CODE未来基金の丹波農業フィールドワークでは、若者が農業を通じて食やいのち、地域や世界を学ぶ事を実践しています。第3回は、稲刈りとサツマイモの収穫でした。暑い中、若者たちは、食を作る事の大切さや共同作業による助け合いの意味を学びました。参加した若者たちの感想を順次紹介していきます。今回は、社会人学生として防災・減災を学んでいる駒田大地さん(兵庫県立大学大学院博士前期課程)の感想です。
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【丹波農業プロジェクト 感想】
丹波農業プロジェクトに参加させていただいたことで、顔も名前も知らなくても、居住地が都市部と農村部で違いがあっても、年齢が違っても、農業を通じて人は繋がりを深めていけることを特に感じ取ることができました。
プロジェクト初日、現地の方々は私を受け入れてくれるのか少々不安に思っていましたが、最初の芋ほりから気軽に農作業の方法を教えていただき、作業に慣れてきたら世間話もしていただけるようになりました。私自身からも徐々に声を掛けられるようになっていったことから、農業という共同作業で交流が広がっていく感覚を得ました。これは日本と海外の繋がりも同様であり、世界共通で分かり合える農業を学んでおくことで、文化や言語が違えど繋がり合えるのだと思います。また、新型コロナウイルスの影響で人と人との直接交流が減少している中でも、農業は人と人のみならず、ムラとマチの繋がりを継続できるものであると感じています。今までは繋がりという言葉を抽象的に使うことが多かったですが、丹波農業プロジェクトにおいて「共通部分から無限に多角的に広がっていく」という1つの認識を持つことができ、貴重な機会だったと実感しています。
また、農業について直に感じたのは、農作物を取巻く一連のサイクルを最後まで理解することが重要であるということです。意見交換会でムラマチの方も仰っていましたが、種を植えて農作物を収穫することまでの経験が、本当の農業と食の大切さを知ることができるのだと思います。一緒に参加した学生は、5月に種を植える作業をして今回の収穫作業を行っていたことから、私と比べてより一層の理解を得られているのだろうと一緒に話をしながら感じました。そして、収穫だけで終わらず、消費者に食べてもらうまでのマーケティングを考えることが重要であり、コロナで厳しくなったもののムラマチの方々が考える機会を学生に提供されようとしていたことには感銘を受けました。1つの事象だけを経験して終えるのではなく、その一連のサイクルを捉えること、簡単なようで難しいことは現在のコロナ対応でも浮き彫りになっていると思います。
私は今年4月から社会人学生として学び始めましたが、それまでは地域イベントへの参加や社会貢献活動に興味を持ちながらも、結局は自身のことで精一杯になりながら日々の生活を送っていました。そのような私がいる反面、丹波農業プロジェクトにおけるムラマチの方々は大変な活力を持っておられました。その活力は農作業におけるパワフルさだけでなく、意見交換会でも特に感じることができました。
その1つとして、ムラマチの方が「10年後の社会はどうなっているか?」と学生に質問した際、私を筆頭に学生らは「分断」や「孤立」といったネガティブイメージを回答しましたが、ムラマチの方々は「ドローンが物を運べる未来がある。」といったポジティブイメージを持っておられました。丹波の恵みや風土がそうしているのか、それとも様々な時代を見て来られた人生経験なのか、どういったことが起因しているのかは分かりませんが、我々が持ち合わせていない活力であったと思います。振り返ると、ポジティブなことを言えない自分を省みてまたネガティブになっていますが、ムラマチの方々の姿勢を自分に取り入れて物事を考えていこうと思えるきっかけとなりました。ネガティブに考えること自体も大切な視点だと思うので、双方から物事を捉えていこうと思います。そして、こういった気付きを無駄にしないことを大切にしていきます。
【全体の感想】
一緒に活動した学生の方々を羨ましく、そして率直に「凄いな!」と感じました。社会貢献や自己研鑽を行うとともに、目の前の課題(今回はこども食堂)を何とかしたいという思いを吉椿さんらにぶつけている姿を目の当たりにし、私の大学時代が如何に行動力や想像力もなくフラフラしていたか、私がコロナ禍の中で大学生だった場合は更に何も活動していなかっただろうと、またもネガティブになりながら省みたこの1週間でした。今後、仕事やプライベートで自身の思ったとおりにならないことは出てきますが、大学時代の経験をもとに頑張って打破していってほしいなと、年齢は関係ないと言いながらも10歳以上歳が離れているので思ったところです。そして、山村くんのバイト先のお店にコロナがもう少し落ち着いたら行きたいと思っており、お酒が入れば私の口下手が少しは治るので色々と話がしたいなと思っています。感想の最後として、私は大学院に通うというきっかけがありましたが、きっかけもなく日常生活にもどかしさを感じながら日々淡々と暮らしているアラサー世代はたくさんいます。多感な学生時代から一定の時間が経ち、少々こなれてきて社会に順応し、結婚や出産といった転換期前の世代です。そういった親世代と子世代の中間世代こそ、ムラマチの活動等に参加していくことに大きな意義があると、CODE事務所訪問、ハイチ勉強会、今回の丹波農業プロジェクトを通して考えるに至りました。持続可能な社会を作り上げていくためには、地の利や地域の資源(人、物、情報)を活用して循環させていくことが重要であり、それは足元に転がっていることもあれば、少し足を伸ばせば気づけることもあると思います。
吉椿さんからお聞きしたネパールの住宅再建で、耐震という概念を現地の方々は知らなくても、地元の石を積み上げて壁にする手法は理解しており、その手法に耐震意味づけしてあげることで気づきを得てもらうというお話がとても印象的でした。言葉では言い表しにくいですが、これはきっかけや気づきのないアラサー世代の一部にも共通しているのではないでしょうか。私の身の回りの友人からでも内容を共有してみようと思っています。(駒田大地)
*CODE未来基金の活動は、皆さんのご寄付によって支えられています。形のくずれた丹波の有機野菜は、コロナで困窮している子どもたちや在日外国人留学生に学生自身によって届けられています。これはフードロス削減にもなっています。ぜひ若者の活動やコロナで困窮している人たちを支えてください。よろしくお願いいたします。(吉椿)
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