~【住宅問題編1】スリランカ、仮設団地の現状~ 第3次現地レポートvol.4

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【写真】地震津波で破壊された建物(カルムナイ、4月13日)

<何もなかったように穏やかな東海岸カルムナイ>
 4月9日、今年1月初め以来のスリランカ東海岸入りだ。津波直後の荒れ果てた海岸の状態は一変して何もなかったかのようだ。瓦礫もすっかり片づけられ、遠くから見ていると普通の美しい海岸だ。しかし近づいて少し海岸を歩いてみると元幼稚園や小学校の敷地だけが軽うじて残っている姿は痛ましい。後ほど紹介する海岸から最も遠い地域に建設された仮設団地では、なんと前回ここの海岸で会った一人の男性と再会した。その男性は身重の連れ合いと子どもを亡くし、呆然とすべてを流された家の跡地に立ちつくしていた。今回会った時は、透明のカード入れのようなものの裏表に、その連れ合いと子どもの写真を入れて道行く人に見せていた。かなり重傷のトラウマを背負ったのだろう。


<再定住の難しさ>
 政府は”バッファーゾーン”といって、海岸から100㍍または200㍍内には再定住してはいけないというエリアを発表したが、チラホラ勝手に建設している人もいる。3月28日に二度目の大きな地震が、スマトラ沖であったためか漁民でも、もう海岸には住みたくないという人たちもいる。漁業との兼ね合いが大きいのだが、二度とこのような悲惨な目に遭いたくなければ、海岸から遠く離れた地域への再定住の選択も積極的に考えてもいいだろう。しかし、あの時の事を思い出すと恐怖感が蘇るが、漁業を営む以上海岸から離れられないというジレンマもあるのは事実だ。上手く良い加減の再定住案が決まれば良いのだが。

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【写真】Shavalakada Refugee Campの仮設住宅に住む住民(4月13日 カルムナイ)

<災害から4ヶ月、一様に落ち着いている仮設団地の様子>
 今回のカルムナイ入りで、6ヶ所の仮設団地を見て回った。実に多様だった。まだテントでの避難生活をしている人たちも見受けるが、仮設住宅への移転も進んでいる。仮設住宅の建物は壁も屋根もトタン仕様もあれば、壁はベニヤ板で屋根はヤシの葉、壁はベニヤ板で屋根はトタン張り。敷地も地方政府提供のものもあれば、宗教施設の敷地内であったり、中には個人の土地を借り受けている場合もあるようだ。仮設の運営も、住民委員会が設置されていたり、地方行政官がまとめていたりといくつかのパターンがある。タミール人の仮設住宅はすべて「TRO=タミール・リハビリテーション・オーガナイゼーション」というタミール独自のシステムで管理運営をしているといっていいだろう。
どの仮設住宅でも水不足とトイレの不衛生を訴えているが、なんとか自主的に対応して欲しいものだと思う。何故ならば水とトイレは人間が生きていくのに最大限不可欠なことだからだ。しかも、津波の場合被災した地域と被災していない地域がはっきりと分かれる。そして圧倒的に被災をしていない人たちの方が多いのだ。仮設団地と言っても阪神・淡路の時とは比べものにならず、一団地20戸から80戸ほどでそれほど大規模ではない。トイレは団地に一ヶ所しかないというケースが多く、どうしても不衛生になるのだろう。ある仮設団地では一人のドクターが常駐しているようだが、「一番多い症状は何ですか?」と聞いたら「下痢だ」と応えていた。最低限消毒液による手洗いの励行を進めて欲しいものだが、コレラなど発生しないかと心配である。ところで、災害後4ヶ月くらい前に仮設住宅を訪ねた時の騒々しさはなく、意外に落ち着いているのに驚いた。正月(スリランカの正月は4月14日)を前にしているからかも知れない。
*カルムナイYMCAが関わっている仮設住宅団地は8ヶ所あり、内一つは正月でほとんどが親戚の家などに移っていることから閉鎖しており、もう一つは元公的な病院を貸しているというケースもあり、そこには20世帯が住んでいる。従って今回我々が訪問したのは6ヶ所である。
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