憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.19

昨日5日、映画『ドンバス』を観てきた。―2014年に一方的にウクライナの独立を宣言し、親ロシア派勢力によって実行支配されているウクライナ東部ドンバス地方で起きた実話を元に構成された映画-とチラシには書いてあった。ウクライナ出身の監督の作品で、カンヌ映画祭では監督賞も受賞している。

ただ、観賞後帰途に着く道すがら、何か割り切れない、モヤモヤした気持ちを抱き、ブツブツ独りごとをつぶやきながら歩いた。これまでもメディアからの情報では耳にしていたけれど、その理由は、「これは、ほんとうなのか?もしかすればウクライナ側のフェークではないか?」「いや、これはほんとうにロシア側が犯した“ロシア化”の数々の事実なのか?」と、混乱するほどの映像の連続だったからだ。正直、きつかった。

観たあとになったが、5日の朝日新聞朝刊を帰宅して読んだところ、ウクライナ首都キーウから北西部約40㎞郊外の村で、ロシア軍に連行された24歳の青年のことが書かれていた。その青年は同村の鋳物工場の窓もない部屋に監禁され、想像を絶する環境での生活を強いられていたようだ。その部屋には、トイレもなく「プラスチックの容器に排泄」「食事はロシア兵が食べるスープやかゆが提供された。スプーンがたりないので手を使って食べざるを得なかった。」(朝日新聞、2022・6・5)

「ロシア兵が撤退すると、工場ではロシア語で書かれた『誓約書』のような文書が見つかった。『ロシアの人々に対し、違法な行動はしないと約束します。』『ウクライナ軍のことや居場所について、ロシア兵に知らせることを約束します。』『書け、なぜならここは、ロシアになるのだから』。そう言って、ロシア兵が「サンプル」を読み上げたこともあった。」と(同紙より)。映画『ドンバス』の内容とほぼ同じだ。

ただ、それでもウクライナのゼレンスキー大統領に「最後まで戦え!」とは言えない自分がいる。同じ5日、同紙で西谷修(東京外国語大学名誉教授)さんが、「急ぐべきは戦争を一刻も早く止めることだ。唯一立てられる価値は「殺し合いをやめ、みんなが死なない」、これだけである。」と語っている。

ロシア出身作家の翻訳を多く手掛けている「奈倉有里」さんが『新潮』に紹介された「無数の橋をかけなおすーロシアから届く反戦の声」に、以下のような声もあった。

(2月25日のラジオで)「「ロシア政府で権力を握った人間は、まさかこんなふうに世界中の人間を踏み躙り、すべての意味あるものが意味をなくし――人を、神の探求も対話も芸術も、あらゆる価値あるものに取り組めない状態にし、ただ恐怖と憎しみに震える獣に変えてしまうような、そんな状態にすることが目的だったというのか。ほんとうにこんなことが目的なのか?!」困惑するリスナーの質問に対し、「アメリカとロシアのどちらが酷いか競争してはいけない。他国をみるなら、より良いと思うような国を見つけたときに、その『良さ』を競えばいい」「何を読んだらいいかというなら、ウクライナ文学を読もう」と(作家ドミートリ―・ヴィコフー1967~-)
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

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