OCHA(国連人道問題調整事務所)によると、29日から退避作業が始まったウクライナ・マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からの避難が100人を超えたようだ。しかし、残念ながら露軍は早くも攻撃を再開した。
さて前号でも触れたが、日本では昨日が憲法記念日だった。おそらく多くの人が、ロシア・ウクライナの情勢を踏まえて、憲法について考えさせられた一日だったのでは・・・・・と思う。
昨日の朝日新聞天声人語に敗戦の翌々年に配られた冊子『あたらしい憲法のはなし』にまつわることが紹介されていた。同冊子は「浅井清その他の人々の尽力でできた」とのこと。そして「憲法学者高見勝利さん(77)によれば、浅井清は慶応大で教えた根っからのリベラリストだった」と。ただ、「国は手のひらを返し、浅井に新憲法の解説役を任せる。〈嬉々として学校へ通う子ども達の姿を見るにつけ(略)憲法の知識を持たせる唯一の機会が、著者に与えられたことに感激を覚えた〉。と自著に記した一文は、彼の高揚感を伝える」と解説。その浅井は「〈くうしゅうでやけたところへいってごらんなさい。やけただれた土から、もう草が青々とはえています〉。と基本的人権を子どもに説くために草や木の生命力から説き起こした」と紹介している。(2022・5・3朝日新聞天声人語より引用)
これを読んで、私は27年前の阪神・淡路大震災後、天川佳実さんという方が「がれきに花を」という運動に携わっていたことを思いだした。きっと想像を絶する大地震だったが、なんと瓦礫の間から愛らしい花が咲いているのを見て、天川さんは勇気を貰ったと言っていた。なお、この運動は同時に「がれきに花をさかせよう!」と学校などでも広がった。
紛争下でも、自然災害下でも、大地の隙間からこうして花が咲く。それは、小さな“いのち”が自然の中で生かされているということを体感することでもあった。先述した浅井清は、そのことを子どもたちに伝えかったのかも知れない。
前号で伝えた「神戸市外国語大学の山本昭宏准教授のいう『国家や専門家が語る安全保障の言葉でなく、一人一人が自分の生活の中にある感覚で平和や憲法を語ることが大切だ』」というメッセージも同じ地下茎にある。
今、ウクライナ民話の『てぶくろ』という降りしきる雪のなか、片方だけの手袋に動物たちが暖をとろうと次々に入ってくる物語の絵本が超人気だそうな。是非読んで見ないといけないな・・・・!
ロシア・ウクライナの緊迫した情勢が続く中で、子どもをかかえる大人は、結構悩んでいるという話をよく聞く。バーチャルの戦争ゲームなどで育った子どもたちは、簡単に「死ね!」「殺せ!」という言葉を口にする。そのたびに、傍にいる大人は「ドキッ!」とし、戸惑っているようだ。私の知人のお父さんが、そうした子どもの言葉に、「どんな人であっても、人間である以上、“死ね!”と言ってはいけないよ!」と言ったそうだ。
ロシア・ウクライナ情勢を踏まえて、実にいろいろなことを考えさせられる。でも、自然の中での、小さな“いのち”、可憐な“いのち”に出会い、いのちは大切にしよう!!ということだけは、忘れてはならないということを肝に銘じたい。
(CODE海外災害援助市民センター事務局 村井雅清)