スリランカより愛を込めて-クキさんの防災共育レポート26



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(上)手を洗いましょう
(中)TSUNAMI物語
(下)聞く姿もそれぞれ
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「TSUNAMI教育プログラム」3
 幼稚園でのプログラム中に、園児らのランチタイムがある。自宅から持参したお弁当をいただくのであるが、この時間も私たちにとって「防災共育」であると言ったのはリーダらである。理由は、食事をいただく前後に「手を洗うこと」や、お弁当を持参できなかった子どもに「分けてあげること」などが、「防災」であるということらしい。「分け合う」「支え合う」ことが「防災」であると言った言葉をリーダらの口から聞いて、昨年から引き続きこのプロジェクトを実施してきた甲斐があったと心からそう思えた。防災共育プログラムの成果を何で計るのかと考えた時に、こういった一言、一言や、1.17の特別プログラムで彼らが見せた祈りの姿などから垣間見る「隙間」ではないだろうかと思う。
 ロッシャンが園児を抱え込みドアの方へ走りだした。ドアの外には水のはった洗面器が置かれていた。どうも、手を洗わずに食べだそうとしたので慌てて手洗いをさせに外へその子を運んだらしい。「手を洗わないで食事すると黴菌が一杯お腹の中に入って病気になるよ」って言ったDr.ロッシャンである。以前、プログラム後に「今日は医者になった気分だ」と言った彼の言葉を思い出す。
 ランチ後に少し外で遊び、次のプログラムである「TSUNAMI物語(象の物語)」の読み聞かせを行った。この作品は、長縄えいこさんの作品で、心あたたまる象の母子の物語である。TSUNAMIのおそろしさを子どもたちにわかりやすく伝えるように構成されている。日本語から英語に、更にシンハラ語にと訳し、大きめに印刷して紙芝居風に準備していた。これらの作業は、想像していた以上に時間と労力を要したが、皆で頑張った甲斐があり、ある子どもたちは、チャトランギーが「もう少し、下がって見ましょうね」と言っても聞かないほど、紙芝居に夢中になっていた。しかし、ある子どもは、情報ボードが気になるのか、その絵柄を見つめていたり、ある子どもは、悪ふざけしすぎで、チャトランギーに少し叱られていたりしていた。聞く姿勢も皆バラバラ、でも共通していたのは、この時間を皆が楽しんでいたということだ。悪ふざけをしていた男の子が、照れながら、前に進んで、チャトランギーの手伝いをし始めた姿を見て、思わず笑み一杯になってしまったチャトランギーと私である。