中国四川省地震 救援プロジェクト(継続)
災害概要&地図
◆災害概要
・日時 :2008年5月12日
・場所 :成都から北東へ約300km周囲
・被災者 :約4624万人
・地震の規模:マグニチュード8.1
・死者数 :8万7476人
・倒壊家屋 :倒壊21万6千棟
損壊415万棟
・日時 :2008年5月12日
・場所 :成都から北東へ約300km周囲
・被災者 :約4624万人
・地震の規模:マグニチュード8.1
・死者数 :8万7476人
・倒壊家屋 :倒壊21万6千棟
損壊415万棟
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プロジェクト内容
(1)初動調査とガレキの片づけ
発災3日後に、スタッフの吉椿を現地に派遣し、成都市のゲストハウス「Sim`s Cozy Garden Hostel」を拠点に綿陽市、綿竹市、什邡市、都江堰市など被災地の約100の町村の調査を行いました。その後、綿陽市北川県の支援のほとんど入っていない光明村と出会いました。Sim`sに集う日本人バックパッカーや留学生、大学生や中国、韓国、香港、台湾などのボランティアと共に光明村でガレキの片づけ、仮設住宅建設の補助、井戸堀り、農作業、恒久住宅の宅地整備などを行い、村民と共に汗を流すことで、村民との関係を築いていきました。がれきの片づけ 初動調査
(2)耐震の勉強会や住宅再建のデザイン提供
2008年9月頃から恒久住宅の再建が始まりました。政府の復興計画のデザインでの再建が提示され、住民の中には震災前と同じような構造の住宅を再建しようとしていました。そこでCODEは、これまでのインドやイランで行った「シェイクテーブルテスト」の動画や前年の能登半島地震の伝統木造建築などの事例を活用して、住民向けに耐震の勉強会を数回開催しました。その後、伝統木造建築での再建を提案しました。それは、この光明村に釘を使っていない伝統木造建築の家屋が地震で倒壊せずにしっかりと残っていたからです。CODEが光明村を拠点にした理由もここにあります。デザインは、四川大学の建築の専門家に協力していただきました。4世帯がこの伝統木造建築で住宅を再建しました。再建された住宅は、村総出で建てました。長老は鶏を使った儀式を司り、男性は柱と梁をつなぎ、女性や高齢者はロープで柱を立ち上げ、若者は邪を払うための爆竹や張り紙を準備し、棟上げが終わると皆で大宴会が行われました。この村では、木造住宅が35年ぶりに建設されました。
耐震勉強会 木造住宅デザイン 住民による木造再建
(3)祭りの開催
光明村では、「老年節」と呼ばれる高齢者を祝う祭りが年に一度、旧暦9月に行われていました。村の老年活動クラブのメンバーが、歌や踊り、芝居を披露します。この地域では光明村のこのクラブは有名でした。でも、2008年は震災で開催されませんでした。2009年3月にCODEは、在日華僑の李光宏さんと共に光明村で「中日交歓会」を開催し日中双方の歌舞を披露しました。村内だけでなく周辺の村からも沢山の観衆が集まり、村に活気が戻ってきました。その後も毎年9月(老年節)に一緒にお祭りを行っています。村の祭り
(4)老年活動センターの建設とその後
メインプロジェクトとして、光明村で「老年活動センター」を建設しました。四川でも著名な四川省古建築設計院にデザインしてもらい、川西(四川省西部)特有の伝統木造構法を用いてセンターは建設されました。光明村では、若者の多くが出稼ぎに出ており、村に残る高齢者、女性、子ども達の集う場として、村の特色である芸能の練習場、そしてもしもの時の避難所、耐震のモデルハウスなどを目的としてセンターは2011年に完成しました。その後、このセンターの運営は、光明村の村民委員会(村役場)に委ねられ、村民との協議の結果、農家楽(アグリツーリズム)として活用するに至りました。中国全土で流行している農家楽は、都市の人が休日にのどかな農村で過ごし、郷土料理を味わったり、お茶を飲みながら、麻雀やトランプなどの娯楽を楽しむというものです。
老年活動センター センター内部
村民たちは、自分達でお金を出し合って、センターに厨房を増築して、農家レストランを始めました。村民委員会も周辺の土地を活用して池を釣堀にし、そこで釣れた魚を調理したり、池で出来たレンコンを郷土料理にしてお客さんに出しています。
まだ、経営は軌道に乗っているとは言えませんが、現在、政府によって進められている村内の観光開発の状況を見つつ、センターの動向を見守っていきます。
農家楽の料理 農家楽(釣り堀)
(5)日中NGO・ボランティア研修交流事業
2015年から毎年実施している事業で、CODEと連携している現地の「NGO備災センター」の張国遠さんなどの協力のもと実施されています。以下の2つを目的として行っています。①災害多発国である日本と中国で、将来的に発生する自然災害に対する救援活動において民間の協力・連携体制を構築していく。
②この研修を通じて、次世代のNGO活動を担う若者を発掘し、被災地の一人ひとりに出会い、両国間の様々な誤解や偏見を取り除き、ボランティアなどの災害救援を通じて支え合い、学び合う市民社会を目指す。
これまでに4回実施しました。
*第1回日中NGO・ボランティア研修交流事業
日本の大学生6名が、四川省の被災地を訪れ、現地のNGOの講義や被災地の視察、CODEの支援する光明村村民との交流などを行った。
日 時:2015年3月23日~29日(7日間)
訪問先:四川大地震の被災地(映秀鎮、都江堰、北川地震遺構、光明村、四川大学復興管理学院など)
参加者:小坂めぐみ(神戸市外国語大学3年)、北川和真(神戸大学4年)、
大西佑季(神戸大学1年)、成安有希(関西学院大学3年)、中山迅一(佛教大学)
上野智彦(立命館大学、CODEスタッフ)の6名
村民と桜の植樹
*第2回日中NGO・ボランティア研修交流事業
中国から3名のNGOスタッフを招へいし、神戸や中越の被災地を視察・訪問し、日本の専門家によって復興や防災などの講義を受けた。また日本の学生3名も中越に同行した。
日 時:2015年6月12日~21日(10日間)
訪問先:神戸、中越(長岡、木沢、川口など)、金沢
参加者:張国遠(NGO備災センター)、高圭滋(四川尚明公益発展研究センター)、
羅丹(成都根与芽環境文化交流センター)
成安有希(関西学院大学4年)、宮津隆太(神戸大学2年)、吉崎唯(神戸大学2年)の3名
の若者が中越、金沢に同行
講 師:山添令子(コープこうべ常務理事)、室﨑益輝(CODE副代表理事)、
村井雅清(CODE理事)、渥美公秀(大阪大学教授)、
稲垣文彦(中越防災安全推進機構復興デザインセンター長)、
阿部巧(中越防災安全推進機構復興デザインセンターチーフコーディネーター)、
宮本匠(兵庫県立大学講師)、田中純一(北陸学院大学準教授)、
李妍焱(駒澤大学教授)
中越の人たちと
*第3回日中NGO・ボランティア研修交流事業
日本の大学生などの若者6名が、四川省の被災地を訪れ、被災地の視察、少数民族の村訪問、CODEの支援する光明村村民との交流、現地のNGOと防災教育(安全教育)の交流などを行った。
日 時:2016年8月31日~9月7日(8日間)
訪問先:四川大地震の被災地(映秀鎮、汶川県城、桃坪チャン族村、北川地震遺構、光明村、
社会起業「壁虎漫歩」など)
参加者:今中麻里愛(神戸学院大学4年)、福田諒(神戸大学3年生)、
米川安寿(同志社大学大学院4年)、
成安有希(関西学院大学ヒューマンサービスセンター職員)、
岸本くるみ(人と防災未来センター震災資料室専門員)、
上野智彦(CODEスタッフ)の6名
チャン族の村で
*第4回日中NGO・ボランティア研修交流事業
4回目となる今回は、これまでの被災地視察や被災者との交流に加え、現地のNGOが行う防災教育の現場(雅安市の小学校)での防災教育の交流、四川省防災減災教育館の視察と座談会での意見交換会も行いました。
日 時:2017年3月12日~3月19日(9日間)
訪問先:中国四川省の被災地(雅安市興賢小学校、四川省防災減災教育館、映秀鎮、汶川県城、
桃坪チャン族村、北川地震遺構、光明村など)
参加者:井村翠(神戸大学1年)、折原佳奈(関西学院大学1年)、清水七海(神戸女子大学2年)、
高橋大希(愛媛大学2年、CODEインターン)、
成安有希(関西学院大学ボランティア活動支援センター)、
岸本くるみ(人と防災未来センター)の若者6名
小学校で防災教育
(6)中日減災・防災国際交流事業の受け入れ
日中NGO・ボランティア研修交流事業で日本の防災教育の手法や教材を紹介したことがきっかけで、四川のNGOから是非日本の防災教育を学びたいと申し入れがあり、NGO備災センター(成都市上厚公益服務センター)と国際救助児童会(Save the Children Beijing)とのコラボでこの事業が実現した。期 間:2017年6月20 日(火)~25日(日)5泊6日
場 所:兵庫県神戸市内
参加者:23名(四川省成都市・雅安市、上海市、北京市)市レベルの教育局の職員、NGOのプロジ
ェクト7校の学校の校長や教師など16名、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン(北京)のス
タッフ5名、四川省のNGOメンバー2名)
訪問先:東灘小学校、舞子高校環境防災科、神戸市教育員会、人と防災未来センター
講 師:永田宏和氏(プラスアーツ代表)、岡田洋一氏(神戸市教育委員会指導主事)、
梶木典子氏(神戸女子大学)、諏訪清二氏(防災アドバイザー、
元舞子高校環境防災科科長)、矢守克也氏(京都大学防災研究所教授)
主 催:NGO備災センター(四川省成都市)担当:張国遠(代表)
共 催:国際救助児童会(Save the Children Beijing)
日本側受け入れ:(特活)CODE海外災害援助市民センター
東灘小学校で「しあわせ運べるように」を聴く