【写真】年少さんをお手伝い |
【写真】芯になる部分をティッシュでまるめます |
【写真】YASA母さんの作品(未完成) |
(クキさんレポート18)
約30名分の子どもの情報の記載を続けながら、「エマージェンシーランプ」の作り方をヒロが子どもたちに説明する。子どもは興味津々である。普段、スリランカの家庭で使うランプとは一味違ったランプである。まず子どもたちにグラスに好きな絵柄を描いてもらう。日本から送ってもらった、特製ペンを子どもたちは不思議そうに見ながら、ペンを振っては描き、振っては描きを繰り返していた。見ていると、個性溢れる絵柄ばかりである。私たちの想像を超えた、素敵な可愛らしい特別グラスが完成した。
いよいよ灯を灯すための芯の部分と、支えの部分を作る段階となった。この部分は若干難しい。ボランティアリーダーらも忙しそうだ。子どもたちから質問攻めにあっていた。肝っ玉YASA母さんは、何回も練習したのだろう、以前よりも上手に手早く作れるようになっていた。実は彼女は、絵を描くのもとても上手い。練習用に作ったランプには、お花の絵柄が描かれていた。そしてそのグラスは今私の目の前にある。このグラスに描かれたお花の甘い香りで毎朝目を覚ます毎日である。
早く仕上がった年長さんも年少さんを手伝いながら、全員のランプを完成させることが出来た。早速、ランプに灯を灯す。一人ひとり順番に、マッチをするボランティアリーダーの前に子どもたちは、並ぶ。早く灯をつけてもらいたくて、順番抜かしをしてしまう子どももいる。私も何回もマッチをすってはつけ、すってはつけを繰り返した。自分だけの特別なグラスに灯りがともった瞬間の子どもたちの表情は、グラスの灯りよりも輝いていた。どの子どもも、グラスを落とさないように、しっかり手に持ち大事そうに、大事そうに運んでいた。机に並べられたランプは、夜であればさぞかし綺麗であろうなと思っていたのは私だけで、子どもたちは、その灯りに祈りを捧げるように、じっと見つめていた。そして、今日は早くおうちに帰りたいと、ボランティアリーダーに頼んだ。
家に持ち帰った子どもたちは、何回も何回もグラスにオイルを入れて灯りを灯し続けていたと、後から聞いた。「エマージェンシーランプ」という名前のこのランプは、実は子どもたちの「祈りのランプ」であったのかもしれないと思う。
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