No.71「丹波農業フィールドワーク第2回:学生の感想②」

CODE未来基金のプロジェクトとして、丹波市での農業フィールドワーク第2回を先日実施しました。
参加した学生のみなさんの感想を、順にご紹介します。
今回は、黒瀬天孝さん(大阪大学1回生)の感想です。

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食べ物を自分たちで作るという経験ができたことに満足しています。サツマイモの畝の役割、タマネギに生えたトウは成長のストップのサインなど、ただ作業をするだけでなくその意義を教えてもらい、根本の仕組みを理解することにもつながりました。また、今回の一番の収穫は、田植えをしたことです。一度母親の実家で田植えを手伝ったことがありましたが、そのときは機械や肥料・農薬を使っていました。一方今回はそれらを一切使わず、田んぼに足を入れて手で苗を植えました。泥に足をつける感覚が非常に気持ちよかったです。機械で規則的に植えるのとは違い、手植えではなかなかまっすぐに植えることができず、気づけば列が歪んでいることも多々ありました。ですが、機械で黙々と行うよりも他の人たちと列に並んで一緒に植えることで、みんなで協力しているという実感がありました。

夜には村の方たちと農業について、丹波での暮らしについて話し合いましたが、僕自身が想像していた以上に濃い議論でした。まず、日本の農薬規制が他の先進国に比べてかなり緩いことを知りました。それまで教科書で習った地産地消は、日本の農産物は他国と比べて安全で、購入によって日本の農家を興すことができるというものでした。ですから、今回知った日本の現状に驚きました。また、有機農業についてあまり儲けの少ないイメージを持っており、それを尋ねたところ、実際にまだまだ赤字状態だとおっしゃる方もいました。さらに、ムラマチでは都市部から移住してきた方が多かったことから、なぜわざわざ田舎に移住して農業をやるのかと尋ねました。すると、ムラマチの方の多くは有機農業への理解が深いからここで農業をやる、安全だと自信をもって言える食料を自分たちで作りたい、とおっしゃっていました。なぜ有機農業をやるのか、農業は今後どうなっていくのかを自分なりに考えさせられました。ひとつ興味深かったのは、農業が衰退した理由やその将来について、精神論的に語る方もいれば、理論的に語る方もいたことです。ですが考え方は様々でも、「この農業体験に参加する人が現にいるのだから、農業への関心は着実に増えている」とおっしゃる方が多かったです。現状を悲観するだけでなく、今の良い面に目を向けることを学びました。

この2日間を経て、農業への興味が出てきましたが、2日間だけではまだまだ全貌は分かりません。一日作業するだけでもかなりの疲労が溜まり、これを暑い日も寒い日も何年も続けられるかと言われると、自信を持って答えることはできないです。もっと長期の農業体験をこなしてから分かることかもしれません。一方でたった2日間でも多くのことを学べました。それは農業の技術的なこと以外にも、社会で生きる上で必要な考え方でした。「何事もほどほどが一番」ということが今回の一番の学びです。下手に張り切りすぎるよりも脱力してやるほど長続きすることだと思います。今後、自分たちが植えた苗の収穫にぜひ参加したいです。またそこでの学びを増やしていきたいです。ありがとうございました。

(黒瀬天孝)

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