoubは警告した。そして地元の役人は住民が清潔な水にどれくらいの代金を払うことになるのかをまだ決めていない。
州のレベルでも取り組みがなされてきた。当局は村落地域で幾つか井戸を掘ってきた。しかし、現在ニームルーズに達する手前で、砂の中に潜ってしまうLashkari川からのパイプラインで水を運ぶことに、隣接するヘルマンド州当局から同意を得られていない。
Haji Abdul Karim Barahawi州知事はニームルーズ当局はできうる限りのことをやってきたとIWPRに語った。彼はハミド・カルザイ大統領を含むカブールの政府に、いくらかの援助を配分してもらいたいと嘆願したがこれまで成果は得られていない。
新しい水源を探すことに加え、当局者は現在イランから輸入している水がより手ごろな価格になるようにいっそうの努力をしてきた。地方当局は輸入された水20リットルあたり50トーマーンあるいは6セントという料金上限規制を課そうとしてきたとYaqoubは言った。しかし彼らはこの制限を実施する手段をもっていない。そして水の売り手はこのような価格では利益が得られないとこれを無視している。Zar Gulという一人の売り手はIWPRにこう語った。「50トーマーンで水を売ることは我々にとっては全くの損である。我々は燃料の経費をまかなうのに足る金を得ることもできない。我々の労働と車の維持費はそれ以上に高くつく。」
ザランジの住民の多くは唯一の長期的な解決法はヘルマンド川の上流のカマルカーンにダムを建設する計画を推進させることだと信じている。しかしイラン南東の町ザーボルもこの川に依存しておりイランとの係争はこの計画を何年も引き伸ばしてきた。当面ザランジの住民はこの土地に留まる理由は唯一活発な、合法的な交易や密輸などのイランとのビジネスである。
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