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1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに「困ったときはお互いさま」の心で海外の被災地支援を行っています。 災害時の支えあい・学びあいを通して地球の市民どうしのつながりを築いています。
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48. 中国青海省地震
発生日時:2010年4月14日午前7時48分 被災地 :青海省玉樹 チベット族自治州結古鎮、四川省カンゼ自治州 地震規模:マグニチュード7.1 死者数 :2698人 負傷者数:1万2000人以上 倒壊家屋:1万5000棟以上
活動レポートや現地の写真等を掲載しています。中国・青海省地震救援ブログ
CODEは、2008年の中国・四川省地震以来協力いただいている成都のゲストハウス「Sim’s Cozy Garden Hostel」と連携し、救援活動を立ち上げました。同ゲストハウスはトラック1台を出して救援物資を運びましたが、被災地は標高3700メートル、悪路ということもあって、片道20時間以上もかかりました。
現在、玉樹チベット族自治州称多県拉布郷拉司通村(通称ラブ村)で復興支援プロジェクトを行っています。ラブ村は、人口約3000人の山間部の小さな村で、住民の多くはチンクー麦の栽培とヤクやヤギの放牧で「半農半牧」の暮らしを営んでいます。約600年の歴史がある古刹ラブ寺(創建1419年、チベット仏教ゲルク派)には500人の僧侶が修行しており、まさに寺を中心にした門前町のような村です。2010年の地震で村のほとんどの家屋や寺院の一部が被害を受けました。
このラブ村で、CODEは「ヤク銀行」プロジェクトを実施しています。「ヤク」はチベットの人たちの暮らしに欠かせない家畜ですが、多くが地震で死んでしまいました。このプロジェクトは雌ヤクを被災者の人々に提供し、繁殖させてから親ヤクを返還してもらうもので、子ヤクを育てて生計に役立ててもらいます。返還された親ヤク(または現金)で、また別の被災者を支援していく循環型の仕組みです。
写真:CODEが提供したヤク
チベット人たちは、ヤクのミルクからバターやヨーグルトを作り、自家消費するだけではなく、それらを寺院に寄進してバターは寺院の灯明となります。また、毛はロープやテントとして、皮はシートとして、糞は燃料として活用されます。肉は非常に美味で多くのチベット人に好まれています。このようにヤクは捨てるところのない非常に重要な家畜なのです。
写真:様々な用途に用いられるヤク
カウンターパートであるインドネシア人アーティストのArahmaiani Feisal(イアニ)さんは、震災後の復興支援のためラブ村に長期滞在し、ラブ寺の僧侶などと協働でゴミ処理やポプラの植林などの環境問題に取り組んできました。イアニさんの協力で、プロジェクトのために僧侶や住民、遊牧民、獣医の代表などで「ヤク銀行委員会」を結成し、皆さまからの寄付金でヤク(1頭約4000元、日本円で約6万円)を37頭購入しました。このヤクは現在、最も貧しい地区の遊牧民の家族に提供されています。着実に成長している子ヤクがいる一方で、残念ながら病気などで亡くなる子ヤクも出ているそうです。今後もヤク銀行を温かく見守っていただけたら幸いです。
写真:ヤク銀行プロジェクトの仕組み
2014年8月にスタッフが現地を再訪し、ヤク銀行プロジェクトやヤクの飼育などの状況を視察しました。玉樹チベット族自治州称多県カトゥ村の遊牧民Lさん家族に提供された37頭のヤクは、順調に成長し、53頭に増えていました。Lさんは、提供されたヤクを飼育し、繁殖させる中で、ヤクのミルクで作ったバターやヨーグルトをヤク銀行委員会に納めることで、現金収入を得るという方法で生計を立てています。
2015年8月には、カウンターパートのイアニさんが現地を訪問し、母ヤクが8頭 を出産しましたが、5頭が病気などで死亡したことなどもあり、ヤクの総数は56頭である報告を受けました。2016年8月に現地を訪問したイアニさんからの報告では、地元の県政府が、CODEの提案したヤク銀行プロジェクトに注目し、新たにヤク200頭とCODEの56頭を集約し、遊牧民へのヤクの再分配を行うことになりました。CODEの提供した56頭のヤクを飼育している遊牧民Lさんは、1/3のヤク(19頭)を得ています。これは、NGOによる提案が現地政府によって引き継がれたと言えます。2018年度もCODEは、ヤクの生育状況やヤク銀行の運営を見守っていきます。
写真:Lさんの遊牧生活、Lさんの作ったヨーグルト