CODE未来基金の丹波農業フィールドワークでは、若者が農業を通じて食やいのち、地域や世界を学んでいます。
第4回フィールドワークが2022年3月28日~29日に行われ、ジャガイモ植えや黒豆の味噌作りを体験させていただきました。また夜の懇談会では、学生さんからのリクエストで「農業と国際協力」をテーマにフリートークを行いました。
参加した若者たちの感想を順次、紹介していきます。四人目は、大阪大学で国際協力を学んだ後、豊岡で奮闘している森本莉永さん(豊岡市地域おこし協力隊)です。森本さん、コロナ禍でJICAの青年海外協力隊の派遣が延期になった事で、昨年から地域おこし協力隊として、農業や国際協力、地域づくりなどをつなげる活動をしています。
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3月28日と29日、ムラとマチ奥丹波で実施されたCODE海外災害援助市民センターの「第4回農業フィールドワーク」にご一緒させて頂きました。今回は3回目の参加ということで、今までと同様たくさんの学びや気づきを得ることができた2日間でした。
2日間を通して、複数の品種の芋定植、里山保全に関わる薪割り・薪積み作業、黒豆味噌作り、色んな野菜の種蒔きなど、色んな農作業に携わらせて頂きました。作業をしながら、ムラマチの皆さんと様々な情報交換が出来たり、丹波の農業やムラマチさんの自然を守る取り組みについてお伺いする事が出来ました。また、CODEの吉椿さんとも、農業に限らず国際協力の話やCODEさんの活動などたくさんのお話を伺う事が出来、大変有り難く思いました。
2日間のフィールドワークのなかで特に印象に残ったのは1日目の夜にあった “農業×国際協力” というトピックでの話し合いでした。ムラマチやCODEの皆さん、今回の農業フィールドワークの参加者の方々、奥丹波の地域の方々、若手新規就農者の方など…。本当に様々なバックグラウンドを持つ人たちが一同に会して行われたこともあってか、議論された内容全てが私にとってとても興味深いものでしたし、書き切れないほど多くの学びがありました。「生産性重視の農業?楽しさある農は?」という議題、6次産業化のこと、日本の構造的な課題、ひとりひとりの努力の尊さ、そして「教える・学ばされる」ではなく「学び合う」ことこそが大事だということ、などなど…。とりわけ、”住民参加” の地域活性化というトピックは、大学院での研究内容だったということもあり、本当に興味深く議論させて頂きました。“住民を巻き込んで地域活性化” の難しさは、発展途上国だけではなく、日本の地方・日本の農業においても言えるのではとしみじみ思います。
国際協力の分野で必ずと言っていい程触れられる老子の言葉があります。
「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えよ」
「授人以魚 不如授人以漁」
欲しがるモノを与えるだけの一時的な開発援助は現地の人の為にならない、欲しいモノを自分で得られる方法や技術を教えることでその人の自助的な成長を促そう、といった意図でこの言葉が謳われているかと思います。でも、私はこの言葉を聞いた当時から「本当にそうかな」といつも疑問に思ってました。「現地の人は魚が本当に欲しいのだろうか」「方法や技術を教えることが果たして現地の人の自主性や主体性を引き出すのだろうか」と常々悶々としながら国際協力の関係者のお話を聞いていたりもしました。つまり本当の意味で住民の主体性を引き出すためには、当事者の住民自身が自ら問題を発見して或いは気づきがあって、「こりゃなんとかしないと!」って課題解決に向けた行動に移してもらう、その仕掛けやきっかけこそが最も大切なんじゃないかと個人的に思います。それは私たち第三者が現地の人から教えてもらう過程でふとした瞬間に住民が発見するのかもしれないし、人とコミュニケーションを取ったり交流したりするなかで偶発的に起こるかもしれない。この事は国際協力に限らず、日本の地方創生や農業に関わる課題でも同じ事が言える、と今回のフィールドワークでの夜の話し合いを終えて改めて感じました。
こういった “農×国際協力” ひいては “日本の農業×国際協力” の内容で議論出来た事で、私にとって議論したかったこと誰かに伝えたかったことをアウトプットする貴重な経験になりましたし、様々な分野で活躍される方々の話をたくさん聞いて、多岐に渡って意見交換して、お互いに学び合うことのできた本当に素敵な時間でした。
丹波で行われているこの農業フィールドワークの取り組みを豊岡の農業でも応用していきたいなと思っております。そして、豊岡だけでなく但馬地域、兵庫の農業がもっと活気づいていくような活動が出来るようこれからも頑張らないとな、と強く自分に言い聞かせることの出来た2日間でした。
次は皆さんと是非お会いしましょう!フィールドワークで関わって頂いた皆様、本当にありがとうございました。
(森本莉永)