【CODE未来基金ネパールフィールド研修に参加した学生の感想文3】
CODE未来基金のネパールフィールド研修に参加した学生が学んだこと、感じたことをお伝えします。
CODE未来基金フィールドワーク 感想
兵庫県立大学看護学部4年 立浪雅美
今回の私のフィールドワークのテーマは「村の生活の様子を知る」ということでした。将来途上国での国際保健活動に携わる保健師になりたいと思って今の大学に入学したのですが、大学での勉強や海外研修などを通して、貧困・災害・教育・医療など途上国の現場で生じるさまざまな課題は、現地住民の生活と密接につながっており、またそれぞれが複合的に関連しながら起きていることを学び、医療や看護のことだけ知っていてもだめなのだなと感じていました。未来基金でネパールに行く機会をいただけたことで、まずは村の人々がどんなふうに暮らしているのかを知りたい、実際に現地に行って自分の目で見て、村の人に話を聞いてみたいと考えていました。
ところが、現地でヘルスポスト(簡易診療所)の見学をしてスタッフに話を聞いた際、気がつけば私は、村で多い病気は何かとか、母子保健はどうなっているのかとか、看護に関することばかり質問攻めにしてしまい、周りが見えなくなっていました。診察を受けに来ていた村の人達がイライラしていたということにも、その日の夜のミーティングで指摘されるまでは気づけずにいました。「生活を知りたい」と思ってネパールに来たはずなのに、村の人に寄り添おうともせず、私は何をやっているのだろう…と、情けなくなりました。
「生活を知る」ためにはどうすればいいのか、始めは頭でぐるぐると考えていました。誰に何を聞けばいいのか、どこに行けばいいのか、考えれば考えるほどわからなくなって、逃げ出したくなりました。でもそこで、一緒に参加していたメンバーの2人が自然体で村の人に接していた姿や、目にしたものに素直に反応していた姿を思い出して、「頭で考えていても仕方ない。とにかく、自分が感じたものに正直になろう」と思い、村を歩いてみることにしました。すると、畑で葉っぱを収穫していたお母さんに出会い、家にあげてもらって、見よう見まねで料理を手伝って、ごはんを食べさせてもらうという体験をしました。言葉は全然わかりませんでしたが、普段こんなふうに暮らしているんだなと感じることができ、「生活を知る」という自分のテーマに、少しですが近づけた気がしました。
フィールドワークを通して、知識から入ろうとする視野の狭さは自分の弱みであるということに直面し、それに向き合うことはしんどい経験でもありましたが、他のメンバーや事務局の方に支えてもらったおかげで、自分の殻を破ることができ、新たな気づきを得ることができました。これから先、同じように知識先行になりがちな場面が出てしまうかもしれませんが、今回の経験をもとに、「今の自分は視野が狭くなっていないか?」と常に自問自答し、周りの人の声に耳を傾けられる柔軟さを持てるようになりたいと思います。
そして、今までの私は「将来“途上国”で保健活動をしたい」と漠然と考えていましたが、村の人ひとりひとりにお話を聞いたり、ヘルスポストのスタッフが村の人に自然に寄り添っている様子を見たりする中で、「このグデル村の人達にこれからも関わり続けたい」と思うようになりました。村の人の何人かとはSNSの連絡先を交換してつながることができたので、このつながりを大切にしながら、今回限りで終わりにするのではなく、絶対にまたグデル村に行こう、もっともっと交流を深めていこうと考えています。