中国青海省地震ニュース No.18

5月31日、中国中央電視台(CCTV)は、青海省地震での被害を以下のよ
うに発表した。青海省政府の記者会見によると、死者2698人、その内身元の確認の取れたのは2687人(男性1290人、女性1397人)、身元不明の遺体が、11体、そして270人が未だ行方不明であるという。場所別では、青海省籍が2591人(玉樹籍2537人、玉樹籍以外54人)、青海省籍以外(四川など)が96人、亡くなった学生数は199人。これが最終的な死者数の確認であるという。
6月1日は、チベット高原を襲った地震の日からちょうど49日目にあたる。これまで被災地だけでなく多くのチベット寺院などで7日毎に祈祷法要(モンラム)が行われてきた。日本でも同様であるが、仏教では人は死後、49日の間に成仏するといわれ、それまで初七日、二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)と言って7日毎に祈りを捧げ、亡くなった人々のよき来生を願う。この時読まれるのが「バルド・トドゥル」(死者の書)と呼ばれる経典である。
このチベット死者の書は、死の直前から死後49日間、臨死の人の耳元で
僧侶によって語り聴かせられる。バルドとは中間(中有)という意味で、死者の魂(意識)は死後49日間、バルドという中間の状態にあり、トドゥル(耳で聞き、解脱するの意)によって六道輪廻から解脱するという。チベットでは死は終わりでなく、よき来世へと向かう解脱のチャンスであると考えるそうだ。この「バルド・トドゥル」とは、死とはいかなるものか、いかに死すべきかと問いた、言わば「死の手引き書」であろう。これを耳元で聴きながら死を迎える事はチベット人にとって何とも言えない安らぎなのかもしれない。チベット人は日頃から死や来世に思いを馳せながら生きているとしたら「死」とは決して忌み嫌うものではないのだろう。
この死者の書は心理学者のユングにも絶賛され、現在、アメリカではホスピスの現場でエイズやガン患者の心の支えにもなっている。玉樹で亡くなった命は、荼毘にふされた後もこのような多くの僧侶の祈りによって成仏されたに違いない。
世界中で大規模災害が多発する現在、「チベット」は、人が生と死とどのように向き合っていくかを教えてくれる。そして、それは僕達人間がいかに自然と付き合っていくかをも考えさせてくれる。
今日6月1日、きっと世界中で多くの祈りが捧げられている事だろう。改めてここ四川の被災地から青海省地震で亡くなった方々の冥福をささやかに祈りたいと思う。

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