No.79 「丹波農業フィールドワーク第3回:学生の感想②」

CODE未来基金の丹波農業フィールドワークでは、若者が農業を通じて食やいのち、地域や世界を学ぶ事を実践しています。
第3回は、稲刈りとサツマイモの収穫でした。暑い中、若者たちは、食を作る事の大切さや共同作業による助け合いの意味を学びました。参加した若者たちの感想を順次紹介していきます。
自分の手で植えた稲を自分で刈る事を体験した黒瀬天孝(大阪大学1回生)の感想です。

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今回は2度目のフィールドワークで、7月の分を含めれば3度目の参加でした。5月に植えた稲を刈り、サツマイモを掘り、ようやく一巡することが出来ました。特に刈り取った稲を干す時、垂れた稲穂を見る度に「もうすぐこれがお米になるなあ」とわくわくしていました。自分で植えたものを自分で収穫する、貴重な経験が出来たと思います。ただし収穫までの約5ヶ月間、作物の維持を市島ファームの方々に任せっきりでした。この維持作業も農業の大部分を占めており、このおかげで私は収穫を体験出来ているのだと改めて実感しました。

ファームの方々との意見交換会で、前回は日本の農業そのものについて学び、今回は農業を通した共同体的な生活について話を伺いました。奥丹波に移住する前はご近所付き合いも少なく孤立した状態だったのが、移住後はいつも誰かが訪ねてくるようになっている。都市にいた頃より誘惑がないため服装などへのこだわりが減り、無駄な消費が少なくなった。会社勤めをしていた時より、何かを生み出している実感がある。このような話を聞く中で、普段都市に住んでいる私たちよりも、農業を介して人間の原点に近い状態にあるのではないかと思いました。
また「日役」という言葉を知りました。奥丹波では定期的に草刈りや水路の掃除を交代で行い、欠席すると罰金を課すルールが設けられているそうです。草刈りや水路の整備は、みんなが農業をする上で欠かせないからです。ただし近年はこういった共同体内でのルール共有が不十分で、それによって周囲と軋轢を生むこともあるそうです。
以前大学の講義で、かつての日本では各々が周囲と協力し、自らをも含めた共同体の活動を円滑にするため内部の秩序を維持してきたと学びました。この日役という言葉から共同体内の秩序維持の一端が見えた気がします。また構成員との情報共有こそが共同体の存続を左右するのではないかと思います。個人主義が主流になりつつある都市生活で、「ご近所付き合い」をいかに実現できるか。たとえそれが挨拶だけだとしても、いざという時の助け合いのために実践すべきではないでしょうか。

さらにCODEで現在計画中の子ども食堂への食育プロジェクトについても相談を行いました。「そもそもなぜこのプロジェクトを行うのか?」と尋ねられた際、少し回答に困りました。それまで曖昧な全体像のまま議論が進んでいたからです。改めて食育プロジェクトを行う意義を考えたとき、大前提は「食への関心を高める」ことでした。そこから私は子供たちに有機野菜を知り、食べてもらい、食の安全を少しでも考えてほしいと思っていました。一方同じCODEのメンバーからは、食への関心を高めることは同じでも、食物を作る手間や労力を知ってもらった上で、食の大切さを知ってもらいたいという考えもありました。
その上で、単発のミニレクチャーをして料理をする以外にも、プランターを用意して自分たちで食物を育てるのも良いのではないか、と市島ファームの方から言われました。今回の相談によってまずCODE内での考え方の違いを知ることができ、さらに具体的な目的を立てた上で審議することを覚えました。自分は子供たちに何を伝えたいか、何を考えてもらいたいかを改めて練り直す必要が出てきました。

今回私が学んだ、収穫までの一巡りや農村部の共同体維持、都市生活者に伝える食への関心などがCODE本来の目的である災害支援とどのように結びつくのか、海外の諸地域の生活も調べた上で支援の一助となるように考え続けていきます。
多くのことを学ばせてもらい、農業と国際協力に対する自分なりの関心を深めることが出来ました。ありがとうございました。
(黒瀬天孝)

*CODE未来基金の活動は、皆さんのご寄付によって支えられています。形のくずれた丹波の有機野菜は、コロナで困窮している子どもたちや在日外国人留学生に学生自身によって届けられています。これはフードロス削減にもなっています。
ぜひ若者の活動やコロナで困窮している人たちを支えてください。よろしくお願いいたします。(吉椿)

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