No.49「バヤニハンの精神をいかして、地域の防災力向上を目指す」

CODEです。
先日よりお伝えしているフィリピンの台風後の復興支援ですが、CODEは北陸学院大学の田中教授と連携して、貧困漁村で住民たち自身が立ち上げたアソシエーションという自助組織の石鹸作りを通じて生活向上をめざしています。

この石鹸つくりともう一つの柱は、地域の防災力の向上です。
バンタヤン島サンタフェ市のバランガイ(最小行政単位)Poocという集落で、バランガイの職員、市の災害担当者、小学校の先生などと共に小学生向けの防災カードつくりを進めています。そのカードには避難場所などの入ったハザードマップ、家族との集合場所、その地域特有のハザードの基礎知識など小学生でもわかるような内容を検討しています。フィリピンには各地域ごとにハザードマップがすでに作成されているのですが、マップには避難所などの情報がなかったり、バランガイの人たちしかマップの存在を知らないという現状があります。
10月には、現地の小学校の6年生たちと共に街歩きをし、子どもの視点で地域のリスクや特性などを発見していくワークを行う予定です。市職員やバランガイ職員は、非常にやる気になっていて、こちらもとても楽しみです。

フィリピンには、バヤニハンという相互扶助の精神があります。台風Haiyanの後も、被災していない家の人が近隣の人を泊めてあげたり、家屋修理を手伝ったりしていました。フィリピンの人たちも持つ助け合いの精神ややる気、明るさなどをうまく活かせれば、きっと災害で犠牲になる人は減っていくはずだと改めて感じました。(吉椿雅道)

No.48「現地の人たちを支える、新しい学びと自信」

CODEです。
フィリピンのバンタヤン島でJICAの草の根技術協力事業を活用して北陸学院大学と連携して女性の生活向上支援を実施しています。台風Haiyanの際は、セブ島全体(セブ州人口約335万人)では、死者73名、負傷者346名、被害家屋10万9195棟と大きな被害を出しました。台風Haiyanは、バンタヤン島(人口約13万人)上空を東から西へ横断し、死者23名、負傷者3名、被害家屋27083棟という被害を出しました。

バンタヤン島のサンタフェ市のPooc,Okoyの2つのバランガイ(最小行政単位)で女性たちの石鹸作りと小学生を対象にした防災カードつくりを行っています。バンタヤン島は、日本人にはあまり馴染みがありませんが、欧米人や韓国人には人気のリゾート地です。1年前に来た時には、すでにNGOなどが提案してマイクロプラスチックを削減する動きがありました。今回もお土産屋には、プラスチック製のストローを減らすために竹製のストローが売られているのを発見しました。日本より進んでいます。僕たちが支援している女性グル―プの作る石鹸も地元の自然素材やレストランから出る廃油などを使っています。カウンターパートのNGO、FIDEC(Fisherfolks Development Center)のJOJOさんも「いずれはケミカルを使わない石鹸にしていきたい」と語っています。

バンタヤン島の貧困地域の漁民たちは、近年の気候変動や乱獲(ダイナマイト漁)などの影響で思うような漁の収穫がありません。そんな中で女性たちは生活を向上するために、この石鹸つくりを始めました。今は、まだ大した収入にはなっていませんが、それ以上の学びと自信を得てきています。台風で被災した女性たちのチャレンジが少しずつ形になってきている姿をみるとワクワクした気持ちになります。そして何より未来への希望を感じます。(吉椿雅道)

No.47「フィリピンの女性たちから学ぶ」

CODEは、2013年のフィリピン台風Haiyan(英語名Yolande 死者・行方不明者約8000人)の被災地であるセブ島北部で貧困層の漁民にボートや網を提供する漁業支援プロジェクトを行ってきました。
2016年からは、第2フェーズとして、北陸学院大学(田中純一教授)が採択されたJICA草の根技術協力事業でCODEと共に女性の生活向上や地域防災のプロジェクトを行っています。

CODEの漁業支援プロジェクトのフィールドであるセブ島北部のバンタヤン島で、女性たちが地元の特有のカラマンシー、モリンガ、ニームなどの植物資源を使った石鹸を作っています。今回、久しぶりに現地を訪れ、女性たちの努力と成果を感じることができました。
石鹸はすでに4種類の植物資源を使い、形も様々なものが出来ています。今後、どのようにパッケージし、どのように販売していくかが課題で、リゾート地でもあるバンタヤン島のホテルやゲストハウス、レストランなどお土産として販売していく計画です。バンタヤン島は、今後、エコ・フレンドリーな島づくりをめざしていくそうで、プラスティック製品の削減が始まっています。この石鹸もそのエコ・プレンドリーな島づくりの一環になればと思っています。

昨年、現地の女性自助グループ(アソシエーション)の一人の女性に「何故このプロジェクトの参加してるのか?」と訊ねました。その女性からは「学ぶことが楽しい」という言葉が返ってきました。当然、収入のためだと思っていた自分の考えが浅はかであることを思い知らされました。人はたとえ経済的に貧しくても、学ぶ喜び、成長する楽しみがとても大切なんだという事をあらためて気づかされました。このプロジェクトでは、石鹸作りを通じて、貧困漁村の女性たちがものを学ぶことの喜び、身近なものを形にしていく面白さ、それが収入につながっていくこと、などを大切にしています。まずは島内で石鹸を販売していきます。(吉椿雅道)

No.46「学生ボランティアレポート2」

CODE海外災害援助市民センターです。
CODEは、2013年のフィリピンの台風Haiyanの被災地のバンタヤン島の漁村で北陸学院大学と女性の生活(収入)向上と防災リーダー育成のプロジェクトをおこなっています。CODEの学生ボランティアとして現地で活動した神戸大学の羽田和真さん(21歳)のレポートをお届けします。(吉椿雅道)

「学生ボランティアレポート2」 羽田和真(神戸大学2年生)
台風オランダの話を聞いた。ヨランダが接近していた時、テレビやラジオで避難勧告は出ていたらしい。しかし、それらの情報を信じず、コンクリの家がつぶれ始めたため避難したらしい。避難先は、ドイツ人と結婚した友人の家らしい(その家は見れなかったので、どんな家かは分からないがコンクリ製の家らしい)。また、ヨランダ後の台風ルビーの時はちゃんと避難しようとしたが災害センター(避難先)が人で一杯で入れなかったため、またドイツ人の家に避難したらしい。これを聞くと失礼だけど、ちゃんとヨランダから学んでるんやなって思った。。災害センターまでは徒歩15分だが、子供が多数いるため避難は大変だと言っていた。確かに、子供が多いと避難大変そう・・・。ヨランダ後、もちろん家は倒壊し立て直すために家畜を売ったらしい。しかし、今では買い直し、育てている。家畜は最初1500pで買い、3か月後に3500pで売るらしい。子豚は1300pで売るらしく、一匹で200pの利益になるらしい。家畜のえさは2種類あるらしく750p/袋と1300p/袋らしい。収入は家畜だよりらしい。

No.45「学生ボランティアレポート1」

CODE海外災害援助市民センターです。
CODEは、2013年のフィリピンの台風Haiyanの被災地で復興支援を行っています。
CODEは、漁業支援プロジェクトに次いで、北陸学院大学の田中純一准教授と共にJICAの草の根技術協力事業を活用して、バンタヤン島の女性の生活(収入)向上と防災リーダーの育成を行っています。
今回、現地の生活向上に向けたワークショップを開催し、あらたな雇用創出を実現しようとしています。そのフォローアップのためにCODEは、学生ボランティアとして神戸大学2年生の羽田和真さん(21歳)を派遣しました。彼の現地での奮闘ぶりをお届けします。(吉椿雅道)

「学生ボランティアレポート1」 羽田和真(神戸大学2年生)
立部さん(兵庫県立大学大学院)と二人で、ワークショップで住民の方々が作ったリソースマップを元に、フィールドワークを開始した。この日は、ポークの3つのシティオを回った。一つ目のシティオでは実際に現地の人が主食にしているというキャッサバで作ったドラスパ(キャッサバを乾燥させ、粉末にして水でこねて蒸したもの)を作るのを見せてもらい、ご馳走になった。 ドラスパは、ココナッツで作った砂糖が入っているのと、キャッサバ特有のもちもち感から、少し苦みのあるケーキみたいだった。こちらの人は、酢に魚と、唐辛子を混ぜたソースと一緒に食べていたが、自分には、辛すぎたので、そのまま頂いた。やっぱり、そのままの方がおいしいと思う・・・。また、ドラスパを蒸すときは自家製のスチーマーを使うらしく、スチーマーすら自分たちで作ってしまう、村の人たちには脱帽した。こちらでは、コーンやキャッサバが主食らしく、お米はほとんど食べないらしい。また、そもそもこのシティオの人たちは自分たちが食べるものは基本全て自分たちで育てているらしく、食べ物は買わないと言っていた。もちろん牛や豚なども飼っていて、お祝い事などがあれば殺すらしい。自分の生活では信じられない・・・。現地の人と話して、食料を買わずに暮らすことに意地?というか誇り?の様なものを彼らが感じているように感じた。
他のリソースとしては、ここではトゥガスという木の話を聞いた。トゥガスは家具などに使われる木らしく、伐採するときは政府の許可がいるらしい。また、トゥガスは固くあまり生えてはいないらしい。トゥガスは他のバランガイであるバランガイタリサイにある家具会社に売っているらしい。値段は、1~1.5mほどの木材が500p(ペソ)とこちらの物価を考えるとそこそこな値段である。おそらく、政府がトゥガスの伐採を許可制にしているのは、住民たちがお金目当てにトゥガスを伐採し過ぎるのを防止するためだろう。しかし、政府がどのような基準でトゥガス伐採の許可を出しているかは分からなかった。つづく。

No.44「Only oneを見つける」

CODE海外災害援助市民センターです。
2013年にフィリピン中部を襲った台風Haiyan(英語名Yolande)では、約8000名の方が犠牲になりました。CODEは、セブ島北部やバンタヤン島で漁業支援プロジェクトを行ってきました。すでにボートは6つの地域に提供され、活用されています。そしてCODEは第2段として、北陸学院大学の田中純一准教授を主導にJICA草の根技術協力事業でバンタヤン島の貧困層の女性たちの生活向上や地域の防災リーダーの育成を始めています。

8月末に田中准教授や神戸大学や兵庫県立大学大学院の学生さんと共に現地を再訪しました。2日間かけて二つのバランガイ(最小行政単位)で、生活(収入)向上に向けた地域の資源を地域の人が自ら見つけるリソースマッピングのワークショップを行いました。参加した各バランガイのアソシエーション(互助グループ)の方々は、それぞれの地域にある自然資源、人的資源、社会的資源などをグループ毎に地図に落とし込んでいきました。陽気なフィリピン人の気質からか非常に盛り上がり、笑いの絶えないワークショップでした。その中で、絵の上手な男性、リーダーシップをもった女性、英語の堪能な女性などこれまでに知らなかった、気づかなかった人たちの存在が見え、未来への可能性を感じる事ができました。
今後、このワークショップを元にその地域にしかない「Only one」を共に見つけていきたいと思います。(吉椿雅道)

No.43「使い込まれたボート」

フィリピンの台風の被災地バンタヤン島に行ってきました。今回、CODEの漁業支援プロジェクトのセカンドステージとして、JICAの草の根技術協力事業を北陸学院大学と協働する事になり、そのプロジェクト締結に同行させていただきました。

2013年11月にフィリピン中部を襲った史上最大級の台風ヨランダ。CODEは、被災地のひとつであるセブ島北部とバンタヤン島の6つのバランガイ(最小行政単位)で漁業支援プロジェクトとして、ボートや漁網を提供しています。セブシティにあるNGOネットワークABAG ! Cetral Visayasの2つのNGO、SPFTC(Southern Partners Fair Trade Center)とFIDEC(Fisherfolk Development Center)をカウンターパートにプロジェクトを進めており、各バランガイに設立された住民組織(Association)がボートや漁具を管理し、2,3人の漁民たちによって共同利用されています。昨年よりボートの製作(船大工による手作業)、提供を開始し、来月にはすべてのバランガイにボートの提供が完了します。

昨年最も早くボート提供されたバンタヤン島のバランガイPOOCのAssociationの若きリーダー、ボニーは、「CODEのボートは毎日使っているから塗装がはがれたんだよ。今、エンジンのメンテナンス中だよ。」と語ってくれました。CODEのロゴの入った使い込ま
れたボートを見ると嬉しくなりますが、一方で台風後の被災漁民の置かれた状況は非常に厳しいものがあります。

もともと零細漁業で、わずかな収穫で何とかギリギリの生計を立てていた漁民たちは、台風によってボートや家屋に被害をもたらし、より生活は困窮しています。それに加え、気候変動の影響なのか、魚の獲りすぎによるものなのか、最近は漁に出ても、あまり収穫がなく、自分たちの自給の糧にさえ困る状況にあります。台風後に漁師が増えたことや支援機関によって被災地各所でボトの提供が増えた事も相まって、より収穫は減っているそうです。海岸線に住む人たちにとって漁は最も手っ取り早い生計手段であることがこの状況を生みだしているようです。そして政府は、今後、このバンタヤン島をエコツアーの拠点にしようという計画も立てています。そうなるとエコツアーのエリアは禁漁区になり、漁民の収穫はまた減る事になると危機感を感じています。

気候変動の影響下、海の環境と漁民の暮らし、どのようにバランスをとっていくのか、非常に難しい問題を突きつけられています。CODEは、北陸学院大学やJICA、そして地元の漁民と一緒にこの難題に向き合っていきたいと思います。引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。
(吉椿雅道)

フィリピン台風30号(Haiyan)救援ニュース No.42

「CODEのボートが提供されました!!」

先日、北陸学院大学の田中先生の企画で大学生のボランティアキャンプに同行させていただきました。金沢大学の鈴木さん、金沢美術工芸大学の東郷さんの2名の学生さんと共にフィリピン、セブ島の被災地で漁村の暮らしを体験してもらう事で被災地を身をもって感じてもらうというものでした。

今回の訪問に合わせて、現地のNGO、FIDEC(Central Visayas Fisherfolk Development Center)のJojoさんがボート2艘をバンタヤン島のバランガイPOOCに提供してくれていました。そこ学生の東郷さんにCODEのロゴの型枠を作ってもらい、それに合わせてボートの前方と後方の2ヵ所にCODEの文字を皆で入れました。ダルマに目を入れるようにボートに魂を吹き込むような気がしました。

ボートを提供されたPOOCのボニー(24歳)は村の若きリーダーのような存在で、ボートを本当に喜んでくれ、嬉しさのあまり「明日、ボートにモーターをつけるので最初に君たちを乗せたい!」と言ってくれました。

翌日の進水式では、ボニー一家がご馳走を作ってくれました。この地域では船を最初に海に出す時はもち米を食べてささやかにお祝いをするそうです。

CODEのロゴの入ったボートが透き通った海を颯爽と走る姿は本当に感動的で、ボートを自由自在に操るボニーの姿も漁師としての誇りを取り戻したような気さえしました。

フィリピン台風後、沢山の日本の人たちの思いが、現地のNGOの人たちや船大工の人たち、日本の学生さんなど沢山の人の協力を経て、こうやって形になった事にあらためて感謝したいと思います。引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。
(吉椿雅道)

皆でロゴを入れるre皆でボートにロゴを入れる
ロゴの入った2艘reロゴの入った2艘
これからこのボートが漁民の暮らしを支えるreこれからこのボートが漁民の暮らしを支える
ボニーとNGOや学生たちとreボニーやNGOのメンバー、学生たちと
颯爽と走るボートre颯爽と走るボート

フィリピン台風30号(Haiyan)救援ニュース No.41

CODEの漁業支援プロジェクトで、セブ北部の被災地の人たちはボートを心待ちにしています。セブ島北部やバンタヤン島の6つのバランガイ(最小行政単位)のアソシエーション(地域の助け合いの住民組織)の住民は、この提供されたボートや漁網を2~3人で共有し、共に漁を行います。そして、収穫の80%を漁師たちに、10%をアソシエーションに、10%をメンテナンスに、という形で運営していくそうです。

 北陸学院大学の田中先生は、来年3月にこのCODEの漁業支援のフィールドで金沢の大学生を対象にボランティアワークを行います。フィリピンの漁村の暮らしを体験しながら、学生にとって出来ることは何かを考えていきます。アソシエーションの方たちの協議では、ほとんどの方が漁業のサポートをしてほしいと語り、特に女性による魚の加工(日干しなど)のお手伝いが出来ないかと考えています。同じく2007年に地震で被災した能登の加工などとの交流ができればと考えています。CODEとしても漁業支援の中で女性が加工などで経済的に自立できるようになればと思っています。今後とのご支援のほどよろしくお願いいたします。
(吉椿雅道)

フィリピン台風30号(Haiyan)救援ニュース No.40

先日、北陸学院大学の田中純一先生と共にフィリピンの被災地を再訪いたしました。

CODEの漁業支援プロジェクトの現地カウンターパートであるNGOネットワークのABAG(セブ島を中心に活動する11のNGOの加盟するネットワーク)のGigiさん(SPFTC)Jojo(FIDEC)さんに現地を案内していただき、ボートを提供するセブ北部の集落を訪問しました。提供されるボートは現在、セブ北部Medelin沖のLipata島という小島で船大工が一艘一艘手作りで製作しています。工場のようなところで作っているのではなく、集落の中の民家の一角で作っています。職人であるお父さんがボートを作っている姿を子ども達がじっと見つめている様子から、伝統技術というものはこうやって伝わっていくん
だなと思いました。

Jojoさんはこの島でのボート製作を選んだ理由を、「この島に優秀な船大工がいるのでね。」と語っていました。職人2人で製作して月に2~3艘ほどしか出来ないのが現状で、被災地の6つの集落すべてに提供するまでには時間を要しますが、このようにセブ島北部の貧しい漁村の暮らしのひとつひとつが手作業である事を知ればやむを得ない事も分かってきます。
(吉椿雅道)