インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.15

「11mの津波と地盤沈下」
インドネシア、スラウェシ島を襲った地震から2週間が経ちました。この地震による被害は、12日時点で死者2090名、行方不明は670名(公式)となっています。
その多くは身元も分からないまま12日に捜索は打ち切られました。行方不明の多い地域は、液状化でデコボコに地盤沈下したことや泥流が固まったことなどで捜索が困難ということがその理由のようです。
今回の地震による被害の多くは、津波と地盤沈下によるものですが、先日、国家防災庁(BNPB)は、今回の津波が最大11.3m(パル東部)だったことを初めて公式に発表しました。また、インドネシア気象庁などによる調査では、津波は海岸線から483m内陸まで押し寄せたと報告しており、この災害がいかに甚大なものであったかが想像できます。
(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.14

「日本政府の支援」
スラウェシ島の被害が、死者2073名(半数は身元不明)、行方不明680名と拡大していますが、政府は捜索を1日延長して本日12日で打ち切ることとしました。
捜索の打ち切りに合わせたかのように、外国の援助者が締め出しにあっているとの事ですが、現地からの情報によると、2004年のスマトラ地震津波の際に、アチェで外国人が人身売買にかかわったという事があったそうで、それを防止するための処置のようです。インドネシアのNGOやボランティア団体と連携すれば許可が出るとのことです。
日本政府は、インドネシア政府が2日に支援の受け入れを開始したことから、緊急援助隊(JDR)として自衛隊を被災地パルに派遣しました。6日から西隣のボルネオ島(カリマンタン)から救援物資を輸送したり、避難する被災者をボルネオ島に輸送するなどの活動を行っています。また、インドネシア国家開発庁は、日本のJICA(国際協力機構)に対して、被災地の長期的な復興計画の策定の支援を要請しました。災害大国日本の復興の経験と智恵を惜しみなく伝えてほしいものです。(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.13

「インドネシアの津波の教訓と伝承」
 11日午前1時44分(現地時間3時44分)、インドネシア・ジャワ島の東ジャワ州沖でM6.0の地震が発生し、3名(7歳児を含む)が亡くなり、4名が負傷しています。
 スラウェシ島の地震津波災害ですが、インドネシア国家防災庁は、10日、死者が2045名、行方不明者671名、負傷者1万679名、被害家屋6万7310棟になったと発表しました。1636名の死者を出したパル市では、地震や津波、そして液状化による地盤沈下、地滑りなど複合的に発生したことにより甚大な被害を出しました。
その一方で、地震発生後、高台に避難した事で全員無事だった村もあります。震源に近いドンガラ県ワランダノ村は、人口約1200名(280世帯)の村ですが、7月、8月に連続して発生したロンボク島地震の際に高台への避難方法を学んだ村長は、住民に避難を進めた事で死者を出す事なく難を逃れました。その際に住民が実践したのは2つだといいます。一つは、「大きな地震が来たら津波の可能性を考えて、高台へ逃げる」、もう一つは、「家族、友人を待たずに一人でも逃げる」ということだったそうです。まさに「津波てんでんこ」です。
2004年のスマトラ島沖地震津波(死者約22万人、13か国が被災)の際にも、伝承が残っていたことで被害を免れたインドネシアの島があります。スマトラ島の西に位置するシムル島(アチェ州)には、ナンドンと呼ばれる叙事詩が歌い継がれています。1907年にシムル島を襲った津波の教訓として「♫強い地震が来たら、とにかく高いところに逃げましょう。自分の身を守るために♫」という歌が島全体に伝わっていたことでほとんど被害がなかったといいます。「津波てんでんこ」とまったく同じではないようですが、「家族を探さない」ということは、必ず生きて再会するという信頼が、その根底にあるのではないでしょうか。(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.12

「捜索打ち切りと外国の捜索隊締め出し」 
 スラウェシ島で発生した地震、それに伴う津波による犠牲者は、9日時点で2010名と、二千名を超えてしまいました。
国家防災庁(BNPB)は、発災から約2週間という捜索の規定に従い、11日で捜索を打ち切る事を発表し、被災者の間ではとまどい、あきらめ、憤りの感情が交錯しています。
行方不明者は、公式発表では671名(一部には5000名という情報もありますが、 そんな状態での捜索の打ち切りは、遺族にとって到底納得できるのもではないでしょう。「せめて遺体でも会いたい」という遺族のいたたまれない気持ちは想像に難くありません。ましてや死後、遺体を洗浄するなどの習慣のあるイスラム教徒にとっては、亡骸に会えないことほどつらいことはないでしょう。
液状化による地盤沈下で未だ多くの行方不明者のいるといわれるパル市のバラロアやプトボという地区は、今後、原地再建はせずに住民を移転させ、その場所を慰霊の地として共同墓地にするとすでに計画されているようです。
また、この捜索打ち切りと同時に外国の捜索隊も締め出しにあっているという報道もなされています。被災者や遺族の心に寄り添ってきめ細やかな支援が求められています。(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.11

「過去の災害の教訓」
9月28日にインドネシア・スラウェシ島を襲ったM7.5の地震と津波による死者は、1948名(10/8国家防災庁発表)、行方不明者約5000名に上っています。日に日に増加していく死者数や行方不明者数に言葉を失います。インドネシア当局は、11日に捜索を終了するとも発表しています。
被災地パル北部のヌラヤン地区やパントロアン港を襲った津波は、約11mだったとインドネシア気象庁の調査で報告されています。
インドネシアでは、2004年のスマトラ沖地震津(M9.1 死者約22万人)以降、国際社会の支援で津波観測ブイが国内22か所設置されていました。あれから14年が経過し予算不足のためメンテナンスされていない事が原因で、今回もブイが作動していなかった事が分かってきました。
また、避難を呼びかける警報サイレンも国内に56基しかないという現実もありました。被災地では、「サイレンが聞こえなかった」、「津波という言葉を知らなかった」という声もあります。甚大な被害を出したスマトラ島アチェでさえ防災意識の低下が、近年懸念されていました。
スラウェシ島では、過去に2008年(M7.4死者6名)、2007年(M7.5死者4名)、2004年(M7.5 死者34名)、2003年(M7.0死者1名)、1992年(M7.8死者2500名)、1965年(M7.6死者71名)、1927年には今回の被災地のパルで地震と津波が発生しており、約40名が犠牲になっています。
スラウェシ島では、これだけの地震が起きているにも関わらず、その経験や教訓が伝わっていなかったことや1万3000の島からなるインドネシアという国のガバナンスの難しさがうかがえます。(吉椿雅道)

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インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュースNo.10

「5000名が未だ行方不明の可能性」
7日、インドネシア国家防災庁(BNPB)は、9月28日にスラウェシ島で発生した地震と津波による死者が1763名、行方不明が5000名以上にのぼる可能性があると衝撃的な発表をしました。津波に流されたり、土砂に埋まったことによって未だ多数の人が行方不明という発災から9日のこの状況に、被災地がいかに過酷な状況かが想像できます。
また、被災地パルの内陸部では、液状化によって土砂災害も複数個所発生しており、液状化で泥ぬま化しており、津波の被害の後のような状態の場所もあります。スラウェシ島では、地震、津波、地すべり、噴火と多発する災害に混沌としています。(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュース No.9

「未だ1000名以上行方不明の恐れ」
インドネシア・スラウェシ島を襲ったM7.5の地震と津波から1週間が経ち、死者1649名と国家防災庁が発表していますが、1000戸以上が埋まっている地域もあることから未だ1000名以上が行方不明の恐れがあると当局が語っています。ペボトやバラロアという地域では、壊滅的な被害を受け、未だ多くの生き埋めがあり、腐敗によって感染症の懸念が高まっています。
 最大の被災地パルでは、地震が起きた時、イベントで海岸にいた人たちで津波から逃げずに飲み込まれた人が300人以上いたという情報が出ています。地震後の津波の第1波は30㎝ほどで、第2波は約7mだったようで、多くの人は、「引き潮の後に津波が来る」と思い込んでいた事が避難が遅れた原因のようです。また、津波警報が住民に届いていなかったことや津波観測システムが予算不足のため作動していなかったことなどが明らかになってきています。(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュース No.8

「インドネシアで多発する災害」
9月28日にスラウェシ島中スラウェシ州で発生したM7.5の地震、津波による被害は、死者1581名、行方不明者113名、重傷者2549名、住宅被害6万5733名に増加しています。また、同じくスラウェシ島の北スラウェシ州で3日にソプタン山(1830m)が噴火し、周囲4㎞内への立ち入りが禁止されています。
インドネシアには、130の火山があり、そのうち14が活火山で、今年に入ってから、2月19日スマトラ島のシナブン山(2460m)、5月11日ジャワ島ムラピ山(2930m)、8月3日スマトラとジャワの間のアナック・カクラカタウ火山島、6月28日、7月2日、9日 バリ島アグン山(3014m)などインドネシアの島々で噴火が相次いでいます。
今回のソプタン山の噴火と地震の関連性はないと国家防災庁(BNPB)は言っていますが、インドネシアや日本に連なる環太平洋火山帯では、この2か月、バヌアツ、フィジー、ニューカレドニア、アラスカ、北海道などで大きな地震が相次いでいます。同じ環太平洋火山帯に住む日本も他人ごとではありません。
(吉椿雅道)

インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュース No.7

「液状化による土砂災害も発生」

インドネシア国家防災庁(BNPB)は10月4日時点でスラウェシ島地震津波の死者は1407人、いまだに113人が行方不明であると伝えています。この内、パルで亡くなった方が1177人、ドンガラ県で亡くなった方が153人となっています。発災から間もなく一週間が経過しようとしている中で、ようやくパル以外の地域の情報も入り、ドンガラやシギ、パリギ・モウトンいった近隣地域にも捜索の手が広がり始めているようです。
また津波が届かなかった地域でも地震により地面が液状化、複数地区で液状化による土砂崩れを引き起こしたようです。パルの内陸、バラロア地区では1700戸、ペトボ地区では数百戸が土砂に巻き込まれました。また教会でキャンプをしていた子どもたち185人が土砂崩れに巻き込まれたが95人しか生存が確認できていないと報じられています。
津波だけではなく土砂崩れも発生し、今後さらに被害が大きくなることが予想されます。引き続きスラウェシ島地震津波の情報をお伝えしていきます。ぜひ周りの皆さまにも発信していただけますようお願いいたします。(上野智彦)

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インドネシア・スラウェシ島地震津波救援ニュース No.6

「ドンガラ県でも津波の被害、スラウェシ北部では火山噴火」

インドネシア国家防災庁(BNPB)はインドネシア・スラウェシ島で発生した地震津波の犠牲者は1374人になったことを発表しました。昨日のニュースでもお伝えしましたがインドネシア政府が国際的支援を受け入れ、海外からの支援が増えることが予想される一方で、空港や被災地へと向かう道路は復旧しておらず、アクセスの問題が解決できなければ支援物資やボランティアが被災地に送ることができないと懸念されています。
今回の津波の被災地は報道されているパルだけではありません。パルから北西に約30kmに位置し、震源にも近いドンガラ県では一部地域で大きな被害が出ているようです。ドンガラ県の住人は「パルだけにすべての支援を集中させないで。ドンガラには何の支援も来ていない。」と訴えていると報じられています。

また本日午前8時47分(現地時間)、スラウェシ島北スラウェシ州のソプタン山で噴火が発生しました。28日の地震の震源地からは約600kmの距離があり、噴火と地震の関係はわかっていません。これまでに噴火による被害は確認されていませんが、BNPBは山から4km以内の立ち入りを禁止しました。
7月、8月のロンボク島地震今回のスラウェシ島での地震津波、火山噴火とインドネシアで大きな災害が連続して発生しています。国内でも台風など災害が続いていますが、インドネシアの被災地救援へのご支援ご協力もよろしくお願いします。(上野智彦)

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