2年前の今日、ネパール中部ゴルカを震源としたM7.8の地震が発生し、9000名以上が犠牲になりました。CODEは、直後からソルクンブ郡グデル村を中心に雨期対策支援としてテントシートの配布や耐震住宅再建などを行ってきました。グデル村では、モデルハウスを建設する中で地元の大工・石工が耐震の技術を学びました。その後、彼らが村の26棟の住宅再建を行い、昨年12月にはほぼ完成しました。
最後まで再建が遅れた人がいます。プルチキ・シェルパさん(82歳)は、病気ために急遽ヘリコプターをチャーター(23万ルピー=約25万円)したためにCODEの提供した住宅再建の費用30万ルピー(約32万円)を使ってしまいました。その後、CODEのカウンターパートであるグデルシェルパコミュニティの返済無期限の貸付で今年2月末にようやく再建が終わりました。プルチキさん宅を訪問した時は、ちょうど引越しの日で、親戚や地元の若者が手伝いに来ていました。プルチキさんは、まず正面にチベット仏教の仏壇を設置し、地元の僧侶に読経を行ってもらい、その後、自らも祈りをささげていました。
2年間寒いビニールシート小屋で暮らしていたプルチキさんは、倒壊した自宅から仏壇だけは小屋に移設し、毎日祈りをささげていました。そして仏壇は新築の自宅に戻ってくることができました。「自分は、高齢で何もできないので、みんなのために祈っているよ。」と語るプルチキさんの暮らしは、いつも祈りと共にありました。
震災から2年を経た被災地では、プルチキさんのように生活のために住宅再建費用を使ってしまう人が少なくありません。ネパールの被災地には支援から取りこぼされ、「最後のひとり」になってしまう人たちがいます。(吉椿雅道)