ジャワ島中部地震ニュース 第22報

つぶやきレポート「インドネシア被災地の今」 Scene.5
インドネシアには、ゴトンロヨンという相互扶助の精神が今もなお息づいている。農村部の稲作共同社会において人々は、田植えや稲刈りの際に互いに助け合う。労働を労働で返す事もあれば、稲刈りの労働を収穫の現物や金銭でもらう事もあるという。その共同社会を支えるコミニティーシステムにRT(近所との協調という意味)という隣組がある。約30から50世帯が集まって一つのRTを形成し、日頃の地域の清掃活動、冠婚葬祭の手伝いや役場の窓口業務も担う。このRTは、戦時中日本が持ち込んだ制度で「Tonarigumi」という言葉が今も残る。時に、五人組のように行動や思想の監視にも使われたという。

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【写真】トゥキディさんの孫娘と「まけないぞう」
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【写真】ゴトンロヨン(相互扶助)で皆で収穫

バントゥル県のスゴロヨッソ村のクロロン集落の第三RT長である、トゥキディさん(56)は、大工の手伝いなど何でもやる日雇い労働をやり、奥さんは野菜の卸売りをやって生計を立てている。ちょうど前日にRT内の被害状況を調査して村役場に提出したそうだ。また、地震後から目につく道路沿いにPOSKOを設置し、皆で物資の確保、配給にあたっている。
政府から何か話しはあったかと聞くとトゥキディさんは、「そんなもんはない、政府からの支援金もちゃんと届くかどうか。。。」 地域の人以外のボランティアは来てるかと聞くと、「ガレキの下にまだ財産が埋まっているので、親戚以外は入れさせないようにしている。身元の分からない人を入れるのは怖い。」という。コミュニティーが強い分よそ者への警戒も当然つよくなる。夜は皆で交代で夜回りをしているほどだ。このコミュニティーを上手く使えば、しっかりとした減災、防災への取り組みが出来るのではないだろうか。。。最後に「政府の援助無しには、再建ができない。ただ政府の方針を待つだけだ。」と、貴重なお茶を振る舞ってくれた。
  
傷つき、打ちのめされた被災者たちはいつもやさしい。。