No.72「丹波農業フィールドワーク第2回:学生の感想③」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第2回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、山内優さん(関西大学3回生)の感想です。

********************
私が今回、農業フィールドワークに参加させていただいた理由は自然が好きで田舎のイメージが強い丹波という場所に惹かれ、行きたいと思ったことがきっかけでした。参加当日が近づくに連れて、普段生きている中で当たり前のことだと思い考える事がなかった「食」や「農業」について深く考えるようになり様々な角度から疑問が生まれ興味が湧きました。その中で何か一つ丹波に行く前に自分の中でテーマを持っていこうと考えた時に、どうして農業に目を向けたのか丹波で農業をする人の考えや思い、ストーリーが特に知りたいと思ったのでこれを入り口に農業について学びたいと思い当日を迎えました。

1日目は畑を耕しさつまいもやきゅうりを植えたり、じゃがいも畑を整えたりしました。人生で初めての経験で力のいる仕事でしたがやり終えた畑を見るのはすごくやりがいを感じ農業のおもしろさを実感しました。2日目には楽しみにしていた田植えを長靴などを履かずに行いました。泥の中に入って直接土に触れるという体験は滅多になく不思議な感覚で楽しかったです。泥だらけになりながら田植えをして、ふと顔を上げると大きな空と緑でいっぱいの景色やみんなが田植えを楽しんでいる姿が目の前に広がっていて、からだ全体で自然を感じることができ心が温まるような時間となりました。

この2日間、お世話になった「ムラとマチの奥丹波」の方々をはじめ、たくさんの出会いがありお話をたくさん聞くことができました。私の今回のテーマであった丹波で農業をしてる方の考えや思いを知るには時間がまだまだ必要だと思いますが、マチで仕事をしていた方が丹波で農業をしているのには目には見えない力が丹波に引き連れてきているような気がしました。
また、自分が食べるものがどんなものなのかを知るには自分で作るのが1番だという話にはとても感心しました。食事をすることは自分自身にとても関係することなのになんの違和感もなく食事をしていたので、見直すべき視点だと思いました。

農業フィールドワークを通して農業のおもしろさや楽しさを知るとともに、力仕事も多く時間のかかる農業を毎日行うことは私がこの2日間では感じることがなかった苦労がたくさんあるうえ、マチで過ごしていた方が丹波に来て農業をするには勇気と覚悟が必要だと思います。大学生活も残り少なくなり将来について考えることが増えた現在、農業だけでなく生き方についても深く考えさせられた2日間でした。

今回私たちが植えた野菜や苗が成長した畑を見るのを楽しみにしています。2日間本当にありがとうございました。

(山内優)

No.71「丹波農業フィールドワーク第2回:学生の感想②」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第2回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、黒瀬天孝さん(大阪大学1回生)の感想です。

********************
食べ物を自分たちで作るという経験ができたことに満足しています。サツマイモの畝の役割、タマネギに生えたトウは成長のストップのサインなど、ただ作業をするだけでなくその意義を教えてもらい、根本の仕組みを理解することにもつながりました。また、今回の一番の収穫は、田植えをしたことです。一度母親の実家で田植えを手伝ったことがありましたが、そのときは機械や肥料・農薬を使っていました。一方今回はそれらを一切使わず、田んぼに足を入れて手で苗を植えました。泥に足をつける感覚が非常に気持ちよかったです。機械で規則的に植えるのとは違い、手植えではなかなかまっすぐに植えることができず、気づけば列が歪んでいることも多々ありました。ですが、機械で黙々と行うよりも他の人たちと列に並んで一緒に植えることで、みんなで協力しているという実感がありました。

夜には村の方たちと農業について、丹波での暮らしについて話し合いましたが、僕自身が想像していた以上に濃い議論でした。まず、日本の農薬規制が他の先進国に比べてかなり緩いことを知りました。それまで教科書で習った地産地消は、日本の農産物は他国と比べて安全で、購入によって日本の農家を興すことができるというものでした。ですから、今回知った日本の現状に驚きました。また、有機農業についてあまり儲けの少ないイメージを持っており、それを尋ねたところ、実際にまだまだ赤字状態だとおっしゃる方もいました。さらに、ムラマチでは都市部から移住してきた方が多かったことから、なぜわざわざ田舎に移住して農業をやるのかと尋ねました。すると、ムラマチの方の多くは有機農業への理解が深いからここで農業をやる、安全だと自信をもって言える食料を自分たちで作りたい、とおっしゃっていました。なぜ有機農業をやるのか、農業は今後どうなっていくのかを自分なりに考えさせられました。ひとつ興味深かったのは、農業が衰退した理由やその将来について、精神論的に語る方もいれば、理論的に語る方もいたことです。ですが考え方は様々でも、「この農業体験に参加する人が現にいるのだから、農業への関心は着実に増えている」とおっしゃる方が多かったです。現状を悲観するだけでなく、今の良い面に目を向けることを学びました。

この2日間を経て、農業への興味が出てきましたが、2日間だけではまだまだ全貌は分かりません。一日作業するだけでもかなりの疲労が溜まり、これを暑い日も寒い日も何年も続けられるかと言われると、自信を持って答えることはできないです。もっと長期の農業体験をこなしてから分かることかもしれません。一方でたった2日間でも多くのことを学べました。それは農業の技術的なこと以外にも、社会で生きる上で必要な考え方でした。「何事もほどほどが一番」ということが今回の一番の学びです。下手に張り切りすぎるよりも脱力してやるほど長続きすることだと思います。今後、自分たちが植えた苗の収穫にぜひ参加したいです。またそこでの学びを増やしていきたいです。ありがとうございました。

(黒瀬天孝)

No.70「丹波農業フィールドワーク第2回:学生の感想①」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第2回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、柳瀬彩花さん(追手門学院大学3回生)の感想です。

********************
私が農業フィールドワークに参加させていただいたのは、今回で2度目でした。
1日目は、到着後「ムラとマチの奥丹波」の皆さんと顔合わせや自己紹介をしてから、畑に移動し畝をつくったり夏野菜を植えたりしました。夜は「ムラとマチの奥丹波」の皆さんとCODEの学生たちで意見交換を行いました。また、前回同様荻野さんが営む「丹波いちじまファーム」に宿泊し、新鮮な野菜をふんだんに使った美味しいご飯をいただきました。
2日目は、午前中から上流域にある山本さんが所有する田んぼの手植えを行い、思いっきり土に触れた2日間でした。

また、今回は世界や丹波で起きていること、農業の抱える課題などと自分のつながりを見出して捉えることを私自身のテーマとして参加していました。
なぜなら、事前学習ではCODEの理事である村井さんからアフガニスタンの事例紹介があり、『(金銭面で)食べていけなくてもヒンズークシュ山脈に雪が積もれば(農業ができて)食べていける』という価値観のお話に関心を持ったためです。現地の農村だけでなく都市に住む人々にも、そういったお金よりも水が大切であるという考えが浸透しており、少量の水を大事に使って生活を営んでいるということを知りました。
そして現在、日本では都市に住む私を含めて、水を大事にする意識は薄まっているように感じます。そこで、丹波で有機農業をしている農家さんたちへ水の存在について伺うと「水は極めて大事」「水は命」だと仰っていました。市島には水源があり、水質が綺麗であるため現在も蛍が多く出ることや小さい町でありながら酒屋が多いといったことを教えていただきました。
さらに関連して、田んぼにとって水の必要な時期は、水の取り合いによる争いが起きていた時代があることや、有機農業をしていても上流域の農家が農薬を混ぜてしまうと他の田んぼに農薬が流入し揉め事になることを知りました。

また、長年丹波で有機農業をしている岸下さんの「自然界に学べ」という言葉が特に印象に残っています。自然界にはどのような協力関係があるか、有機農業や農作業の大変な中に何があるか、健康は何でできているのかといった、農業だけでなく人間としてどうあるべきかという問いに深く考えさせられました。
そのため、有機農業を体験し持続可能な社会を目指すことを改めて考える中で、やはり人の心が大事でありそれぞれが「感性」を磨くことが、結局は農業を立ち直すことにつながっていくということに気付けました。
この2日間、農家さんたちや様々な立場の参加メンバーと対話することで、生きていく上で大切なヒントを見つけることができました。

最後に、田んぼに足を突っ込む泥の感触や皆で手植えをする一体感、良い汗をかいたあとの昼食の梅のおにぎりなど、「これが好き!」と思うものに沢山出会えました。天気にも恵まれて本当に気持ちがよかったです。
今回も貴重な機会をいただきありがとうございました。

(柳瀬彩花)

No.69「丹波農業フィールドワーク第2回:神戸新聞に掲載されました」

先日行われたCODE未来基金の丹波農業フィールドワークが神戸新聞に掲載されました。このフィールドワークは、今回が2回目で、神戸学院大学、追手門学院大学、大阪大学、関西大学、兵庫県立大学の学生さん6名と豊岡の地域おこし協力隊の若者が参加し、みんなで田植えをしました。泥んこになりながら、頭だけでなく体で学び、地域の方々と交流することが出来、学生さん皆が、充実した時間を送る事ができました。いつも応援していただいている皆さま、ありがとうございました。

CODE未来基金の活動は、サポーターの皆様はじめ、CODEの会員、寄付者の方々の支えによって成り立っています。コロナ禍の中でも現場で学び続ける若者たちを応援してください。よろしくお願いいたします。(吉椿)

*CODE未来基金を応援して下さい
郵便振替:00930-0-330579
加入者名:CODE
*通信欄に支援先を明記してください。
(例:「未来基金」)
*募金全体の25%を上限として事務局運営・管理費に充てさせていただきます。
*クレジットカードをご利用の方はこちらからご寄付いただけます。

No.68「丹波農業フィールドワーク第2回を実施しました」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市市島地区の農業グループ「ムラとマチの奥丹波」のみなさんにご協力いただき、学生たちとともに農業や農村の暮らし、食の安全について学ぶフィールドワークの第2回を実施しました。

前回植えたジャガイモ畑の土寄せ、サツマイモ植え、そして田植えをしました。「農薬を使わない農法ではどのように作物を育てているのか?」「なぜ土寄せをするのか?」などなど教えていただきながら、じかに土に触れて体験しながら、自分たちが口にする食べ物がどのように作られているのかを学びました。

また、今回もムラマチのみなさんと学生たちで意見交換の場を持ちました。学生たちそれぞれが持っている疑問や関心を投げかけ、ムラマチのみなさんが丹波で農業をすることになった経緯や想い、丹波での農業と水の関係、安全な食と国の政策・経済活動との関係などについて話し合いました。
その中で、「丹波に来て農業をするだけでなく、都会でも、ベランダで家庭菜園をしたり、隙間空間で畑をしたり(アーバンアグリカルチャー)など、安心・安全な野菜作りはできる」ということをご紹介いただきました。先日のレポートでお届けした、フィリピン・バンタヤン島の「コミュニティ・ガーデニング」も、まさに身近なところで、できる範囲で、自ら「食を作る」という実践をしていると言えます。

お天気にも恵まれ、楽しむときは楽しみ、学ぶときはしっかり学ぶ、充実したフィールドワークになりました。
これからのレポートで数回に分けて、参加した学生の感想をお届けいたします。

No.67「丹波農業フィールドワーク第1回:学生の感想③」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第1回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、山村太一さん(当時 神戸学院大学2回生)の感想です。

********************
今回このような貴重な体験をさせていただきありがとうございます。この二日間は、私にとって非日常な体験ばかりで、良い刺激をたくさんもらえました。この農業体験を通して学んだことを神戸に帰って、どう活かすかが今の一番の課題である。

まず私は、今回の農業体験で大きく三つのことを学んだ。一つ目が、農業の奥深さだ。現地に着いて、最初にじゃがいもの芽を切る作業をやらせてもらった。この芽を切って植えるという、いたってシンプルな作業だが、各農家にやり方がバラバラであることに驚いた。じゃがいもの栽培は、もう何百年前から行われているはずだ。しかし、未だに方法は、各農家バラバラであり、農業に正解はないのだと学んだ。そして、同時に農業の奥深さを感じた。どの植え方も、しっかりとした理由があり何一つ意味のないことにも感心した。特に、じゃかいもの切り口に灰をつける工程は、化学と結びついていた。

二つ目は、実際に現地に行く大切さだ。よく学校の社会の教科書などには、食料自給率の低さの問題や高齢化の問題などがピックアップされている。私も今回の農業体験をする前までは、その程度の知識しかない中活動に挑んだ。しかし、現実はもっと残酷な状況であることに気がついた。教科書や本の情報だけで理解した気になることに、今回の農業体験を通して私は危機感を感じた。もちろん、本を読んで勉強することは大切だが、それだけでは圧倒的に足りないことに気がついた。実際に、現地に行き見て感じて話すことの重要性を改めて感じた。また、実際にこれらの課題に直面している方々の話は、一つ一つの言葉の重みが全く違ったため、自分自身の原動力にもつながった。コロナウイルスの影響で、今はオンラインが主流となっており、学校の授業でも現地に実際に行くことが極めて少なくなった。そのため、現地に行ったと仮定して、レポートや読書の授業が増えた。しかし、それでは学びとしては、不十分であると思った。反対に、今回の農業フィールドワークの反省点としては、現地でいきなり活動することが多く、「ムラとマチの奥丹波」の方々が主体となって、私は受け身になっていることが多かった。受け身になるのではなく、次は私たちがもっと主体となって動いていきたいと思った。従って、次回の農業フィールドワークでは、何について学びに行くのか、しっかりと焦点を絞って事前に知識をある程度蓄えた状態で行きたい。本で学んだことと実際に現地で学ぶことのバランスこそが、大切であると学んだ。

3つ目は、今の農業が抱える課題だ。食料自給率の課題、高齢化、農薬の安全性、慣行の農業など様々だ。これらの課題解決の難しさは、国民全員が分かってはいるが、そうせざるをえない現実、社会があることだと思う。慣行農業よりも有機農業で作られた野菜の方が、体に良いことは誰もが知っていることだと思う。しかし、それでも慣行農業の野菜を買う理由があるのだ。それは、経済的な理由であったり、見た目の問題であったり、供給数が少ないことであったりと様々だ。農業の問題を解決していくには、根本にある社会そのものを変えていかなければならないと感じた。一個人の大学生である私にできることは、とにかく知っておくことだと考えた。コンビニで買うカット野菜にも、生産者の方がいるということを意識することが大切だ。現代社会では、生産者の顔が見えにくくなっているが、そこに少し意識を持っていくだけで、食ベ物の見方はガラリと変わる。若い世代の方が、なぜ食料に興味を示さないのか。それは、生産者とのつながりが見えておらず、あるものだと思っているからだろう。この当たり前意識を、私も少しづつ改善していきたい。
(山村太一)

No.66「丹波農業フィールドワーク第1回:学生の感想②」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第1回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、柳瀬彩花さん(追手門学院大学2回生)の感想です。

********************
今回、CODEの農業フィールドワークに参加させていただきました。その中で、『ムラとマチの奥丹波』の皆さんの想いや学生の考えについて皆で話し合うという貴重な機会を用意していただきました。
農家さんたちから国へ伝えたいことを伺うと、「安全ではない農薬を安全だと言わないでほしい」と仰っていました。また、現在日本では食の安全よりも経済がまわることが優先されていて、農薬による健康被害や安全な作物かどうかを見極めることがあまり知れ渡っていません。そのため、消費者自身が食の安全を理解し、「NO」と言うことが不可欠であると強調されていました。
しかし、食の安全について、消費者にどの角度から訴えかけるといいのか頭を悩ませているそうです。そこで私は、災害と結びつけて伝えていくことで、食を含めた暮らし全体を見直すことに意識が向くのではと考えました。なぜなら、農業の「農薬による健康被害」と、災害の「いつ来るか分からない身の危険」はどちらも普段の生活と直結しているからです。
例えば、学校の授業で日頃の行動や普段口にしている物を繰り返し考える機会があると、自分事として捉えやすくなるのではと思います。また、農家の方の生の声を伺うことでシビアな現状を知り、食を見直すきっかけになると感じました。
それから、農家さんたちは「若い世代には感性を磨いてほしい」ということを仰っていました。ここでいう「感性」とは、美味しい野菜や調味料などの『本当の味』を知ることを指しています。さらに、「本当に良い調味料は使う量が少しでもしっかり味が付く」というお話があり、私は日々の生活の中で調整された味が自然と本当の味だと思いこんでいて、普段食べている物に対してあまりにも意識を向けられていなかったことに気がつきました。

また、今回は特産物を作ったりじゃがいもの定植の体験をしたりしましたが、どれも印象に残っています。その中でも、丹波黒大豆の味噌づくりでは驚くことがありました。味噌をつくる工程の、麹と湯がいた黒豆と塩をかき混ぜる作業を行っていると、湯気とともに独特な匂いがしました。そのことを農家さん方に伝えると、発酵し始めているからだということを教えていただきました。私は身近な調味料である味噌でさえ、作られる過程や本来作られる上でかかる手間を知らなかったことを痛感しました。

今回、農家さん側の話題で多く共通していたことは、「循環していく生活」や「現金収入がなくても食べていける力」の重要性です。そういった、生きる上で最も基本的なことはこれからの災害時やコロナ禍などにも試される力であると感じます。

他にも、市島豪雨で被災・復旧した場所の視察や、新鮮な野菜を使ったごはんのことなど、ここに書ききれていないくらい学びの多い2日間でした。自然に身を置いて知ったことや農家さんたちの想いを、これから自分の住むマチに伝え広めていきたいです。
『ムラとマチの奥丹波』の皆さん、CODE未来基金にご協力いただいた方々、本当にありがとうございました。次回も楽しみにしています。
(柳瀬彩花)

 

No.65「丹波農業フィールドワーク第1回:学生の感想①」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第1回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、原田梨央さん(武庫川女子大学4年生)の感想です。

********************
今回、農業フィールドワークに参加させていただいたのは、これまでにCODEを通じて訪れた中国やフィリピンで自給自足の暮らしや、まさに「生きるために食べる」という光景を目の当たりにし、自分自身の生き方に疑問を感じていたことや、デイキャンプをきっかけにさらに深く自然について学びたいと思っていたからです。また、コロナの影響で少しサプライチェーンが止まっただけで、食糧不足の不安が広がったり、買い占めに走ってしまう人たちがいる状況を目の当たりにしたとき、日本の低い食料自給率や生きるために不可欠な「食」から自分がいかに遠いところにいるのかを実感したことから、日常との接点を見つたいと考えて参加しました。

私にとっての野菜は、自分で作るもの・身の回りの誰かが作っているものではなく、お金で買うものでしたが、ジャガイモ定植までの一連の作業や丹波黒大豆味噌・玄米ヨモギ餅作りを通して、単に知識や技術だけではなく、「どんな人がどんな想いで作っているのか」「どれだけ身体にいいか」「有機野菜がとても美味しいこと」などを知ることができました。そして何よりも、その日の天候に合わせて時間に追われることなく、他の人たちと協力して行う作業はとても新鮮で楽しかったです。

農業や自然が保健医療や、CODEで少しずつ学んできた災害とどのように関わっているのかを頭の中で理解するのは簡単ですが、実際に現場で活かしたり、日常生活に取り込むためにはまだまだ時間がかかると思います。一回で全てを知ろう・学ぼうとするのではなく、長期的に関わらせていただき、自分のなかで消化不良だったことを少しずつ理解していきたいです。また、私たちが一方的に教えてもらうということだけではなく、学びを日常に持ち帰って考えたこと共有したり他の学生とのかけ橋になることで、有機農業の魅力を学びながら少しずつでも広めていきたいと思います。

今回のフィールドワークでは、ほんとうにたくさんの学びがありましたが、農業を通じて「小さなことを見る」大切さを学び、暮らしや生き方を見つめなおすきっかけになりました。また、同年代・同様の関心を持つ人たちがすぐに繋がれる社会だからこそ、分野や世代を超えて繋がり学び合うことの大切さを実感しました。ありがとうございました。
(原田梨央)

No.64「丹波農業フィールドワーク第1回を実施しました」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワークが始まりました。農業を通じてひとつの地域にかかわり、農村のくらしと課題、食の安全などについて地域の方と共に考える機会にしていければと考えています。丹波市市島地区の農業グループ「ムラとマチの奥丹波」のみなさんにご協力いただき、今後数か月に1回実施していく予定です。

第1回となる今回は3月13~14日に実施し、大学生3名が参加しました。ジャガイモの植え付けや、農作物の加工品づくり(黒大豆味噌、玄米ヨモギ餅)を体験したほか、2014年の豪雨災害の被災地域を視察させていただきました。また、夜の時間には「ムラとマチの奥丹波」のみなさんと一緒に意見交換の場を持ち、安心・安全な食の大切さや、食料自給の問題、有機農業を普及させていくための課題などについて話し合いました。

農業や食は、国を問わず、生きていくうえで欠かすことのできないものであり、土地に根差した営みであり、被災地の生活再建においても重要なテーマです。また、今後の大災害を見据えて、自分たちの食べるものをどうするのかという問題を考えておくことも重要です。このフィールドワークを通じて、学生と丹波のみなさんお互いにとって良い学びや気づきのある、そして楽しい時間を共有していければと思います。
これからのレポートで数回に分けて、参加した学生の感想をお届けいたします。

No.63「デイキャンプでの学び③」

先日、CODE未来基金の企画として六甲山でのデイキャンプを開催し、大学生・大学院生5名が参加しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介しています。
今回は、山村太一さん(神戸学院大学2年生)の感想です。

********************
今回私は、CODEのデイキャンプに参加させてもらった。参加する契機となったのが、大学での吉椿さんの授業だ。そこからお声がけいただき、参加することとなった。一人も面識がない状態だったので、駅で少し緊張はしたものの話していくうちに打ち解けあい、すぐに緊張はほぐれた。振り返ってみると、全く初対面の人同士だからこそ有意義で楽しい時間を過ごすことができたと感じる。

このデイキャンプで、一番に印象に残っているのが火起こしだ。そもそも、私はライターかチャッカマンで起こすものとばかり考えていたので、「まさかそこからするの!」と衝撃だった。はじめに、道具だけ並んでみた時に、何をどう使うのか全く見当もつかない状態で、とにかく手探りで道具を手に取った。どれも見たことがない道具が大半で、興味はそそった。たまたま、ファイアスターターを手に取って火花を飛ばしていたが、これがなかなか燃え移らない。もとより、ファイアスターターを使ったことがないので、火花が出る量も微量で、擦っても出ない時が大半だった。何回も何回も、試行錯誤するうちにコツを掴むことができた。薄い葉っぱや枝、麻縄、ポテトチップスなどにひたすら火花を浴びせたが、上手くいって煙が上がるくらいで炎らしい赤い物は一切出なかった。前日に雨が降ったこともあり、全体的に湿気が多く火がつきにくい状況下ではあったものの、あまりのつきにくい具合に驚いた。けっきょく、吉椿さんに火をつけてもらったのだが、私たちが出した煙の何十倍もの量が出ており目を見張った。けっきょく、火をつけることはできなかったが私たちは、2時間近く格闘した。だが、吉椿さんは10分ほどで起こしており、とても簡単なようにも思えた。しかし、付け方が分かったから、じゃあもう自分でできるというわけではないことが、この二時間で身に染みて理解している。火起こしは付け方の知識よりも、経験やコツの方が重要であると感じた。その後の、お昼ご飯は自然の中でいただいたこともあり、非常に美味しく大満足であった。

デイキャンプを振り返って、非常に有意義な時間であったと感じている。是非とも機会があれば参加したいと思う。また、今回のデイキャンプで終わりではなく、また集まって何か社会に貢献できるようなことをしたと感じた。コロナ禍で、難しいとはいえ何もできないわけではない。裏を返せば。コロナ禍だからこそできることもあるかもしれない。こういった事を、またみんなで話し合いたいと思う。今回話し合いで学んだことの一つは、農業の重要性だ。あまり農業と聞いても、まだ理解はできていないが興味はある。また、次の機会が楽しみだ。
(山村太一)