【写真】津波で破壊された建物(スリランカ、7月) |
7月 スリランカ
前号のレポートのとおり、今回スリランカ入りの目的の1つは、幼稚園を再建するにあたって、建築、まちづくりの専門家であり、CODEの理事でもある野崎氏が同行し、現地の専門家と設計図面について協議することです。
野崎氏から、柱だけでなくブロック積の壁にも鉄筋を入れてコンクリートを流すとともに、柱頭を鉄筋コンクリートでつなぐと、建物強度が上がるとの指摘がありました。しかし、予算面(補強に多くの予算が必要)から考えて、むしろ海岸から離れて、津波被害の心配のない立地を選ぶ方が合理的であるとの指摘もありました。中間的な方法も検討していただきましたが、現地を視察して幼稚園を実際に見学した結果、マータラの敷地のように今回の津波被害に遭っていないエリアを選んで、少しでも多くの幼稚園を建てるほうが重要だという報告をいただきました。
これを受け、CODEは予算面と幼稚園の立地(海岸から離れていて、津波の被害の心配が少ないこと)を考慮し、被災した子どもたちが安心して遊べる場所を早く作ることが今必要とされていて、必ずしも災害に強い幼稚園をこの地域に急いで作る必要はないという現状を踏まえて、プロジェクトを進めていきたいと思っています。
また、日本でも今、大問題になっているアスベストが一般的にスリランカでも安価な屋根材として使われています。しかし、今のところ現地では、アスベストに代わる安価なものが見あたりません。アスベストは健康に深刻な被害を与えることが分かっていますので、現在アスベストに代わるものを調査しています。
幼稚園を見学している時、ある女性が話しかけてきました。彼女の家はリゾートの民宿をしていましたが、津波で全壊。ご両親も亡くしました。津波後、悲しみから何もやる気がおこらず、半年間ずっと弟の家に閉じこもっていたそうです。現在、30歳で結婚もしていないので、これからどうやって暮らしていくか途方にくれていると涙ながらに話してくれました。今は津波から半年が経ち少し落ち着いて、財産を失ったことはもう仕方がないと思うようになったが、30年間一緒に暮らしてきたお母さんを亡くしたことだけは悔やみきれないと言いました。
今日は幼稚園に日本からお客さんが来るということを聞いて、気分転換も兼ねてお手伝いをすることがあったらと思い、来てくれたそうです。人の心をケアするには、3つのT(Tear&Talk&Time)が必要といいますが、実際に身近な人を亡くした人にとっては、何が本当に必要なのでしょう。身近な人を亡くした悲しみから立ち直ることは遠い望みのような気がします。しかし、心のケアの難しさを理解しつつも、自分の思いを表現する場、他の人と思いや体験を共有する場、気分転換する場、何かに打ち込む場、又は人と出会う場等を提供することが大切であると感じました。だからこそ私たちは安心に、安全に過ごすことができる幼稚園を再建することが重要であると考えています。
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