スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.14

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【写真】年長さんの子どもたちによる読み聞かせ
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【写真】何人で一冊?皆で共有、誰も文句は言いません
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【写真】「次はここから読んでね」とボランティアリーダーから子どもへバトンタッチ
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【写真】子どもたちによる質疑応答
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【写真】何回も描く姿勢を変えて描いてました

 久しぶりのスリランカレポートです。少し、間があいてしまいましたが相変わらず現地のクキさんとヒロさんの二人は、暑い中頑張っています。マータラで活動しているヒロさんの方は、以下のような一応の年間計画をたて進めていくようです。クキさんの方は、今週いっぱいまでヒロさんのサポートをしつつ、来週からはゴール市に入りゴールのYMCAブランチをベースに活動を展開することになっています。
 ところでヒロさんがたてた一年計画は、いなむらの火の民話の読み聞かせ、防災ソング「お・は・し・も」の伝承、お絵かきやオイルランプづくりなどのアートのクラス、ハザードマップづくり、アウトドアクッキングクラス、ファーストエイド(災害後の初歩的な救急対応)などを3ヶ月サイクルで組み合わせるという内容です。実は2月16日には、一つのサイトでの最初の「稲村の火の読み聞かせ」と「お・は・し・もの歌の伝承」が終わったようです。でも、終わったからといってこの二つのプログラムがもう展開されないかというとそうではなく、なんとボランティアリーダーやあるいは子どもたち自身が主体的になって伝えたり、広げたりしているようです。そのドキドキするようなドキュメント?を今日から少しずつ紹介します。クキさんからのレポートです(今日の分は長文で失礼します)。
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(クキさんレポート8)
 マータラでは全4ヶ所でプロジェクトが実施される。それぞれの期間は3ヶ月である。3ヶ月後に新たに4ヶ所でプロジェクトを実施する。期間は同じく3ヶ月である。そしてそれぞれのプロジェクトのボランティアリーダーが次のプロジェクト実施場所で、彼らの世界に一つとも言えるボランティア活動を次のボランティアリーダーに伝授する。そして新たな世界に一つのボランティア活動を生む。この過程がまさに「共育」と考えている。
 第1週目のプログラムを、前回、デビヌワラで実施された「稲村の火」の物語の『読み聞かせ』と『お絵かき』」をトッタムナ村(Tottamuna)でも実施した。 国内UNボランティアがこの日の午前中に既に、ボランティアリーダーに「稲村の火」の物語の説明をしていたため、今回は、直ぐにボランティアリーダにより『読み聞かせ』が始められた。
15:00から始められたが、ものの10分もしないうちに、ボランティアリーダーは、読むのを止めてしまった。どうなるのかなと思っていると、彼女は、ある子どもを呼んで、「次の文章から、あなたが読んでね。」と言った。子どもが子どもに読み聞かせをし、次に読む子どもを子どもが選んでいく。あてられた子どもは堂々と自信満々でみんなの前で朗読していく。聞いている子どもたちも耳を傾け、本の文字を追っていた。前回とはまた違った形での『読み聞かせ』となった。今回も、ボランティアリーダーには何も私たちからのアドバイスはしていない。彼ら独自のやり方である。
 子どもが子どもたちに『読み聞かせ』をしている時、2人の子どもが遅れて入ってきた。またもや、どうなるのかなと思っていると、ボランティアリーダーは、直ぐにその子どもを別の場所に呼び、『読み聞かせ』を始めた。通常なら遅れてきた子どもは、大多数(子どもたち)の中に混ぜられるであろう。しかし、彼女はその集団の中には入れず、『個』としてその子どもに接していた。子どもたちが子どもたちに「稲村の火」の物語について質疑応答が始まった。最年少の6歳の子どもにでも答えられるよう配慮した簡単な質問をだす年長さんもいた。『個』として年長さんもその子どもに接していた。CODEが10年目の「神戸宣言」で「最後の一人まで助けよう」と発信した言葉と彼らの姿勢が重なった。
 ヒロが一人の子どもの絵を見ながら質問していると、他の子どもも我先にとヒロの周りに集まってきた。ヒロは子どもたちの人気者だ。一人ひとりにヒロが色々なことを聞く。子どもの顔を見ていると、どの子どもも本当に嬉しそうである。笑って答える子どもや真剣な顔で答える子どももいる。ヒロは汗だくになって一枚一枚丁寧に子どもたちに聞いていた。子どもたちの説明に大笑いしたり、なるほどなぁと関心させられたり、彼らの感性にはいつも驚かされる。
 最後にヒロが、「みんなの前で絵を発表しよう!」と子どもたちに言った。一斉に子どもたちの手が挙がる。一人ひとり自分たちが描いた絵をみんなに説明する。前回のデビヌワラでの『読み聞かせ』とは一味違った形でトッタムナ村のプログラムは終了した。同じプログラムでも場所が違えば、ボランティアリーダーが違えば、子どもたちが違えば、違ったものになる。だから、私たちはけしてボランティアリーダーにはアドバイスなどはしない。「稲村の火」の物語の内容は変わらないが、この物語が語られ、耳に入った瞬間に違ったものへと変わる。「変わってよいんだ」「違ってよいんだ」というメッセージが聞こえた日であった。
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