ハイチの孤児達にとって回復の助けはしゃべること
情報源:Reuters
2010/1/28
ハイチの壊滅的な地震によって孤児となった4歳のJoは、携帯電話でおしゃべりして、おもちゃやお菓子をねだっていた。
ハイチ赤十字のボランティアにこの男の子はお母さんと話しているのだと言った。しかし
彼のお母さんは、このカリブ海の貧しい国で1月12日に起きた大災害で亡くなった何万もの人々の中の1人だった。
この男の子を地震後に救い出した赤十字従事者のMagalie Saint Simonは木曜日のインタビューにこう答えた。「私は彼に誰と話していたの?と聞きました。」彼は「お母さんとだよ。でもお母さんは僕を迎えに来てくれないと言ってた。死んでしまったから。」と言った。
国際赤十字委員会(ICRC)によって、こうした災害の時に初めて設置される移動型心理相談ユニットでJoと孤児達は世話をされている。このユニットを率いるEa Suzanne Ashakは、早期の心理学的介入の重要性を2004年のインド洋大津波の後ICRCは学んだと語った。あの津波では主にインドネシア、インド、タイ、スリランカ、モルディヴで20万以上の人々が亡くなった。
「心理的な支援を何も受けなかった人々は弱っていき、再び社会に参加しなかった。再建された社会にも参加しなかった。彼らの生活は失われた。彼らはどうしたらいいのかわからなかった。彼らは拠りどころを見失って、なんだかただ漫然と家でごろごろと過ごしているだけのようだった。」「ハイチでは極度の苦悩を切り抜けるよう早急に手助けすることが目標であり、そうすることによって身体的な生き残りに集中することができるようになる。」と彼女は語った。
訓練されたボランティア達は亡くなった子供や親戚や悲しみについての情報をやさしく探り出そうとしている。Joの想像上の電話の会話は幼い子供達が悲しみを表現することを助けるための確かなやり方の1つとなりうる。
心の内側に何か問題がある
子供達は色々と異なった形で苦悩を表現するとSaint Simonは言った。ある子供は食べたりしゃべったりしなくなり、他の子は過活動になったり、また怒ってばかりいたりする。世界保健機構の専門家は地震による心理的影響を手当てすることは、身体的な傷を治療することと同じように重要なことであるだろうと言っている。特に一生にわたる心の傷を負ったかもしれない幼い被災者の間では。
国連児童基金(UNICEF)によると、ハイチの900万の住民のほぼ半分が18才以下の子供であるという。
Joは初めは打ち解けず引っ込み思案だったが、Magalieが遊べるようにと電話を与えてからようやく遠慮なく話すようになった。
「彼が心の中で感じていたことを表に出してくれたことに私は心を動かされた。私にはわからないけど彼の心の内側に何かの問題があるようだ。」と彼女はロイターのテレビに語った。「彼がものを食べ始めたことがとても嬉しい。たった今あそこで、おなかがすいたと私に言ったのよ。」
20万以上の死者と100万の負傷者を出した地震から二週間は子供達が立ち直る手助けをするには重要な時であったとMagalieは言った。
「テントの周りに行ってみたら変化に気付くでしょう。もし前に来ていたら、彼らはモンスターだとあなたは言ったかも知れない。遊ばない。話そうとも自分を表現しようともしない。話しかけても無口なままだった。信じられなかった。でも、いまは大丈夫。」