月別アーカイブ: 2019年8月

No.49「バヤニハンの精神をいかして、地域の防災力向上を目指す」

CODEです。
先日よりお伝えしているフィリピンの台風後の復興支援ですが、CODEは北陸学院大学の田中教授と連携して、貧困漁村で住民たち自身が立ち上げたアソシエーションという自助組織の石鹸作りを通じて生活向上をめざしています。

この石鹸つくりともう一つの柱は、地域の防災力の向上です。
バンタヤン島サンタフェ市のバランガイ(最小行政単位)Poocという集落で、バランガイの職員、市の災害担当者、小学校の先生などと共に小学生向けの防災カードつくりを進めています。そのカードには避難場所などの入ったハザードマップ、家族との集合場所、その地域特有のハザードの基礎知識など小学生でもわかるような内容を検討しています。フィリピンには各地域ごとにハザードマップがすでに作成されているのですが、マップには避難所などの情報がなかったり、バランガイの人たちしかマップの存在を知らないという現状があります。
10月には、現地の小学校の6年生たちと共に街歩きをし、子どもの視点で地域のリスクや特性などを発見していくワークを行う予定です。市職員やバランガイ職員は、非常にやる気になっていて、こちらもとても楽しみです。

フィリピンには、バヤニハンという相互扶助の精神があります。台風Haiyanの後も、被災していない家の人が近隣の人を泊めてあげたり、家屋修理を手伝ったりしていました。フィリピンの人たちも持つ助け合いの精神ややる気、明るさなどをうまく活かせれば、きっと災害で犠牲になる人は減っていくはずだと改めて感じました。(吉椿雅道)

No.48「現地の人たちを支える、新しい学びと自信」

CODEです。
フィリピンのバンタヤン島でJICAの草の根技術協力事業を活用して北陸学院大学と連携して女性の生活向上支援を実施しています。台風Haiyanの際は、セブ島全体(セブ州人口約335万人)では、死者73名、負傷者346名、被害家屋10万9195棟と大きな被害を出しました。台風Haiyanは、バンタヤン島(人口約13万人)上空を東から西へ横断し、死者23名、負傷者3名、被害家屋27083棟という被害を出しました。

バンタヤン島のサンタフェ市のPooc,Okoyの2つのバランガイ(最小行政単位)で女性たちの石鹸作りと小学生を対象にした防災カードつくりを行っています。バンタヤン島は、日本人にはあまり馴染みがありませんが、欧米人や韓国人には人気のリゾート地です。1年前に来た時には、すでにNGOなどが提案してマイクロプラスチックを削減する動きがありました。今回もお土産屋には、プラスチック製のストローを減らすために竹製のストローが売られているのを発見しました。日本より進んでいます。僕たちが支援している女性グル―プの作る石鹸も地元の自然素材やレストランから出る廃油などを使っています。カウンターパートのNGO、FIDEC(Fisherfolks Development Center)のJOJOさんも「いずれはケミカルを使わない石鹸にしていきたい」と語っています。

バンタヤン島の貧困地域の漁民たちは、近年の気候変動や乱獲(ダイナマイト漁)などの影響で思うような漁の収穫がありません。そんな中で女性たちは生活を向上するために、この石鹸つくりを始めました。今は、まだ大した収入にはなっていませんが、それ以上の学びと自信を得てきています。台風で被災した女性たちのチャレンジが少しずつ形になってきている姿をみるとワクワクした気持ちになります。そして何より未来への希望を感じます。(吉椿雅道)

No.47「フィリピンの女性たちから学ぶ」

CODEは、2013年のフィリピン台風Haiyan(英語名Yolande 死者・行方不明者約8000人)の被災地であるセブ島北部で貧困層の漁民にボートや網を提供する漁業支援プロジェクトを行ってきました。
2016年からは、第2フェーズとして、北陸学院大学(田中純一教授)が採択されたJICA草の根技術協力事業でCODEと共に女性の生活向上や地域防災のプロジェクトを行っています。

CODEの漁業支援プロジェクトのフィールドであるセブ島北部のバンタヤン島で、女性たちが地元の特有のカラマンシー、モリンガ、ニームなどの植物資源を使った石鹸を作っています。今回、久しぶりに現地を訪れ、女性たちの努力と成果を感じることができました。
石鹸はすでに4種類の植物資源を使い、形も様々なものが出来ています。今後、どのようにパッケージし、どのように販売していくかが課題で、リゾート地でもあるバンタヤン島のホテルやゲストハウス、レストランなどお土産として販売していく計画です。バンタヤン島は、今後、エコ・フレンドリーな島づくりをめざしていくそうで、プラスティック製品の削減が始まっています。この石鹸もそのエコ・プレンドリーな島づくりの一環になればと思っています。

昨年、現地の女性自助グループ(アソシエーション)の一人の女性に「何故このプロジェクトの参加してるのか?」と訊ねました。その女性からは「学ぶことが楽しい」という言葉が返ってきました。当然、収入のためだと思っていた自分の考えが浅はかであることを思い知らされました。人はたとえ経済的に貧しくても、学ぶ喜び、成長する楽しみがとても大切なんだという事をあらためて気づかされました。このプロジェクトでは、石鹸作りを通じて、貧困漁村の女性たちがものを学ぶことの喜び、身近なものを形にしていく面白さ、それが収入につながっていくこと、などを大切にしています。まずは島内で石鹸を販売していきます。(吉椿雅道)