プーチン率いるロシア軍は、ウクライナのマリウポリに続いて、ドンパス地方の制圧に向けて攻撃を続けている。さらに南部の港湾都市オデッサをも攻撃し、黒海沿岸の統合支配を目論んでいるのか。ウクライナにとってこのオデッサが破壊されると、海路が絶たれることになる。
先日4月24日は、ロシア・ウクライナ両国に信者の多い、東方正教会のイースター(復活祭)だった。「第一次大戦中、ロシア軍兵士の求めで戦場での復活祭停戦が実現したという」(2022・4・21毎日新聞)歴史もあったようだが、復活祭停戦は叶わなかった。この日、プーチン大統領はロシア正教会に行き、平和を誓った。でも、同時にウクライナに攻撃を仕掛けている。「平和の祈り」って何なのだ?と世界中の人は失望しただろう。
他方、同じ日に米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官はウクライナの首都キーウを訪問し、912億円分の軍事支援をゼレンスキーウクライナ大統領に表明し、同国防長官は「ウクライナの侵攻のようなことができない程度に、ロシアが弱体化することを望む」と米国の目標を語った。また29日にはポーランドが戦者200両以上をウクライナに供与したと。本気で停戦する気があるのか!と怒りがこみあげてくる。
そして、国連グテレス事務総長とのプーチン大統領およびゼレンスキー大統領との会談が行われた。4月27日付け朝日新聞によると、同事務総長は「効果的な対話や即時停戦、平和的解決のための条件を見つけたい」と会談に臨んだが、この願いが叶わなかった。辛うじて①人道支援として、ウクライナ国内で行った約340万人の支援を870万人に増やす。②プーチン大統領は、マリウポリの製鉄所にとどまる民間人の退避のため、国連と赤十字国際委員会が関与することを「原則合意」することを約束させた。が、水を差すようだがプーチンがこの合意を守るとは思えない。
一方で日本は、この機に乗じて、専守防衛原則に反し、軍事偏重路線に突き進もうとしている。私たちは決してこのことを看過できないことを指摘したい。
今、日本政府の自民党はこの情勢に乗じて「国家安全保障戦略」という、戦争への危険を高める軍拡政策の提言をまとめたと発表した。内容は①敵基地攻撃能力の保有。②防衛費を「対GDP比2パーセント以上」という目標を念頭に5年以内に拡大。③防衛装備移転三原則を見直し、侵略を受けている国に対しては「幅広い分野の装備の移転を可能とする」との言い方で、殺傷能力を持つ兵器の提供も検討するよう求めているという内容だ。この自民党の提案に対して平和構想研究会は21日、50人以上の呼びかけ人と600人を超える賛同者のもと、「平和憲法に基づく外交・安全保障の基本に立ち返って、与野党による幅広い視点から冷静な議論を求める緊急声明」を発表した。(声明の詳細はこちら)
同声明は、ウクライナにおける戦争の長期化は、さらなる社会的・経済的悪影響をもたらしかねない。今、お金は武器にではなく、人々にこそ回さなければならないはずだと訴えている。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)