前回のレポートで、健気な13歳の中学生の言葉を紹介した。24日で露軍がウクライナに侵攻してから3カ月になる。今朝、マスコミ各紙をめくると、ウクライナのゼレンスキー大統領が21日にテレビのインタビューで「2月24日の侵攻以前の領土を取り戻すことができれば、ウクライナにとっての勝利と見なす」と発言したと紹介されていた。その言葉に歩調を合わすように、ウクライナ最高会議は「ロシアの侵攻に伴う戒厳令と総動員令を90日間延長すると承認した。」そして、23日アメリカのオースティン国防長官は、「ウクライナに対し、約20カ国が弾薬や戦車など新たな軍事支援を表明したことを発表した。
加えて、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「(ウクライナ)からの男性の出国を認めることを求める請願書について、反対する姿勢を示した」と(朝日新聞 夕刊022・5・23)。なお、この請願書には2万5千人の署名が集まっていたとのこと。
「停戦」どころか、やはりウクライナは徹底して戦うという決意のようだ。「あ~・・・・・」ため息しか出ない。
5月10日付け毎日新聞に「100年後『野ばら』のリアル」という見出しで、日本のアンデルセン」と呼ばれた児童文学作家、小川未明(1882~1961年)による「野ばら」のことが紹介されていた。小見出しには「童話まるで露とウクライナ」と書かれていた。合わせて同記事には、「第一次大戦や太平洋戦争のさなかを生きた未明は、小説のほか約1200編の童話を残した。昭和初期には、雑誌「婦人之友」に「男の子を見るたびに『戦争』について考えます」という文章を寄せた。世の親が健やかに育てようと心を砕いてきた子供たちが、戦争によって「互に、罪もなく、怨みもなく、しかも殺し合って死ななければならぬ」「戦うことに於て、いかなる正義が得られ、いかなる真理の裁断が下され得るか」と、強く反戦を訴えた。未明は2人の子を病気で失った経験もあった」と紹介されていた。「婦人之友」に掲載された「男の子を見るたびに『戦争』について考えます」小川未明を婦人之友の会員である知人にお願いして、その文章全文を探して貰い、宝物のように手元に持っている。その寄稿した文章の一部は、先に同紙を通して一部紹介したが、「私は、戦争ということが、頭に浮び、心が暗くなるのをお覚えます。戦争!それは、決して空想ではない。しかも、いまの少年達にとっては、これを空想として考えることができない程、現実の問題として、真剣に迫りつつあることです」という下りもある。これは、昭和初期の文章です。今のウクライナとロシア軍の戦争のことではない。この「婦人之友」の文章を探してくれた知人も、この文章を読んで、「”男の子を見るたびに戦争のことを考えます’を読むと、私も長男がおり、また4人の孫たちは皆揃って男の子なので、本当に愛情をかけて育てられているあの子たちが戦場に駆り出されると想像するといたたまれませんね!そして、今現実にそのことが起こっていて、罪のない子どもたちを含め犠牲になっている、これを読むと遠い世界で起こっているというのではなく、我がことに引き寄せて、考えることができたように思います」と、感想を寄せて下さった。
とにかく一日も早く、停戦合意が成立することを祈るしかできない。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)