イラン・バムでの収穫の期待

先の壊滅的な地震で損害を受けた必要不可欠な灌漑用水路の清掃作業が進んでいるため、バムでの今年の収穫はうまくいくだろうという期待が高まっている。
バムは町中の果樹園や庭で育てられている多肉多汁のナツメヤシで有名である。ナツメヤシは明るい砂漠の太陽によって熟するのだが、水に関して言えば、昔からある地下トンネルの巧妙なシステムや地上の水路を頼りにしている。それは遠くの雪を頂いた山からこの歴史的な町の中心へ水を運んでいる。
マグニチュード6.6を記録した12月26日の地震はおそらくこの15年のうちで最もひどいものだった。それによって4万1千人にのぼる人々が亡くなり、3万人以上が負傷し、7万5千人が家を失ったままである。生き残った人々のほとんどは廃墟となった以前の家の間でいまだにテント暮らしをしている。
地元の農業の頼みの綱として、ナツメヤシ農場の経営は疲弊した経済を立て直すために、そして人々が自分達の生計を立て直せるようにするために、欠くことのできないものとなっている。バムの人口の80%以上が農民であり、500km以上の灌漑用水路が地震によって壁や建物が中へ崩れ落ちてきてふさがれてしまったと農業省は報告している。春が急速に近づいてきていて、9月に収穫を得るためにはナツメヤシにすぐにいつも通りの給水をする必要がある。それでこの重要な機会を逃す前に大急ぎで灌漑用水路を再び開通させようとしている。「もしナツメヤシに水をやらなかったら、やがて乾いてしまい、地震は第二弾目の被害を引き起こすことになる。」と救援機関Medairとともに仕事をしているAli Reza Khaniという技術者は説明している。
Medairは農業省と協力して市内のある場所の灌漑用水路を清掃している。掘削機械ががれきの一番ひどいところを取り除いているが、可能なところでは労働者のチームが現在の水路を掘り起こしている。チームは掘削機の届かないヤシの木の間で作業することができ、彼らの注意深い作業は水路の内側のさらなる損害を防ぐことにもなる。さらにこの方法は、地震以来他に収入の道が無い人々に必要な雇用の機会を与えている。
地元の人々はこの仕事の重要性を認識している。農民のReza Saidanは妻と子供とともに生き残った。しかし彼の両親と兄弟は全て亡くなった。有名な泥レンガでできたアルゲバム城のごく近くにある彼のナツメヤシの間に立つ時、彼はこのヤシ園は自分のこれからの生活にとって重要なものであると知る。「私達はこの木によって生きている。」と彼は言う。足元の土は乾いてひび割れ、ふさがれた水路が地震以来この果樹園に水を引くことができていなかったことを意味している。
しかしMedairと農業省によって行われている作業のおかげで、近日中に彼のナツメヤシにも水が引かれてくるだろうとRezaは期待している。「来週までにはここに水がくれば、私達は何も失わずにいられる。きっと以前のようにたくさんの収穫を得ることができるだろう。」と彼は言っている。
その間にもMedairは、他のRezaのような農民が今年収穫を手にする機会を確実に得られるように、できるだけ多くの水路を開く努力をしている。
原文URL:http://www.reliefweb.int
情報源:MEDAIR (スイスに本部を置く国際人道援助NGO)
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