スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.4

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【写真】子ども達に描いてもらった絵(マータラ)

前回の津波の絵についてですが、あの津波の絵はヒロさんが絵を描くように頼んだものではなく、自由なテーマのなかで子供のうち数人が描いたものだそうです。子どもたちが描いた絵にについて、ソーシャルワーカーとしてのヒロさんの視点で以下に解説していますので紹介します。
じつは私はどの段階で津波をテーマに絵を描いてもらうか、あるいは絵を描いてもらうように頼むことが適当か図りかねています。でも一番上の写真、よく見ると波のなかにたくさん木が浮かんでます。あれってあの場にいた人じゃないと描けない絵です。左下の丘らしきところから見ている人がいますね。両手を差し出して無力感を象徴しているように私には見えるわけです。描いた本人に詳しく聞いてみないと分かりませんが、年齢の低い子(10~12歳)が描いた上の二枚に私は言葉にならない無力感を感じました。
その一方で3枚目の絵は14歳の子が描いたものです。一目見ておかしいと思うのは逃げ惑う人間に顔がないこと。まだ津波が飲み込む前なので、そこには恐怖の表情があったはずなのですが、彼女はあえて顔ごと絵から削除しています。それは同時に彼女(女の子です)が、過去の痛ましい出来事から目をそむけようとしていることがうかがえます。それなのになぜ彼女はあえて津波の絵を描こうと思ったのか。私はそこに興味を覚えます。
二枚目の絵の上にあるのは太陽だと思いますが、津波の映像を何度も見ていながら、あの日燦々と陽が降り注いでいたことなんて覚えていませんでした。この絵を見て「そういえばあの日は晴れていたのだな」と思いました。絵の中にある人間や建物、木が実写に忠実に表現されているのに、なぜか太陽だけは抽象的に燃えているかのように描かれている。まず私だったらこの絵を描いた人にその日本当に太陽を見たのか聞いてみたいですね。黒で縁取りされオレンジ色を使って塗られた太陽は、まるで神の怒りを象徴しているかのようです。もしかしたらこの子は津波後、そのような話を大人に聞いたかもしれませんね。それは彼(男の子)なりに、津波を理解しようとする試みだったのかもしれません。
私はまだプロジェクトの立ち上げ中であり、もう少し時間と心に余裕ができてから津波に触れていきたいと思っています。絵を見て勝手に理解するのではなく、描いた当人にその意味を聞いてみたいです。また、津波をどのように大人たちに教えられたか。これは防災プロジェクトを組み立てていく上で、是非とも知っておかなければならないことだと思っています。この絵を描いた三人の子供には、それぞれ個別に話を聞いてみたいと思っています。
今後とも随時情報を提供していきますので、スリランカの子どもたちを日本から見守っていて下さい。よろしくお願いします。
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