玉樹の被災地へと駆けつけた中国人、チベット人のボランティア達が口をそろえて言うのが、僧侶の逞しさとその活動が被災者に絶大な支持を受けているという事である。標高約3700mの高地に順応しているその身体とチベット仏教に支えられた精神の強さと慈悲の心に裏打ちされた活動が多くの被災者の支えになっているのであろう。だが、現在、省外から救援にやってきた僧侶の姿はなく、地元の僧侶のみであるという。
精神的に逞しいのは僧侶だけでなく、被災者の中にも逞しく、慈悲深い人々もいるという。被災地で活動していたチベット人ボランティアのYさんは、救援物資を配布している時に、一人のおばあさんに出会った。ガレキの中の粗末な掘立小屋でひとり寂しく暮らすそのおばあさんに物資を渡そうとすると、おばあさんは「私は要らないから、他に困っている人にあげてちょうだい。」と言った、Yさんはその言葉に痛く感動したという。
ボランティア達に見せてもらった写真には避難テントの前でマニ車を廻す高齢者の姿が写っていた。マニ車とは、チベット語でマニ・コルと呼ばれ、チベット仏教独特の法具のひとつで、手に持てる小型のものは、棒の先端に円柱の形をしたものが付いていて、その円柱の中にはお経が書かれた紙が入っている。マニ車を一回廻すと一回お経を読んだ事になる。チベット人の住むエリアに行くとそこかしこで真言を唱えながらこのマニ車を廻す姿に出会う。
また、チベット寺院には本堂の周囲にはマニ車が並んでいて、その一つ一つを廻しながら右回りに巡回していく。この行為をコルラといい、6656mの西チベットの聖なる山カイラス(カン・リンポチェ)の周囲約50kmを2~3週間かけて五体投地でコルラするチベット人もいる。小さなマニ車から過酷なカイラス1周までコルラも様々である。
このような信仰に支えられた逞しさ、慈悲の心をもった被災者の人々に僕らは学ばなくてはならない。
中国青海省地震レポート No.17
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