中国四川省地震救援ニュース 38

今回の地震で、悲しいことに多数の学校が倒壊し、父母等が「手抜
き工事が原因!」として訴えています。前にも触れましたが、同じ被害
の大きかった綿陽市北川県の小学校で誰一人けがをしなかった小学
校があるようです。以下はCODE翻訳ボランティアによるものです。ここ
に出てくる「希望小学校」とは 、個人や団体の寄付により中国の貧困
地域に建てられる学校のことで、日本からも多くの寄付で学校が建て
られています。長くなりますが、このメールの最後の方に、この希望小
学校への寄付についての案内の文書を添付します。
≪北川とう(登におおざと)家「劉漢小学」死亡者ゼロの真相≫
 私はここに奇跡を書きます。この奇跡は北川とう家劉漢小学のことで
す。483名の児童はひとりも亡くなっていません。そのうちの71名の児
童は2日かけて徒歩で3つの山を越え原始林を抜け綿陽に逃げること
に成功しました。さらに大きな奇跡は、10年前にこの倒壊しなかった希
望小学を建てた誰かがいるということ。
 小さい頃から小児麻痺を患っているため左足が不自由なとう麗君は3
階から下へゆっくりと降り外に出たところだった。太陽がかげったと思う
と、地面が吼え動きはじめた。彼女は必死で走り始めた。おそいなが
らもそばの竹林にはいずりこんだ。体育教師が「はやく校庭に逃げ
ろ!」と叫び、何人かの女子児童が校庭にでてきた。3分後には全校
483名が集合した。そして、学校責任者の肖暁川は9名の同僚と家族
のいない71名の児童を連れて2日がかりで、そして水も食料もない情
況で、海抜2000メートルを超える山を含め三つの山を越えて、綿陽ま
で到着した。中には4歳の未就学児の子もいた。
 (中略)
 もしもあの日、とう家小学校が北川中学校のように数秒で崩れ去って
しまっていたら、後の伝説的な山越えは存在しなかっただろう。実際
は、児童がひとりも亡くならなかったし重傷を負った児童もいなかった。
正式には「劉漢希望小学校」と呼ばれるこの校舎は崩れなかっただけ
でなく、奇跡的にガラス一枚割れなかった。この大地震で無数の学校
がドミノのように崩れ去りたくさんの児童生徒が亡くなったというのに、
この建築は奇跡とはいえないだろうか?私は非常に興味を持った。誰
がこれを作ったのか?
 「漢龍集団」という会社がある。この会社は10年前にとう家小学を寄
付した企業だ。オーナーは「劉漢」、社長は「孫暁東」という。この学校
を建造した際、監督をしたのは当時、会社の「事務室主任」だった人
だ。私は昨夜この「事務室主任」をつかまえることができた。彼は話を
してくれたが、決して私にその名を明かさなかった。不必要な面倒を起
こしたくないからだ。なので、私は「X氏」と呼ぶことにする。
1、10年前、劉漢と孫暁東は部下のX氏に対して、「何がなくても教育
だけはしっかりしなきゃならん。今回の建築は必ずいい質のものを作ら
なければだめだ。もしも校舎が粗悪なために何かあったときは、君は
会社にいられないぞ。」と言った。
2、10年前のある日、X氏は監督中に工事施工会社のコンクリートに問
題があることを発見した。泥が多すぎたのだ。X氏はコンクリート生産会
社の副社長を務めたことがあり玄人だったので、彼は怒った。施工会
社の社長に要求し、泥をきれいに洗い流させた。彼はさらに扁平な石
を使ってはならないと主張した。扁平な石が入っているとコンクリートを
注ぐ過程でコンクリートの結実度は大きく下がる。彼は施工業者に雷を
落とし、扁平な石を全部取り除かせた。
3、会議中に、彼が工期の遅れについて尋ねたとき、施工会社の責任
者は「まだだ」という目をした。それで現地政府からまだ経費が下りて
いないことがわかった。寄付の原則として、企業の寄付はまず現地政
府の関係機関に届け、政府が施工会社に工事の経費を渡すことに
なっている。しかしそのときにまだ資金を受け取っていなかったのだ。
(ここで疑ってみるのが中国の慣例である)。X氏はまた怒り、追及し、
経費を届けさせた。
4、竣工式の前に、ある原因で工期がまた延長することになって、X氏
はまた怒りだした。関係機関と激しく言い争った。9月19日学校はよう
やくあたらしくきれいな校庭が完成した。彼はこの校庭を見てとてもう
れしかった。ここが10年後に483名が逃げ込んだ場所になる。
 施工期間、人々はいつも2種類の音を聞いていた。ひとつは工事機
械の音であり、ひとつはX氏が怒ってお金のことで言い争っている声
だった。肖暁川は私に言った。「彼が監督をしてくれたおかげです。彼
がかけあってようやくお金が出たんです。」
 私はもう多くを語る必要はないと思う。ひとりの中国希望小学校の寄
付の規則をよく知る人が言った。「児童が全員無事に逃げられたのは
ひとつの奇跡であるが、漢龍集団のX氏が言い争ってお金を正規の用
途につかわせたのはさらに大きな奇跡だ。通常、言い争いは何の役に
も立たない。お金は間に合うように支出されることはないのだ。」(なぜ
今回学校がこんなにも多く倒壊したのか、直接的に言うことはできない
が、常識のあるひとならわかるであろう。)
 さきほど、X氏が私にショートメールを送ってきた。彼の同意を得ては
いないが、今後希望小学校を建てたいと思う人に注意を促すために書
いておく。お忙しいところ失礼します。責任を持ってあなたに言います。
私たちが自ら関わった綿陽の5か所の希望小学校は今回の地震で壊
れず無事です。教師も児童も無事です。
                     (5月19日 李承鵬のブログより)
5月20日 新快報による続報(抜粋)
≪X氏の単独取材≫
 「ここ2日で自分で五ヶ所の学校を見てきましたが、壁に小さな亀裂
ができた以外、何も倒れていません。」X氏の語気にはあきらかな自負
があった。
 最初、ネットユーザーは建築の質が高いことが必ずしも倒れなかった
理由ではないだろうと疑う者もいたし、震源地やその他の要因が考え
られたが、5か所の同じところが建てた希望小学校がどれも倒れな
かったということは、建築の質が関係あることを証明している。
 X氏がこの5校のことに言及した理由は関係部門にさらに学校建築と
いうものを重視してもらいたいからで、「このような悲劇は二度と繰り返
してもらいたくない」と述べた。
 X氏は記者にこの5校の名前を明かした。
 ・北川劉漢希望小学校
 ・安県紅武村希望小学校
 ・江油白玉漢龍希望小学校
 ・江油含増鎮長春村小学校
 ・北川擂鼓鎮漢龍教学大楼
 漢龍集団は数年来、寄付で数校を建てている。2007年6月19日四川
漢龍集団公司はアバ教育事業寄付式をぶん川県威州州学校で挙行
した。アバ州ぶん川県威州中学校、マルカン中学校、州中職校、州教
育基金会などに合計1000万元(1億5千万円)を寄付している。
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≪希望工程の方針≫
 希望工程は民間資金を募集することによって、中国貧困地区の学校
へ行けない子供達を救助し、教育条件を改善し、全ての子供に教育を
受ける権利を実現するための公益事業である。
一.寄付者への案内
  1.一般寄贈: 金額に制限無し、まとめて希望工程の救助活動に
使う。
  2.1+1寄贈: 400人民元(5000~6000円相当)を寄付するだけ
で、1人の学校へ上がれない子供に小学校を卒業する願望を実現させ
ることができる。
  3.「希望書庫」寄贈: 3000人民元を寄付することにより、辺鄙な
山地地帯の小学校のために500冊児童読物を持つ「希望書庫」が設立
できる。設立後の書庫は寄贈者の名前又はご指定名称で命名でき
る。
  4.「希望小学」寄贈: 20万人民元を寄付するだけで、希望小学校
を建てられ、その地域の教育条件を改善できる。学校は寄贈者の名前
又はご指定名称で命名できる。
  5.特別基金設立: 30万元以上の寄付で、希望工程基金の中に
特別基金が設けられる。毎年の基金利息を救助活動に使う。
  その他、貧困地区の学校へ教育環境を改善するための文教用品、
学校設備等の寄付もできる。
二.寄贈の手続き:
  希望工程北京捐助中心(寄贈センター)は北京市政府の許可で設
立された事業機関、希望工程及び救助業務を担当している。
    1.寄贈者がまず自分の意志に基づいて登録カードに記入してく
ださい。
    2.寄贈者は寄付金と登録カードを担当係員に渡してください。
    3.係員は金額とカードの確認をしてから、寄贈者に領収書を発
行する。
    4.寄付者に寄贈記念カードを発行する。
     (1)寄贈者全員に「捐贈記念カード」を発行しる。
     (2)寄贈金額1万人民元の方に「捐贈名誉証書」を発行する。
     (3)結対(1+1)寄付者に毎年の3月又は9月の新学期に救助
を受けた少年の名前、住所を明記した《結対救助カード》を送付する。
  希望工程北京捐助中心(寄贈センター)
  連絡先: 北京市東城区北新橋香餌胡同3号
  郵便番号: 100007
  TEL: +86-10-64076969  64077979   
  Email:mailto:hope@www.goyoyo.com.cn    
中国四川省地震救援募金にご協力下さい
 郵便振替:00930-0-330579 加入者名:CODE
 *通信欄に「中国四川省地震支援」と明記してください。
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