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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.20
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「フィリピンの学校事情」(第一次先遣隊 現地レポート)
皆さんが災害時に避難する場所と言えばどこでしょうか。おそらく大半の方は「学校」と答えると思います。日本では最も頑丈に作られている施設の一つです。フィリピンでも住民にとっては重要な避難の場となります。しかし、今回の台風被災地では、ほとんどの学校で非常に大きな被害が見られました。
私たちが訪れたセブ島北部の学校は、強風により屋根は飛ばされ、建物は大きく損壊し、ガレキと化している校舎もありました。一見無事だった建物でも窓枠サッシが捻れ、風の影響とは思えない窓が無くなっているという被害が見られます。フィリピンでは学校の強度基準が設けられておらず、耐久力の弱い校舎が台風で壊れました。
一方で、学校に避難したくないという声も聞かれた。セブ島北部のタピロンという地域に住むある家族は、財政的な都合で兄弟の内で長男しか小学校へ行かせることができず、教育を受けていないことが恥ずかしいために学校での避難生活はしたくないと言います。教育格差が非常時の避難にまで影響を与えていることは、今後解決していくべき課題であると思います。
授業が一部再開した地域もあります。しかし、校舎の一部が崩れていたり、避難所として使われたりしているために、まだ完全に再開することは難しく、限られた教室を学年やクラスごとにかわりばんこに使っています。また学校に避難している人たちは、授業の間は外に出ていなければならず、教育の場と生活の場がたいへん不足していることが伺えます。現地日本人のKさんによると、もともとフィリピンには子どもに対して学校の数が少ないそうです。
セブ島北部のマイヤでお話を聞いた家では、子どもが台風の雨により濡れてしまった教科書やノートを乾かしていました。彼に早く学校に行きたいか訪ねると、元気に「Yes!」と答えてくれました。フィリピンでは教室に教科書を置いておくことが多く、そのため学校ごと教科書が吹き飛ばされてしまい、しばらく授業ができなくなってしまったところも多いそうで、早めの対策が必要です。そして災害に対する施設の強度や学校の数、教育格差など多くの問題を抱えていたフィリピンの学校事情を、この災害を契機に見直さなければならないのではと痛感しました。
(上野 智彦)
☆12月3日には報告会をさせていただきますので、ぜひお越し下さい。
→http://philippines2013typ.seesaa.net/article/380863022.html