四川大地震救援ニュースNo.143/四川大地震10周年レポートNo.6

2008年の四川大地震の支援プロジェクトとして2016年度から実施しているこの事業は、災害多発国である日本と中国で、新たな災害に備えた連携とNGOを担う若者の発掘をめざしたものです。

この事業で中国や日本の被災地を訪れた若者たちは15名にのぼり、今も未来基金などを通じてCODEにかかわってくれています。今年度は、神戸大学、関西学院大学、神戸女子大学、愛媛大学の学生など6名と10年目の四川の被災地を訪れました。

10年目の被災地での学びや出会い、現状を複数回に分けて報告いたします。


【四川大地震支援プロジェクトから学んだこと 神戸大学1年 井村翠】

四川省で過ごした一週間は、私にとってとても盛りだくさんなものでした。


四川大地震をきっかけに建てられた「防災・減災教育館」、伝統文化の継承や防災教育に力を入れている「興賢小学校」、地震によって甚大な被害を受けた中学校を震災遺構として残している「汶川県映秀鎮」、中国最古の民族であるチャン族が住む石造りのまち「桃坪」、震災後に伝統的町並みを再建した「水磨鎮」、まち全体を震災遺構として残した「北川県城」。

そしてCODEが10年間支援し続けてきた「光明村」。

中国に来る前に私が抱いていたイメージを覆すような立派な施設や素敵な街並みに驚かされたり、言葉が通じなくても笑顔であたたかく迎えてくれた現地の方々のたくましさと優しさに感激したり、10年たった今でも生々しく残る地震の爪痕に自然の脅威を感じたりと、目まぐるしい日々を過ごしました。

たくさんの場所を訪れたくさんの方々からの話を聞く中で、様々な現実を目の当たりにし、また考えるべき問いを多くもらいました。

映秀鎮にて

先進と思っていた日本よりもはるかに進んでいた小学校での防災教育。被災した建物類を震災遺構として残すか否かは、被災者の声はほとんど聞き入れられることなく政府の方針により決定されること。

仮設住宅が持つ意味やそこでの暮らしに関する日本との違い。「自助・共助・公助」の考え方。歴史的建造物の保存とそこで暮らす人々の伝統的文化との共存の仕方。これからの支援の在り方。

 

「知識も技術も被災経験もない私にもできることはあるのだろうか。」

これは日本でも未だ支援を必要としている被災地のためになにかしたいと思いつつも何も行動に移せていなかった私が、このプロジェクトに参加することを決めたときからずっと抱いていた疑問です。

震災遺構として残っている建物から当時の状況を想像し、たった一回の揺れがこんなにも多くのものを奪い去ってしまうのかと怖くなったりその時の感情を想像してつらい気持ちになったりしたとしても、それはやはり想像に過ぎず、どうしたって実際に被災した方々と同じ気持ちになることはできません。

光明村にて

それでも一週間の研修を経て、この疑問に対して私なりに出した答えは、「被災者に寄り添う」ということでした。

「被災者」と一概にいっても、仕事を失った人もいれば、家を失い住み慣れた土地を離れなければならない人もいるし、自身が怪我を負った人もいれば、大切な誰かを失った人もいます。

このように同じ場所で被災した方々でも置かれている状況はそれぞれ異なるため、ボランティアを求めている人もいれば、なかにはボランティアを受け付けず、そっとしておいて欲しいと思う方もいると思います。だからこそ、そのことを理解し、どんなに小さなことでも一人ひとりの声に耳を傾け、一人ひとりの感情と向き合い、それぞれに合わせたそれぞれの形で関わっていくということが「寄り添う」ということではないか、と思いました。

 

また、本気でその人自身と向き合い寄り添えば、強い想いが相手の心を動かし、価値観をも変えうるということを吉椿さんと光明村の方々の関係性から学びました。

さらに、吉椿さんや光明村の方々、震災直後に吉椿さんとともにボランティアを行っていたやすさんのお話を聞いて、がれきの撤去や建物の再建などの実働だけではなく、話を聞いて痛みを共有したり、一緒に食卓を囲んだり、同じ時間を共有しながら泣いたり笑ったりする他愛ない些細な時間の積み重ねが、被災した方々だけでなく、ボランティアをする人にとっても、生きる希望を見つけるきっかけになることを感じ、なんて素敵な活動なのだろうと思いました。

 

残念ながら、知識も技術も経験もない私が被災地のためにできることはとても微々たるものです。

復興のための目に見えるような成果は残せないかもしれない。でも、それでも、目の前の誰か一人でも喜んでくれるのならば、私は私のできる限りのことをしていこうと思いました。

宿泊場所にて光明村での出し物の練習

最後に、今回私が四川省を訪問してこれらのことを学ぶことができたのは、受け入れてくださった現地の方々やCODEスタッフの方々を始め、CODEの活動を支えてくださっている方々、そして送り出してくれた両親や、一週間ともに学んだメンバーのおかげだと思っています。

たくさんの学びや刺激をくれたすべての方との出会いに感謝しています。

この貴重な研修をただの非日常体験で終わらせず、しっかりと自分の経験に落としこみ、これからに活かしていけるよう頑張ります。ありがとうございました。


4月1日13時~16時@こうべまちづくり会館で、今回四川を訪れたメンバーも報告をさせていただきます。ぜひお越しください!
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