憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.30

露軍とウクライナ軍との戦闘が激しくなるにつれ、プーチン大統領の蛮行が目に余る。この出口の見えない“戦争”を解決するには、「ウクライナが徹底して戦い、勝つしかないのだ!」というような声も少なくはない。

しかし、私は前号で書いた「殺される側」にも、「殺す側にも」立ってはならないと思う。それは「最後の一人まで」という、27年前の阪神・淡路大震災で刻まれたメッセージがあるからだ。
当時ボランティアは、人間なら誰にもある“心根”に押されて、「何か役に立たないか」と目の前に現れた被災者に寄り添い、救援活動に取りくんだ。このメッセージは、その中から紡ぎ出されたメッセージである。

この「最後の一人まで」を、国際法学者として新聞紙上で解説されたのがCODEの前代表理事芹田健太郎(当時神戸大大学院国際協力研究科教授・現神戸大学名誉教授)だ。(*前号でも一部紹介し、全文のURLも貼り付けましたので、FBを見ることができる方は、是非全文を参照して下されば光栄です。)
芹田教授は神戸新聞客員論説委員として1997年12月27日付け神戸新聞―21世紀への針路―で、まず「多数決原理から考えても多数者の幸福は実現できる。だから、立法原理としては少数者の幸福にこそ目を向けるべきである」とし、その最後の一人の代弁者となるのがNGOなのだとも、普段私たちに説いてきた。
同論説では、「(最後の一人の生存権として)教育刑主義をとったことで知られる東京帝大教授牧野英一に『最後の一人の生存権』という論考がある」「牧野は、最後の一人の生存権を主張する根拠に、最後の一人まで戦うことを国民的理想とした第一次世界大戦を思い、最後の一人の生存権を保全することによってその最後の一人までを必要なら終わらせることができることを挙げている」。しかし、芹田教授は「(牧野は)つまり、最後の一人の生存権の原理は、国家をさらに強固にし、さらに偉大にし、さらに尊厳ならしめる原理と位置づけているのである。しかし、牧野は時代に抗することができなかったと言うべきであろう。我々の経験では、最後の一人の生存権の根拠は我々の人間としてのつながりにこそある。今こそ、立法・行政原理としては、最大多数の最大幸福から脱却し、少数者の幸福の徹底した重視へと転換しなければならないであろう」と締めくくっている。

CODEが、神戸に避難して来られたウクライナの一人ひとりに寄り添い、「MOTTAINAIやさい便」を届けている根底には、この思想が原点にある。

◎追記:芹田教授は神戸大学大学院国際協力研究科の最終講義で次のようにも表現しています。(2004年1月28日)「牧野は最後の一人の生存権を主張する根拠に、最後の一人まで戦うことを国民的理想とした第一次世界大戦を思い、最後の一人の生存権を保全することによって、その最後の一人まで必要なら戦わせることができることを挙げていました。時代に生きた牧野の限界です」
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

●CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。(9月2日づけ神戸新聞朝刊にCODEが行っているウクライナ支援の様子が掲載されています。)

●保育園に2歳の男の子を通わせているウクライナの一人の母親が、送迎のために、電動自転車がありませんか?と願っています。もし、提供できる電動自転車があれば、村井まで連絡してください。ただし、運搬の都合がありますので、勝手ながら神戸市内の方に限りますが、よろしくお願いします。

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.29

2022年10月22日付け毎日新聞に執筆されている伊藤智永さんの「土記」には、「(ロシア・ウクライナ)それぞれ世論の大勢は結束し、志願兵もいるようだ。一方で、逃げ出したい人も少なくない。『攻撃する』『守る』『解放する』『奪還する』。国が戦争を言い表わす動詞はいろいろだが、個々人が迎える結末は、兵士であれば、殺すか、殺されるか。非戦闘員でも国内に残れば、自分と家族は、死ぬか、生き延びるか。戦争が一人一人に突きつける意味は結局、『自分は祖国のために死ねるか』の問いに極まる」とある。

私は、本レポートのNO6,NO7で「殺す側に立つな!」と叫んだ。先述した伊藤智永さんのいう、「自分は祖国のために死ねるか」という問いには、「NO!」と答えたい。「殺す側に立つな!」ということは、「殺される側に立つ」ことの裏表の関係だろう。でも「お前は殺される側に立てるか?」と問われたら、正直「YES!」という自信はない。ただ、この問いには「誰に殺されるのか?」ということ、とも深く関連する。

本レポートの最初の頃にも書いたが、27年前の阪神・淡路大震災の直後、被災地のあちらこちらで「生きていてよかった!」「人間は一人で生きて行けない!」と涙しながら、つぶやいていたことを幾度となく聞いてきた。その都度、「人間しとってよかった!」と感動したことを覚えている。今、そのことを思い出すと、やはり「生きていてこそ」だと痛感する。

報道によると、プーチン大統領による部分的動員令で戦地に駆り出された兵士が、「(配属前の)訓練はないと告げられた」「ヘルソンに派遣される。砲撃経験も、その知識もない」「穴が開き、テープで補修された防弾チョッキ」「まともに寝るところもない」「持たされたのは支給された錆びだらけの自動銃だけだ」などとSNSに投稿したそうだ。まるで使い捨てのような形で「かけがえのない尊い人の命が扱われていいのだろうか?」、このような形で「殺される側に立たされていいのだろうか?」

CODEは27年前の震災がきっかけに誕生したが、この間被災地で大切にしてきたことは、「最後の一人まで救う」というメッセージだ。その背景には、CODEの前代表理事芹田健太郎(CODE名誉理事)は、神戸新聞客員論説委員として、同紙「21世紀への針路」で、「3年前の、あの1月17日、身を切る寒い闇の中の救出作業、その後の壊れた建物の中からの救出でも、最後の一人が助け出されるまで、我々は必死に祈り、助け出されて安堵した。その最後の一人の重さである」(1997年12月27日神戸新聞)と書かれたことが、その後の私たちの“羅針盤”ともなっている。

次号で、触れるが「最後の一人まで」というのは、阪神・淡路大震災がもたらした、人権に裏打ちされた大切な思想なのだ。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

*最後の一人までの記事はこちらから
https://www.facebook.com/328257977286826/posts/pfbid02x5KhA2NJfNtKGr8xBKjDWtwbx5vAD3x4Xi9qeksYvkXKHkBJ63eEhGf3Ge9iMDCcl/

●CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。(9月2日づけ神戸新聞朝刊にCODEが行っているウクライナ支援の様子が掲載されています。)

●保育園に通わせているウクライナの一人の母親が、子どもを送り迎えするために、電動自転車がありませんか?と願っています。もし、提供できる電動自転車があれば、村井まで連絡してください。ただし、運搬の都合がありますので、勝手ながら神戸市内の方に限りますが、よろしくお願いします。

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.28

プーチン率いる露軍は、即刻ウクライナから撤退せよ!!

あろうことかロシアのプーチン大統領は、20日一方的に併合したウクライナの東・南部4州(ドネツク、ルガンスク、ザポーロ―ジャ、ヘルソン)に戒厳令を発動した。すでに同大統領は1か月前の9月21日、部分的動員令を発動した。「一時は100万人が動員できる」とも発表していたが、「ロシア国民に向けてロシア語で呼びかけ『動員令が出る前から30万人の徴兵令状が印刷され、署名されていた』」とも(神戸新聞2022・9・24より)。
ウクライナの激しい抵抗の前に、一部は撤退も余儀なくされたが、残念ながら “戦争状態”に突入することになったということだ。
ロシアの勇敢なる市民は、弾圧を恐れず、各地で抗議のデモに立ち上がった。

そもそも同大統領は、ウクライナへの一方的な“侵攻”にもかかわらず、「特別軍事作戦」と言い続けてきたが、この戒厳令発動を以って、自ら「戦争状態」と認めたようなものだ。ヘルソン州などからは、住民退避が始まった。同州親露派によれば、やがて退避者は5万~6万人になるとも。
しかし、同大統領が日々追い込まれ、極限状態と言えるほどの精神状態が続くならば、ギリギリのところで両国が保っていた緊張関係が一気に瓦解する可能性も出てくるという厳しい現実と直面する。

一方で、ウクライナから日本に避難されて来た中には、ザポリージャから寝たきりの母親を置いて避難してきた方もいる。ここ数日の報道に接し、胸がはち切れそうな日々を送っているだろうと想像すると、支援をしている私たちもうろたえるしかない現実に戸惑う。

露軍は、「中度対応体制」「高位準備態勢」「標準準備態勢」(神戸新聞同日付けより引用)と整備しつつ、ウクライナに対する全土攻撃をも辞さないようなので、ウクライナから避難されてきたすべての人々が、恐怖の中にいる。

でも、そうした中でも子どもたちは学校や保育園に通い、共に暮らす母親たちは毎日、日本語の勉強に行き、また一日数時間の就労についている。CODEは「MOTTAINAIやさい便」を届けながら、少ししか会話ができないものの、ある避難者がおっしゃった「いま、ここに与えられた宿命のような時間を、意義あることだと感じつつ、しっかり生きぬくことです。」という言葉に、涙ぐみながら「一人ひとりに寄り添いながら、いま、できることをしっかりやろう!」と決意させられる。届かないかも知れないが、「プーチン率いる露軍は、即刻ウクライナから撤退せよ!!」と叫びたい。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

●CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。(9月2日づけ神戸新聞朝刊にCODEが行っているウクライナ支援の様子が掲載されています。)

●保育園に通わせている一人の母親が、子どもを送り迎えするために、電動自転車がありませんか?と願っています。もし、提供できる電動自転車があれば、村井まで連絡してください。ただし、運搬の都合がありますので、勝手ながら神戸市内の方に限りますが、よろしくお願いします。

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.27

プーチン大統領は、一刻も早くザポロジエ原発から撤退すべきだ!!

「IAEA(国際原子力機関)」の視察団(専門家チーム)がザポロジェに入って、調査の結果を6日発表した。その中で「紛争が終結するまで、攻撃によって懸念される原子力事故を防ぐための暫定的措置が必要だ」として、砲撃を即時に停止するよう訴えるとともに原発周辺を安全な区域に設定するよう提案しています。それを受けてウクライナのゼレンスキー大統領は「原発周辺非武装化の提案であれば支持する」と表明しています。

とにかく表記でも、アピールしたように“プーチン大統領は、一刻も早くザポロジエ原発から撤退すべきだ!”と声を大にして叫びたい。

前号で少し触れましたが、この8月初めにザポロジエから子ども二人を連れて、まさに着の身着のままのような状態で、日本に避難されて来た親子がいます。先日もお聞きしたのは、この家族のお家はザポロジエ市内にあるようです。そこには、両親が留まったままだと。実は、お母さんが寝たきりの状態で、お父さんが世話をしているとのこと。この間の原発をめぐる状況を前に、両親はどんなに恐怖と隣り合わせの日々を送っておられるのが、想像するだけで心苦しくなります。もちろん、こうして両親をおいて、避難せざるを得ない状況に追い込まれた家族は、もっと心が痛み、胸が張り裂けそうな日々なのだろうと思うと・・・・・・。

とにかく“プーチン大統領は、一刻も早くザポロジエ原発から撤退すべきだ!!
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

PS:CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。(9月2日づけ神戸新聞朝刊にCODEが行っているウクライナ支援の様子が掲載されています。)
詳細は、CODEのフェイスブックで!
https://www.facebook.com/328257977286826/posts/pfbid023Sz4UnYK8DbAg14K3x3sKG7qsTv27SSLEc7CG5idNtR1gpxU6keyfyjbnbUSKqxsl/

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.26

ロシア軍がウクライナのザポロジェ原発を制圧したのは3月4日だった。あれから半年が過ぎようとするいま、「IAEA(国際原子力機関)」の視察団(専門家チーム)がザポロジェに入った。同原発の現状視察と安全確認及び安全対策を講じるためとのこと。しかし、あろうことか同視察団が到着した1日の直前に砲撃があり、原子炉1基が停止した。これまでで2度目の緊急停止だ。視察団にとっては「最も危険な任務」となる。

ロシア政府は、2月のウクライナ侵攻直後に、1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発を制圧していた。そもそもプーチン大統領は、ウクライナの原発を「盾」にウクライナと闘うことを想定していたということだろう。今回は、戦闘地域にある原発が砲撃を受ける中での史上初の任務となる。

さて、今回IAEAがザポロジェで行おうとする任務を、プーチン大統領が受け入れるのだろうかという不安も抱かざるを得ない。原発を攻撃するのは国際法違反だ。プーチン大統領は、直ちに撤退すべきだ。

原発の恐怖を思い知らされた日本に住む私たちにとっては、なんとしてもこの原発はもちろん周辺地域も、「非武装地帯」にして欲しいと強く願う。
何故なら、ついこの前にように思い出される11年前の東日本大震災直後に爆発した東京電力福島第一原子力発電所の過酷な事故に遭っているからだ。未だに福島から県外に避難している被災者が約3万人を数え、已む得ず故郷を離れて厳しいで生活を送られている人たちがいることを忘れてはならない。

あれから11年という歳月が経過すると、「故郷を離れていつまで避難しているんだ!」という声も少なくない。

実は、この8月初旬にそのザポロジェから日本に避難して来られた母子がいる。どんな思いでザポロジェを後にし、子どもと故郷を離れたのだろうかと想像すると、胸が痛む。それは、私たちは11年前にも同じ思いを体験したからだ。

ザポロジェから避難して来られたお母さんから、覚えたての日本語で「私の まちに いま すごいあぶない 間合い日 しんぱいです」と・・・・・メールが来た。日本に来られて、もうロケットの飛び交う様子、砲弾が着弾する音、空襲警報のサイレンのけたたましい響き・・・を聞く日々からは逃れたかもしれないが、ザポロジェに残っている家族や親戚、友人のことを思うと、落ち着かない日々は変わらない。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

PS:CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。(9月2日づけ神戸新聞朝刊にCODEが行っているウクライナ支援の様子が掲載されています。)

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.25

日本は唯一の被爆国として77年目を迎え、日々の報道と共に、77年前のあの日の筆舌に尽くし難い凄惨な様相を、多彩なメディアを通してさまざまなことを考えさせられる。
それは、同時にプーチン大統領率いるウクライナ侵攻から6ヶ月が経とうとすることを考え合わせなければならないからだろう。これまでのロシア・ウクライナの報道と重ね合わせると、どうしても「あれから77年が経っても、まだこんな悲劇が繰り返されるのか!」と愕然とする。

先日8月8日付け神戸新聞夕刊で、漫画家のちばてつやさん(83)が「子どもだったから、戦争のことなんて分からなかった。意味も分からず家を追い出され、あっちこっち親についていっただけ。ウクライナで子どもが泣きながら歩いている映像を見ると、私たちと同じだと思う。あれから77年になるというのに、まだこんな子がいる。『愚かなぁ戦争を繰り返さないよう、ちゃんと伝えてね』って、(旧満州から)引き揚げる途中で亡くなったり、帰れなかったりした人たちに時々、後ろの方からささやかれるんだよ。」とインタビューに応えている。

しかし、戦禍は終息に向かうのではなく、信じがたいがウクライナでは同国南部にあるザポロジエ原発が砲撃の対象にもなっており、とうとう1基が運転停止という深刻な事態を招きかねない状況にある。また、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」(国際事務局・ロンドン)が、ロシアの侵攻に対するウクライナ軍の戦術について「民間人を危険にさらしているという指摘がなされ、専門家からも批判の声が上がっていると報じられている。アムネスティ・インターナショナル側は、「紛争中に市民の生命と人権が守られることを常に最優先する」と強調(2022年8月13日毎日新聞)。人権を尊重する私たちNGOとしては、当然の主張だ。

ところで、先日の広島での原爆の日の式典に、主催者側はロシアからの出席を拒んだ。それに対して、被爆者から「プーチン大統領にこそ、原爆の非人道性を知って欲しい」と疑問の声が・・・・。インドネシアのジョコ大統領は、今年の10月にインドネシアで開催が予定されている「G20サミット」への、ロシア・ウクライナ両首脳の出席を実現させるために、同両国はじめ、日本など関係国の賛同を求め、短期間に議長国であるジョコ大統領は訪問して回った。非同盟・中立主義を外交方針に掲げるジョコ大統領の願いは、政治的な外交儀礼にとどまらないものだと思いたい。

あれから6ヶ月も「戦争状態」が続いている現実と向き合うならば、誰もが「対話」「外交」という手段での解決を、一日も早く実現することを望んでいるのではないだろうか?
今、考えなければならないことは、「どうすれば戦争が終わるのか?」だけだ。少しでも可能性があるならば、過去の歴史にも遡りつつ、知恵を絞るということだろう。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

PS:CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.24

先日6月30日にスペインのマドリードで開かれたNATO首脳会議の結果を見ると、今回のロシア・ウクライナの状況に対して、広義での西側の国々はまったく「対話と外交で解決しようという姿勢などは1㍉も見えない!」。しかも、去る6月15日にブリュッセルのNATO本部で開かれた「ウクライナの防衛を協議する関係国会合」では、「45カ国がウクライナに兵器供与拡大を表明した」と。この状況は、荒っぽく言うとウクライナを盾に、プーチン大統領が君臨するロシアとの全面戦争に突入したということではないのか?

しかも、今回の首脳会議ではスウェーデンとフィンランドの加盟を正式に決定し、ウクライナも候補入りした。加えて、パートナー国として、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドをも巻き込み、これは中国をけん制する大胆な戦略であることも容易に理解できる。岸田首相が歴代の首相として、初めてのNATO首脳会議参加となり、注目を浴びたことは、日本の将来に大きな不安をもたらした。

毎日新聞7月2日付けの社説は、「NATOの体制強化」「露の暴挙が団結を促した」との見出しだ。その通りだろうが、同社説の中で主張している、「ロシアを抑止し、中国を警戒するのは当然だ。だが、敵対姿勢を打ち出すだけでは「冷戦の復活」のそしりを免れない。団結をてこに外交を動かすことが重要だ」という論をもっと強く打ち出して欲しかった。

さて、ロシアがウクライナ東部の2地域の「独立」を一方的に承認したことを受けて開かれた2月21日の国連安全保障理事会緊急会合において、ケニアのキマニ国連大使の演説で、キマニ大使は帝国主義によって分断されたアフリカの苦難の歴史を踏まえ、ロシアの行動を「正当化できない」と非難した。実はこの演説には「ロシア批判」は半分しかなかったと。同大使はロシアを批判しつつ、「アフリカをさんざん虐げてきた西欧が人権や非暴力の重要性を唱えることには偽善を感じざるを得ない」と言いたかったことが分かる」と指摘している。(朝日新聞、022・6・6夕刊「Globe」より引用)

岸田首相は、日本ならではのメッセージを伝える必要があるのではないか?今、参院選を前にして、暮らしに大きな窮状をもたらす中で、ウクライナ情勢に乗じて、「国を守る」「防衛費の倍増」を叫んでいる場合だろうか?第二次世界大戦の本土大空襲および広島・長崎の原爆投下による被害など、甚大な被害を受けた日本が、その後しっかりと“暮らし”を立て直してきたことが、ひいては平和につながることを実証したのは日本だけなのだ!岸田首相は広島出身なのに・・・・・・・?ケニアの大使を見習って欲しいものだ。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

PS:CODEが、ウクライナおよびロシアから神戸に避難している方々に、「MOTTAINAIやさい便」を届けています。この「MOTTAINAIやさい便」も、無数のちいさな橋をかける活動です。是非、応援して下さい。

憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.23

2022年6月23日付け神戸新聞に、遠藤乾(東京大学教授)さんが投稿していた内容に注目した。同紙の「戦争の終わらせ方。『より少ない悪』を選びとる」という見出しに・・・・。遠藤教授は、「終わり方を探る議論は本格化しつつある」と。しかし、プーチン大統領も、ゼレンスキー大統領も、「そんなのどこ吹く風!」という感じで、徹底的に闘うということしか考えてないようだ。

だからではないが、私は終わり方を探る議論が本当に本格化しつつあるだろうかと疑問を抱かざるを得ない。ただ、遠藤教授が投稿したこの内容の最後に、「戦争を始めたのはプーチン大統領だが、それを続ける際、あるいは逆に終わらせる際、われわれは何のためにそうするのか、『目的』がいま問われる。『現在の犠牲』と『将来の危険』とのジレンマのなかで、残念ながら「より少ない悪」を選び取らなければなるまい。これは相当つらいものになる」という論に注目した。なるほどと納得する。ただ、この『現在の犠牲』を『過去の犠牲』に、『将来の危険』を『現在の危険』に置き換えると、『取り返しのつかない「現在の危険」』という気がしてならない。

今、日本に住む私たちを覆う、「国を守る」という空気にはおぞましさを感じてしまうので、より「過去の犠牲」にしっかりと向き合わなければ、「取り返しのつかない現在の危険」から脱出できないだろうと思うのである。今、日本は「将来間違いなく危険なことになる」と断言できるほど危うい。私たちが、“いま”向き合う「過去の犠牲」とは?

それは77年前の沖縄戦の犠牲にだ。4人に1人、あるいは5人に1人が亡くなったという凄惨な戦争にだ。同じ6月23日、朝日新聞の「声」に、「祖母の沖縄戦ウクライナ重ね」という投稿が紹介されている。長くなるが全文を紹介したい。

―祖母は77年前の沖縄の地上戦を経験した。1945年4月1日、祖母らが住んでいた本島中西部に米軍が上陸を開始した。艦隊が海を黒々と埋め尽くすのを見たという。10人いた家族は、血を絶やすまいと、祖父と祖母に分かれて避難を始めた。歩くことが不自由な曾祖母を連れていた祖父らは遠くに逃げることができず、すぐ米軍に捕らえられた。5人の子を連れた祖母は艦砲射撃に追われ、激戦地となった南へ。艦砲の破片で負傷した次男を担ぎながらあちこちのガマや墓に隠れたが、日本兵に追い出されたこともあった。祖母は逃げる途中、偶然、少年兵として招集された長男に出会った。艦砲のやんだ夜、持っていた最後の米で握り飯を作って食べさせた後に別れたが、それが最後になった。逃げること3か月、祖母らも米軍の収容所に。そこでは、多くの収容者を見た女性が「どうして自分の子を殺めたのだろう。こうして皆、生きられたのに」と泣き叫ぶ声が聞こえてたという。祖母もまた、92歳で亡くなるまでの長男の命を惜しみ、苦悩を続けた。毎日のように流れるウクライナの映像に、祖母の沖縄戦を重ね合わせる日々が続いている。(主婦 笠原 梢・東京都 74)─(朝日新聞、2022年6月23日)
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

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憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.22

露軍が一方的にウクライナに侵攻して4か月になるが、毎日ニュースで流される戦況には、頭がクラクラしてくる。

そんなときに、「ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリで3月、住民の女性(29)が息子を産んだ。ロシア軍の攻撃が続き、街に銃弾が飛び交う中での出産だった。我が子を守るために女性が向かったのは、親ロシア派の支配地域やロシアの影響が強い隣国ベラルーシ。「敵地」に身を寄せざるを得ない苦しみを、女性がオンラインの取材に語った」と。(2022年6月22日朝日新聞より)

先日、ウクライナから避難されている方のお話を聞く機会があった。「ウクライナでロシアの支配が強いところは、“ロシア化”されていると聞きますが、もしあなたがそのような地域に住んでいるとすれば、どう思われますか?」と問うたところ、「ロシア語しか話せないとすれば、公的にはロシア語を話しますよ!もちろん家ではウクライナ語しか話しませんが・・・・」と笑いながら話していた。「仕事場ではロシアの人と話しますか?」という問いには、「今の戦争のことは絶対話さない。でも、以外のことは話すよ!」と。隣で聞いていた、一緒に避難されて来た姪っ子さんは、「ロシアのことは話題にもしたくない!」と「キッ!」と口を真一文字にして下を向いていた。こうした苦悩をプーチン大統領は、知る由もないのだろう。

こんな中で素晴らしい話題が飛び込んできた。ノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガセータ」のドミトリー・ムラトフ編集長が受賞したノーベル平和賞のメダルが、アメリカ・ニューヨークで競売にかけられ、日本円で約140億円で落札されたそうだ。そのお金を、今回のウクライナの侵攻で国内外への避難を余儀なくされた子どもらを支援する国連児童基金(ユニセフ)に寄付されるという話だ。久々に爽やかな話題に触れることができた、感謝!!
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

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憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.21

「国連難民高等弁務官事務(UNHCR)の集計によると、ロシアが侵攻したウクライナから国外へ脱出した避難民が8日までに700万人を超えた。・・・・ロシアには104万人が移った。」(毎日新聞 2022・6・10)と報じていた。一方で「448万人」が帰還しているとみられている」(同紙)とも。他方、こうした数字が発表される中で、「(ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で投降した)捕虜1000人露へ移送」(毎日新聞 2022・6・9)という記事が気になる。無事、ウクライナの故郷に帰ってくることができるだろうかと?

さて、未だウクライナ東部では露軍とウクライナ軍が、激しい衝突が続いている。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、8日に公開した演説動画で、セベロドネツクについて「すさまじい戦いになっている。とても厳しい。・・・・ドンパスの運命がここで決められようとしている」(朝日新聞2022・6・10)と述べた。明日12日は「ロシアの日」。プーチン大統領が「戦争を終わらせるシナリオを描くだろう」?という指摘もあるが・・・・・・?

6月9日付け朝日新聞では、(ウクライナから)出国する自由や「前線に立たない自由」を求める市民がいることを大きく紹介している。ウクライナでは、総動員が発令され、18~60歳の男性国民は、国を離れることができなくなっていたのである。叶わぬ願いなのか、戦時下においては、「自由」は保障されないのか・・・・?SNSでは、「兵士として戦え」「恥を知れ」という声も浴びせられたようだ。もちろん、「自由」は平時において獲得するものだろう。

ウクライナの母、ロシア人の父を持つロシア出身スイス在住の作家ミハイル・シーシキンは「気の遠くなるような人類の歴史のなかで、いったい、『国を愛せ』という呼びかけの末に、どれほどの命が犠牲になっただろう。そして今、ロシア人が、ウクライナ人が、同じ犠牲のもとに立たされようとしている。兄弟は共にその苦しみを味わい、いつの日か共に未来を取り戻そうとするだろう」「愚かな権力が、二国の民衆をけしかけ、敵対させるというおぞましいことをやってのけた。そこでは『言葉』までもが、理解し合うためではなく争うために利用されている」(『ウクライナとロシアの未来-2022年のあとに』ミハイル・シーシキン、奈倉有里訳より)と奈倉さんにメッセージを寄せられた。

2月24日以降の露軍によるウクライナ侵攻以来、この問題を自分事として引き寄せ、考えるための指針のようなメッセージが、こうして翻訳者の奈倉有里さんのご尽力があって、私たちの手許に届くということは大変有難い。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

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