憎しみの連鎖ではなく、支え合いの連鎖を!!-NO.15

5月17日ウクライナのマリウポリ・アゾフスターリ製鉄所から、ウクライナの「アゾフ連隊」の兵士が694名退避したことが報じられたが、まだ2,000人以上が残っていたとロシア国防省は指摘し、19日に計1730人が投降したとに発表した。

ウクライナ側は、ウクライナが拘束している露軍兵士との捕虜交換を求めていたが、ロシア側は「犯罪者は裁判を受けなければならない」と、引き渡しに難色を示しているそうだ。ロシア側は「国際的な基準に従って対処することを保証する」と言っているものの、アゾフスターリ製鉄所から“降伏”した民間人を含む約2,000人の中で、民間人に対してネオナチ派のアゾフ連隊であるかどうかの尋問がされている。「ロシア紙『モスコフスキー・コムソモーレツ』はウクライナ兵の処遇については、ロシアの法律家の論評を掲載。マリウポリがあるドネツク州の親ロシア派支配地域「ドネツク人民共和国」の「法律」が適用されるとし、死刑の適用もありうるとした」(朝日新聞 2022/5/19)との報道も。ジュネーブ条約に則れば、とんでもないロシア側の暴挙以外なにものでもない。

ところで、先般ロシア政府が出したロシアへの「入国禁止リスト」に名前のあがった岡部芳彦教授(神戸学院大学)の講義を拝聴した時に、同教授が「ドネツク州を“ロシア化”されることが、ウクライナの人たちにとっては屈辱的なこと。例えば、ある日からテレビの放送は、ロシアで流れている内容に変わり、使用言語もロシア語に統一されるというように暮らしが一変するということを想像できますか?」と聴視者に問われた。

また、同教授は5月17日の朝日新聞夕刊の取材で「太平洋戦争で惨禍を招いた原因の一つには、英語を禁止したことにあるのでは、と。あの頃、日本は英語を「敵性語」と位置づけ、野球のストライクは「よし」、「ボール」は「だめ」と呼んだ」と具体的な事例を語っておられた。さらに同教授は、先の戦勝記念日にプーチン大統領が演説の中でウクライナという言葉を一度も使わなかったことにも言及し、2022年5月20日付け神戸新聞では、「国名を呼ばない姿勢からは、ウクライナという国が存在しないという意識と民族性の否定を感じました。今回の侵攻を通じ、基本的人権の尊重や平和主義といった、私たちが当たり前だと感じている価値観が共有されていない国があることを意識しておく必要があると感じます」とも。これまで日露が友好的な外交関係ができることを願い尽力されてこられた岡部教授にとっては、残念な事態になろうとしているが、「対話の道を探り続けることで、戦争を終わらせると信じたい」と結んでおられた。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)

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