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1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに「困ったときはお互いさま」の心で海外の被災地支援を行っています。 災害時の支えあい・学びあいを通して地球の市民どうしのつながりを築いています。
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56.ネパール地震
発生日時:2015年4月25日11時56分(現地時間) 震源 :ゴルカ郡サウラパニ深さ15km 地震規模:マグニチュード7.8 死者 :8857名 倒壊家屋:60万2567棟 損壊家屋:28万5255棟 ※2015年5月12日にはM7.3の余震が発生
活動レポートや現地の写真等を掲載しています。ネパール地震救援ブログ
CODEは地震直後より現地へスタッフを派遣し、情報収集を行いました。その中で、神戸在住のネパール人の ラクパ・シェルパさんの参加しているシェルパ族コミュニティ「Gudel Sherpa Community」の方々の故郷であるソルクンブ郡グデル村も5月12日の余震で大きな被害を受け、支援が入っていないことがわかりました。グデル村は近隣の町から2、3日歩かなければならない標高3000mの山村です。
グデル村では多くの家屋が倒壊していますが、雨季をしのぐためのビニール・テントは支給されていませんでした。そこでCODEはラクパ・シェルパさんやコミュニティと協力し、グデル村の被災した世帯に雨から家族と家財を守るためのビニール・テントを1口3000円で200枚送る「CODE 3000 プロジェクト」を行いました。多くの方にご協力いただき、6月には目標としていた200口に達し、コミュニティを通じて村の方々にテントが配布されました。
写真:提供されたテントを屋根代わりに
地震直後にモンベルさんとの協議で、現地に派遣するスタッフや現地のカウンターパートのシェルパの若者たち、被災者に、テント、ジャケット、バックパックなどの救援物資をご提供いただきました。また2017年3月にCODE未来基金のネパールフィールドワークの際にも、ネパールを訪れる学生たちにレインウエアなどの装備を割引していただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
写真:グデル村で使われたモンベルグッズ
2018年2月には、モンベルさんにご協力いただき、神戸三宮店で「ネパール地震活動報告会INモンベル」を以下のように開催いたしました。
*ネパール地震活動報告会INモンベル 日 時:2018年2月3日(日) 場 所:モンベル神戸三宮店2F 報告者:吉椿雅道(CODE事務局長) 立浪雅美さん、今中麻里愛さん、高橋大希さん (未来基金ネパールフィールド研修の参加者3名) 参加者:32名
グデル村は、首都カトマンズから車で14時間、山道を歩いて2日かかる辺境の地にあります。そのような山間の村では、都市部のように鉄筋やセメントを使った耐震工法を行うとコストが3倍以上になり、現実的に不可能です。そこでCODEは、以前から協力していただいている北茂紀さん(北茂紀建築構造事務所)やモーハン・パント教授(Khwopa Engineering大学)などの専門家に技術協力をいただき、現地の石や泥、木、竹などの資材を使った耐震工法で再建することを行いました。また、専門家が建てるのではなく、あくまでも現地の大工・石工たちが自分たちで建てるという形をとり、持続可能で自立につながる支援を展開しました。プロジェクトは2段階方式で、大工・石工たちが専門家の指導を受け、学びながらモデルハウスを建設していきました。大工は、木造バンドを木組みの技術で組み、石工たちは、石がずれにくく積む方法、泥の粘りを出すための試行錯誤などを重ねながら半年間をかけてじっくりつくり上げていきました。
写真:木造バンドに使われている木組み技術
このモデルハウスは、2016年7月に完成しました。現在、このモデルハウスは併設するヘルスポスト(簡易診療所)の付属施設として、病気の患者の家族の宿泊施設としてや、子育て中のお母さんたちの子どもへの健康指導の場として活用されています。
写真:モデルハウス建設のようすと完成したもの
その後、モデルハウ建設で耐震技術を学んだ大工・石工たちがチームに分かれて26棟の一般住宅の再建にとりかかり、2016年秋頃には26軒の再建すべてが終わりました。地震からわずか1年半で他の地域と比べでもいち早く耐震の恒久住宅が再建されました。
写真:耐震技術を使って再建された住宅
グデル村の耐震住宅再建プロジェクトで活躍した村の若き大工、ニマ・シェルパさん(当時25歳)は、元々カトマンズで家具職人として働いていましたが、CODEの耐震住宅再建プロジェクトをきっかけに「村の役に立ちたい」とグデル村に戻り、大工として耐震技術を学びました。 そのニマさんに日本の伝統建築を学んでいただこうと、日本に招聘し、神戸を中心に三木、岡山、京都などで伝統木造建築を学びました。三木の大工さんには、道具のメンテナンスを学び、木組みの精度が耐震性にもかかわってくることを学び、京都の木造町屋の建築家には、木造住宅の柔構造の耐震性の解説を受け、町家の再生の現場などを視察しました。また、北茂紀さんにもご協力いただき、ネパールの組積造の耐震の理論と実技のご指導をいただき、ニマさんにとっても復習の場となりました。
写真左:耐震技術の理論学習 写真右:日本の大工に学ぶ
その後、ネパールに戻ったニマさんは、西宮の「夢広の会」が支援するソルクンブ郡パタンジェ村のコミュニティセンターの建設に関して耐震の技術指導の依頼があり、ニマさんを派遣することになりました。グデル村とはまた違った耐震工法を北さんから学び、パタンジェ村の大工・石工に指導しました。まだまだ小さな動きではありますが、辺境のグデル村から現地の資材を使った耐震技術の普及を行っています。
写真上:耐震技術の理論学習 写真下:日本の大工に学ぶ
非常にアクセスの厳しいグデル村での震災前からの課題は、現金収入を得る手段がないことです。村では主に農業を生活の糧にしていますが、作物のすべてが自給自足用のものです。若者は現金収入を求めて、仕方なくカトマンズや中東など海外へ出稼ぎに行かざるを得ないのが現状です。村での生活でも教育、医療に現金が必要で、震災後に電気が通った事で、電化製品も増え始め、現金の需要はますます高まっています。 CODEは、グデル村のシャーレ地区の「シェルパ村落開発改善委員会」と共に、現地の資源を活用した農産品、高地特有の作物などを活用して収入向上の支援を検討しています。 引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。