[この報告は必ずしも国連の見方を反映したものではない]
ムザファラバード、9月6日(IRIN)―パキスタン北部で7万5千人の命を奪った大地震から11ヶ月が
経とうとしているが、取り残された人々は今なお苦しんでいる。10月8日の地震によって5,500人以上の女性
が夫を亡くし、350万人以上が家を失った。
4人の子どもを持つGulab Janさんは30歳の未亡人だ。彼女の境遇は変わっていないと言う。地震で家が全半
壊したためキャンプに住んでいる未亡人はなお700人以上いるが、彼女はその一人だった。
「これからどうすればいいのでしょう。11ヶ月経っても何の進歩もありません。夫は農業をしていたけど7年前に死
んでしまいました。それ以来私たちを支えてきてくれた兄も、地震で多くを失い、もう私を助けてくれることはでき
ません。彼自身にも8人の子どもがいるのです」パキスタン領カシミール州の州都、ムザファラバードの
Chelha Bandiキャンプで、Guabさんはシェルターからこう言った。
「私は以前メイドをしていましたが、今は仕事がありません。たとえまた仕事を見つけることができても、家族を養
うのに十分ではありません。その上、私は土地も持っていないのです―地震が奪ったんです」彼女は言う。
パキスタンの女性、子どもや高齢者といった、すでに性差別、社会的排除、非識字、社会経済的困難や低
収入によって苦しんでいた人々の暮らしは、地震によってますます困窮した。
特に、農村地域の女性の境遇は厳しい。男性が外に働きに出る一方で、女性たちは家で子どもを育ててき
た伝統がある。災害以来、その役割が劇的に変化した。今では、家長である男性が亡くなったり不治の障害
を負ったりしたために、一家の大黒柱となった女性が少なくない。
キャンプの女性たちは、政府が新しい土地をくれること、そこに家を再建することを待ち望んでいる。彼女たちも
特に傷つきやすい。
政府の地震復旧・復興庁(ERRA)は北西辺境州(NWFP)とパキスタン領カシミール州の被災地における、特
に弱い集団に焦点を当てるために社会的保護戦略を設立した。
ERRAによると、慣習上、女性は相続権を否定され、財産、収入や生計手段を得ることを制限されがちである。
しかし地震が教えてくれたのは、被災地の家族と親族の構造は強いということだ。両親を失った子どもなど、
弱い人々の大部分は、自発的に血縁者によって引き取られた。
4万1千人近い子どもが地震で孤児となった。SOS子ども村という、孤児や貧しい子どもたちに長期的なケア
を提供する国際的児童施設がある。数百人の孤児と、男性の家族を失った子どもを持つ女性に新しい、あ
るいは既存の設備住宅を提供した。
ムザファラバード郊外のChamraキャンプには、65家族と17人の孤児が暮らしている。
ほとんどの文化では、両親を失った子どもを孤児とみなす。しかしパキスタンでは、父親を失った子もまた孤児
なのである。
孤児となった孫の面倒を見ている高齢の女性たちは、子どもたちだけでなく彼女自身の安全も確保しなけれ
ばならない。
Nuran Bibiさんは、地震で親を失った9人の子どもの祖母である。
「どうやってうまくやっていけばいいのかわかりません。9人全員は支えられないのです」とNuranさんは小屋の中か
ら言った。
Naheed Bibiさんは、Nuranさんの孫の中で最年長の18歳だ。彼女はイスラームの学校に通っていて、一年
以内に教師になる。しかし、将来は不確かだ。
「何が起こるかわかりません。学校が終わっても、私は他の8人と祖母を養えないのです。父は店をやっていた
し、母は主婦でした。そのとき(地震前)でさえ苦しかったのに、今は希望すらありません。」Chamraキャンプで
そう言った。
Afsar Khanさんと彼の弟2人と妹も、両親を失ってChamraキャンプで暮らしている。地震前、Afsarさん
の父は病気で半身麻痺となり、家族を養うために政府の支援を受けていた。しかし今、家族には何もない。
「(弟と妹を指差して)この子たちに何をしてやればいいか、何も計画がありません、自分自身についてもです」
と、たった一人の稼ぎ手である20歳のAfsarさんは言った。
政府の社会的戦略では、弱い人々、特に未亡人、女性が家長の世帯、障がい者に特別な技術支援を提
供することを勧めている。しかし、この支援が最初に届くのは、弱い人々でも資産を持った人だ。Gulab Jan
さんでもなく、Nuran Bibiさんでもなく、Afsar Khanさんでもない。
自分自身で何の財産も持っていない人たちにとって、コミュニティに基礎を置くケアの選択肢が考えられるが、
いかなる計画もまだ決定されていない。ほとんどの人々は絶望したままなのである。
情報源:UNOCHA―統合地域情報ネットワーク(IRIN)
原文URL:reliefweb.int
*著作権は情報源に帰属します。