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【中国・青海省地震】天空の被災地、玉樹

中国・青海省地震の被害の状況が日々報じられていますが、当CODE災害援助市民センターは救援活動を開始したいと思います。現在は救助活動も難航し、一部報道では死者は1000人を超えていると報じています。一方、そんな中で一人、また一人と「もう一つのいのち」が救われています。地震直後の倒壊した光景を見るたびに、住まいの一部だけでも耐震にしておけば、もっと救命の可能性があがるのに・・・・、と悔しい思いをしながら見続けなければなりません。
CODEとしては、数字を中心としたニュースからはなかなか被災地の暮らしが見えにくい部分もありますが、玉樹県とはどのような所なのでしょうか。中国に詳しい、CODEスタッフのYさんから、可能な限りもうひとつの被災地の姿をお伝えします。あらためてこの被災地をよく知る
ことからはじめたいと思います。
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天空の被災地、玉樹
真っ青な空、荒涼とした青蔵高原を流れる一筋の清流、ディチュ(通天河)。その後、四川、雲南では「金沙江」と名を変え、そして「長江」(揚子江)の名で大陸を横断し、東シナ海へと注ぐ。6300kmのアジアの大河である。このディチュは、標高3680mの天空の町、玉樹県のすぐそばを流れる。
玉樹は、チベット語でジェクンドと呼ばれ、「王朝の遺跡」という意味を表す。その名の通り古くからチベット仏教の栄えた町である。町のシンボル、ジェグゴンパ(結古寺)は13世紀に創設されたサキャ派の大寺院。ジャナマニ(嘉納麻尼)は18世紀に創られた世界最大のマニ石塚(東西283m、南北100m)で、25億個の願いの書かれたマニ石が積まれ、ギネスブックにも掲載されている。玉樹周辺だけで約200の寺院がある。
四川省とチベット自治区との境の町、玉樹は交易の拠点としても古くから栄えていた。四川省から茶葉、青海省から塩がこの町に集まり、取引されていた。
周辺の草原には4000年以上前の人類の活動した形跡もある。夏には草原で競馬寨が開催され、きらびやかな衣装を身にまとったチベット族が一斉に集い、豪快に踊り、艶やかに歌う。玉樹草原を「歌舞の海」と伝えた旅人もいたという。
このような自然、民族、文化共に豊かな青海省玉樹が一瞬にして一面、土色の廃墟となった。町のシンボルのジェグゴンパ(結古寺)もこの地震によって倒壊し、僧侶の中にも死傷者が出ている。被災者の多くは、氷点下の空を見上げながら不安な夜を過ごしている。
四川大地震からまもなく2年、長江の源流近くで起きた玉樹地震。日本に伝わらなかった教えを残すチベット仏教サキャ派の聖地、玉樹。他人事ではない、隣国としてまさしく「一衣帯水」の思いである。
*「一衣帯水」:一つの帯のように細く長い川の意から派生して、細い川の隔たりがあるだけできわめて近い事のたとえ。
◎中国青海省玉樹チベット族自治州について
人口:玉樹州(人口約28万人)
    玉樹県(人口約9万人)
     結古鎮(人口約2万3000人)
民族:州の人口の97%がチベット族(青海省内で最もチベット族が集中)
面積:州面積19.8万?(青海省全体の1 /4)
生業:牧畜(半農半牧)
標高:平均4000m~5000m