青海省を襲った地震から7日目の21日、被災地では数千人の人々が哀悼の意を表して黙祷を捧げた。08年の四川大地震の際も7日目の地震の起きた14時28分、被災地では一斉にサイレンが鳴り、一面のガレキの中で僕も同じく黙祷をさせてもらった。中国全土でも「哀悼の日」として黙祷などの行事が行われた。国を挙げて行うのは四川に続き2回目だという事である。
また、17日にはチベット僧の手によって震災で亡くなった方々の葬儀が執り行われた。亡くなった約1000のご遺体は、3日間チベット寺院に安置され、その後、結古鎮の丘の上に搬送された。僧侶の手によって運ばれたご遺体のすべての衣服が取られ、数十メートルの長さに掘られた二本の穴の上に並べられ、火葬された。荼毘にふされるご遺体の周りを数千の僧侶の読経を聞きながら遺族は死者を見送った。写真で見るだけでも丁重に葬られた事が伝わってくる。
本来、チベットでは、葬儀は「鳥葬」(天葬とも呼ばれる)が行われる。通常、死後、ご遺体は遺族の手によって2、3日から1週間の間に人気のない草原や丘の鳥葬場に運ばれる。そこで天葬師と呼ばれる人によって鳥が食べやすいように遺体が解体される。そして聖なる鳥、禿鷹に食される。これは、日本人には残酷に映るかもしれないが、チベット人にとっては、魂の抜けた肉体を鳥にお布施するという感覚で、これによって空高く舞う鳥と共に天に還るというものでもある。樹木の少ない標高4000mの高地では火葬する燃料が乏しい。また、堅い凍土や岩場の多い高原では土葬にも適さない。これはチベットの宗教、風土の中から生まれたいたって自然な葬り方なのだろう。
またこの鳥葬以外にも伝染病や事故などで亡くなった場合は土葬、貧しい人や幼児の場合は火葬、高僧や貴族、学者は火葬にされる。
この青海省地震の被災地では、死者の多い事や火葬にする燃料が少ない
事、感染症などを考慮してニンマ派の活仏(生まれ変わりの高僧)が火葬が妥当だと判断したという。
チベット各地から数多くの僧が被災地に駆けつけ、ガレキの中から沢山の生存者を救出してきた。だが、僧侶自らがひとりひとりの遺体を抱え、ひとりひとりの衣服を取り、荼毘にふす姿を見ると彼らは生存者の救出はもちろん、亡くなった人々を送るために遠くから駆けつけたのだと思った。
現時点での被害状況(21日夜 新華網)
死者:2183人
行方不明者:84人
負傷者:12135人(うち重傷者1434人)
中国青海省地震レポート No.6
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