スリランカより愛を込めて-クキさんの防災共育レポート25


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(上)一緒に外で遊ぼう(下)バンザイ
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「TSUNAMI教育プログラム」2
プログラムの始めから、ちょっとしたハプニングがあった。ある園児が、泣き続けているのである。机に顔をうつ伏せながら、こちらがどんなに宥めても、泣き止まない園児。どうしたものかと考えていると、ロッシャンがテクテクと園児の方に近づいて行き、その子の耳元で何か囁いた。するとその園児がドアの方へ泣きながら歩いてきた。それを見ていたある園児が彼のためにドアを開けてあげた。その後をロッシャンが続く。外に目をやると、ロッシャンがその園児をブランコに乗せ、ブランコを押しながら、何やらお喋りしていた。後から何を喋っていたの?と聞いても「秘密」だとしか答えてくれなかった。どうも、二人だけの秘密にしておきたいようだ。
彼らが外で遊んでいる間、幼稚園内では「稲村の火の物語」の寸劇が行われていた。稲穂に火がつけられ、その稲穂に扮する子ども、メラメラと稲穂が燃える様を、体を左右に揺らしながら楽しそうに演技していた。津波から逃れられた村人に扮する女の子は「バンザイ」をして飛び跳ねて喜んでいた。目を細めて見ていた私も思わず一緒になって「バンザイ」をしてしまった程である。
寸劇が行われている間に、どうもロッシャンが外から一人で戻ってきていた。しかし、暫くすると又、彼は外へと歩いて出て行ってしまった。そして寸劇も終わる頃に、今度は二人揃って戻ってきた後、泣いていた園児は自分の席へ落ち着いた様子で座った。ロッシャンが「もう大丈夫だよね?」とその子を気遣いながら優しく尋ねていた。