月別アーカイブ: 2021年3月

No.66「丹波農業フィールドワーク第1回:学生の感想②」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第1回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、柳瀬彩花さん(追手門学院大学2回生)の感想です。

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今回、CODEの農業フィールドワークに参加させていただきました。その中で、『ムラとマチの奥丹波』の皆さんの想いや学生の考えについて皆で話し合うという貴重な機会を用意していただきました。
農家さんたちから国へ伝えたいことを伺うと、「安全ではない農薬を安全だと言わないでほしい」と仰っていました。また、現在日本では食の安全よりも経済がまわることが優先されていて、農薬による健康被害や安全な作物かどうかを見極めることがあまり知れ渡っていません。そのため、消費者自身が食の安全を理解し、「NO」と言うことが不可欠であると強調されていました。
しかし、食の安全について、消費者にどの角度から訴えかけるといいのか頭を悩ませているそうです。そこで私は、災害と結びつけて伝えていくことで、食を含めた暮らし全体を見直すことに意識が向くのではと考えました。なぜなら、農業の「農薬による健康被害」と、災害の「いつ来るか分からない身の危険」はどちらも普段の生活と直結しているからです。
例えば、学校の授業で日頃の行動や普段口にしている物を繰り返し考える機会があると、自分事として捉えやすくなるのではと思います。また、農家の方の生の声を伺うことでシビアな現状を知り、食を見直すきっかけになると感じました。
それから、農家さんたちは「若い世代には感性を磨いてほしい」ということを仰っていました。ここでいう「感性」とは、美味しい野菜や調味料などの『本当の味』を知ることを指しています。さらに、「本当に良い調味料は使う量が少しでもしっかり味が付く」というお話があり、私は日々の生活の中で調整された味が自然と本当の味だと思いこんでいて、普段食べている物に対してあまりにも意識を向けられていなかったことに気がつきました。

また、今回は特産物を作ったりじゃがいもの定植の体験をしたりしましたが、どれも印象に残っています。その中でも、丹波黒大豆の味噌づくりでは驚くことがありました。味噌をつくる工程の、麹と湯がいた黒豆と塩をかき混ぜる作業を行っていると、湯気とともに独特な匂いがしました。そのことを農家さん方に伝えると、発酵し始めているからだということを教えていただきました。私は身近な調味料である味噌でさえ、作られる過程や本来作られる上でかかる手間を知らなかったことを痛感しました。

今回、農家さん側の話題で多く共通していたことは、「循環していく生活」や「現金収入がなくても食べていける力」の重要性です。そういった、生きる上で最も基本的なことはこれからの災害時やコロナ禍などにも試される力であると感じます。

他にも、市島豪雨で被災・復旧した場所の視察や、新鮮な野菜を使ったごはんのことなど、ここに書ききれていないくらい学びの多い2日間でした。自然に身を置いて知ったことや農家さんたちの想いを、これから自分の住むマチに伝え広めていきたいです。
『ムラとマチの奥丹波』の皆さん、CODE未来基金にご協力いただいた方々、本当にありがとうございました。次回も楽しみにしています。
(柳瀬彩花)

 

No.65「丹波農業フィールドワーク第1回:学生の感想①」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第1回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、原田梨央さん(武庫川女子大学4年生)の感想です。

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今回、農業フィールドワークに参加させていただいたのは、これまでにCODEを通じて訪れた中国やフィリピンで自給自足の暮らしや、まさに「生きるために食べる」という光景を目の当たりにし、自分自身の生き方に疑問を感じていたことや、デイキャンプをきっかけにさらに深く自然について学びたいと思っていたからです。また、コロナの影響で少しサプライチェーンが止まっただけで、食糧不足の不安が広がったり、買い占めに走ってしまう人たちがいる状況を目の当たりにしたとき、日本の低い食料自給率や生きるために不可欠な「食」から自分がいかに遠いところにいるのかを実感したことから、日常との接点を見つたいと考えて参加しました。

私にとっての野菜は、自分で作るもの・身の回りの誰かが作っているものではなく、お金で買うものでしたが、ジャガイモ定植までの一連の作業や丹波黒大豆味噌・玄米ヨモギ餅作りを通して、単に知識や技術だけではなく、「どんな人がどんな想いで作っているのか」「どれだけ身体にいいか」「有機野菜がとても美味しいこと」などを知ることができました。そして何よりも、その日の天候に合わせて時間に追われることなく、他の人たちと協力して行う作業はとても新鮮で楽しかったです。

農業や自然が保健医療や、CODEで少しずつ学んできた災害とどのように関わっているのかを頭の中で理解するのは簡単ですが、実際に現場で活かしたり、日常生活に取り込むためにはまだまだ時間がかかると思います。一回で全てを知ろう・学ぼうとするのではなく、長期的に関わらせていただき、自分のなかで消化不良だったことを少しずつ理解していきたいです。また、私たちが一方的に教えてもらうということだけではなく、学びを日常に持ち帰って考えたこと共有したり他の学生とのかけ橋になることで、有機農業の魅力を学びながら少しずつでも広めていきたいと思います。

今回のフィールドワークでは、ほんとうにたくさんの学びがありましたが、農業を通じて「小さなことを見る」大切さを学び、暮らしや生き方を見つめなおすきっかけになりました。また、同年代・同様の関心を持つ人たちがすぐに繋がれる社会だからこそ、分野や世代を超えて繋がり学び合うことの大切さを実感しました。ありがとうございました。
(原田梨央)

No.64「丹波農業フィールドワーク第1回を実施しました」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワークが始まりました。農業を通じてひとつの地域にかかわり、農村のくらしと課題、食の安全などについて地域の方と共に考える機会にしていければと考えています。丹波市市島地区の農業グループ「ムラとマチの奥丹波」のみなさんにご協力いただき、今後数か月に1回実施していく予定です。

第1回となる今回は3月13~14日に実施し、大学生3名が参加しました。ジャガイモの植え付けや、農作物の加工品づくり(黒大豆味噌、玄米ヨモギ餅)を体験したほか、2014年の豪雨災害の被災地域を視察させていただきました。また、夜の時間には「ムラとマチの奥丹波」のみなさんと一緒に意見交換の場を持ち、安心・安全な食の大切さや、食料自給の問題、有機農業を普及させていくための課題などについて話し合いました。

農業や食は、国を問わず、生きていくうえで欠かすことのできないものであり、土地に根差した営みであり、被災地の生活再建においても重要なテーマです。また、今後の大災害を見据えて、自分たちの食べるものをどうするのかという問題を考えておくことも重要です。このフィールドワークを通じて、学生と丹波のみなさんお互いにとって良い学びや気づきのある、そして楽しい時間を共有していければと思います。
これからのレポートで数回に分けて、参加した学生の感想をお届けいたします。