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困難にある時、支え合うのは至って当然であるが、同じ民族であるなら尚更である。
4月14日に青海省玉樹チベット自治州で起きた地震でも同じ民族のチベット人達が、チベット自治区や四川省などから駆けつけた。四川省成都に住むチベット人のNGOやボランティア達も直後に玉樹へとボランティアに向かった。彼らは、トラックに救援物資を積み込み、丸二日かけて被災地へと入った。救援物資の偏っている状況の中、彼らは地元で活動しているNGOを通じて混乱の起こらないように救援物資の配布を行ったそうだ。
玉樹では、チベット人のNGOがいくつかあり、保健衛生、教育、環境などの分野で震災前から活動していた。震災後、各NGOは連携しながら今も活動している。チベット人ボランティアの話によると玉樹の町では、病院、学校、政府の建物などの公共建築物は比較的、鉄筋が入っており、全壊には至ってなかったという。一方、民家は、日干しレンガや土の壁を積んだだけのもの多く、一面の廃墟と化している。それは、四川のチベット人の民家と比べてもかなり質が悪いものだったという。
近年、玉樹では定住化政策により周辺の村での遊牧生活から結古鎮中心部での商売などへと人々の暮らしが変わりつつあった。その急速な暮らしの変化が人々を粗末な住宅に住まわせる事になったのかもしれない。
標高3000~4000mのチベット高原では森林資源は乏しく、柱や梁には多少木材は使われているが、壁は花崗岩などの石や日干しレンガを多用した2~3階の組石造住居が一般的である。最近は資材も石からブロックやレンガへ変わってきたようだ。
本来の伝統住宅では石や日干しレンガを積んだ壁の外側はわずかに傾斜し、上部より下部が厚く積まれ、窓などの開口部も小さく作られている。これは防寒や耐震を考慮したものであると指摘する専門家もいる。千数百年に渡って高度な文明を育んできたチベットでは、寒冷で地震地帯という環境に適応した暮らしの中に智恵がないはずがない。だが、暮らしの変化と共に様々な伝統的な智恵が希薄になってしまったのかもしれない。
中国青海省地震レポート No.16
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