3月26日、バイデン大統領がワルシャワでの演説で、「民主主義と専制主義の戦い」として、「ロシア国民は我々の敵ではない」と言いつつも、プーチン大統領個人に「権力の座にとどまるべきではない。」と強調した。この発言が物議を醸しているが、この発言を撤回しないとまで言っているようだ。バイデン大統領は、今までも「虐殺者」「人殺しの独裁者」「真の悪党」「戦争犯罪人」などと個人批判を強めて来た。
さて、先月24日のプーチン政権によるウクライナ侵攻が始まって以来、停戦交渉も続いているが、未だ解決の道筋が見えないばかりか、日に日に凄惨な事態が深刻化している。一方国際社会では「反戦メッセージ」が広がり、「ウクライナに連帯」という声も大きくなっている。
敢えて、「しかし」と言わざるを得ない。反戦メッセージはあくまでもプーチン政権・ウクライナ双方に、「戦いは止めろ!」という声も入ってるのではないだろうか。「ウクライナに平和を ロシアに自由を」という声もある。29日付け朝日新聞「天声人語」では、「侵攻する側は、よその国に人殺しに来ている。自分の国を守る側も人殺しをせざるをえないところに追いやられている。今、他国の政治家たちがなすべきは勇ましさをたたえることではない。戦争を終わらせるすべを探ることだ」と。
冒頭のバイデン大統領の発言は、いかがなものかと首を傾げる。これでは戦争の激化を結果的に煽ることになるのではないのか。
今、最優先は対話の解決を提示するのが、世界のリーダーならではのアメリカの役割ではないだろうか?
くしくも今年沖縄復帰から50年という節目を迎える。日本政府はこの間、沖縄の民意を無視続け、沖縄の人たちを苦しめている。バイデン米大統領は、沖縄の民意は知っている筈だ。今こそ沖縄の民意に寄り添い、プーチン大統領に対して「我々は、英断を下し、沖縄を無条件完全開放した。プーチン大統領もウクライナから即時撤退しろ!」というくらいのことを決断しなければ、一方的な批判は有効ではないのだと断言したい。もう一つ、この戦争を終わらせる“すべ”は、先般の国連での「緊急特別会合」で南アが提案した案の背景をしっかりと考えると、そこにヒントがあるように思われる。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)